二日目
翌日からは通常営業。
昨日は無料で配ったけれど、スープとホットミルクは今日からは有料です。とにかく頭数が必要だった昨日と違い、テイクアウト担当は人数を減らす。パオロとダニーロはまだ計算も遅いから、裏方に回る形です。
かわりに売り子に回るのは、サラとパルミラちゃん。
可愛い女の子相手だと強気になって、「昨日みたいに無料で寄こせ」って言いだす人がいるかもしれないので、トラブル発生時には男性陣が出張る予定です。
主に、ロイさんが。
見た目の迫力、必要だよね。
というわけで、わたしはアサイチのテイクアウト担当を買って出た。
昨日との違いを見る必要もあるし、なによりも朝が一番人通りも多いみたいなので! (クリスさんの調査結果)
「おう、猫娘。昨日のヤツをこれに一杯頼まぁ」
そして、本日最初のお客さんは、昨日ナンパしたクマおじさんです。
しっかりと、大きなカップとともに銅貨を一緒に差し出してくる。すごい。とても良いお客さんですよ。
「今日からはハニとジャム、どっちがいいか選べるけどどうする?」
「ハニでいい」
むしろ、ハニがいいんですね?
分かります、だって熊人さんなので。
「ちなみに、ジャムにもハニが入ってるよ」
「む……」
甘味料代わりにいいんですよ。
リーズナブルで。ハニブーンたちが、お庭でせっせと生産してくれてるからね。
「……いや、今日はハニでいい」
「まいど~♪」
なんか、明日も来そうなお返事ですよ。
ありがたい限りです。お得意さんの予感だね。
ついでに、お連れのお兄さんたちもそれぞれスープと串焼き肉をご購入。
あ、今日からしばらく、軽食は串焼き肉オンリーです。
焼いたものを保温しておくかたちなので、料理の腕前は関係なくお渡しできる予定になっている。ホントは焼き立てを渡したいところだけど、一日詰めるだけの体力がないんだよ、わたし。
「肉デカ!!」
「これで銅貨二枚は安すぎだろ」
「うめ―な、コレ!!」
クマ兄さんたちがやいのやいのと言いながらお店の前で食べてくれたので、興味をひかれた人たちがいくつかご購入。
見事なサクラ役です。ありがとう、ホントにありがとう!
「昨日いっしょに居たチビたちはどうした?」
「んにゃ?」
「猫人と狐人のガキどもだ」
「パオロとダニーロのこと? お部屋で商品作ってるよ」
正確には、【お庭】だけど。
パオロはチーズを量産中だし、ダニーロは呪符をせっせと書いている。
「あんなチビどもをこき使ってんのか」
クマおじさんに睨まれて、コテンと首をかしげる。
「こき使うと言うか、本人たちの希望でスキル上げしてもらってるね」
パオロなんて、自作のチーズをもっと美味しくするんだと言って張り切っている。
ダニーロも似たようなもんだね。効率的に呪符を書けるようにならなきゃと鼻息を荒くしていたから。
「自主的に?」
「強制はしてないですね」
専念できる環境は用意しますけど。
「と言うか、お前さんだって、まだせいぜい五~六歳だろうに」
なんか、今度はわたしに飛び火してきましたよ?
「いやいや、失礼な。小型種なだけで、春には十一歳ですよ」
「マジか?」
「マジで。ちゃんと、【加護の儀】も受けてお料理系のスキルも授かっているレディです」
ムフンと胸を張ると、胸部に視線が突き刺さる。
「まだ、第二性徴が来る時期じゃない」
隣のリリーと比べちゃいけない。
リリーはボボンとデカいので。だって、リリーは十七歳。キチンと成人している女性ですから。
「そうか」
「そうです」
ちょっと、ソコ!
吹き出さない!!
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「ひどいよね~。リリーさんってば、最後には大爆笑だったよ」
止めよう止めようと思っているのに、ベッドの中でにぃにとおしゃべりするのが日課になってしまった。
あと数ヶ月で十一歳になるので、それまでには寝室を分けるべきなんだけど――なんのかんので、にぃにのお嫁さんが決まるまではこのまま押し切られそうな気がしている今日この頃です。
最近気づいたんだけど、にぃにってば、重度のシスコンっぽいんだよね……
妹スキーが嬉しくないとは言わないよ。
でも、できれば早いうちに卒業してほしいと思います。
それはそれとして、お布団の中があったかいのは魅力的なんだよねぇ……冬が近くて困ります。
どんどん寒さが厳しくなるんだもの。にぃにの体温が手放せなくなるよね。
「いや、その人は十歳の子供に何を求めてるの……?」
「ほんとソレ!」
「だいたい、女性の体型なんてどうでもいいと思うんだけどなぁ」
にぃに……お年頃の男子として、ソレはちょっとどうよ?




