結果報告
最終的に、にぃにたちが出した希望はほぼ通った。
正確には希望そのものじゃないけれど、大分近い形ではおさまっていると思う。
「というわけで、国神さまのご用意ができ次第、修練場を改装するって言ってたよ」
朝食を食べながら報告すると、様子見に行ってくれた三人組は目を丸くした。
「え? フェリシア、仕事早すぎない?」
「さすがはフェリシアさま」
「どんな形になるか、楽しみです」
にぃには、昨日の今日で話が進んでいることにビックリしてるし、カルロとマルコは純粋に嬉しそう。
「口頭で話しただけだから、実際にどう変わるのかは分からないんだけど……改装できたら教えてくれるそうなので、改めて挑戦してきてね」
「どこまで希望が通った?」
「とりあえず、修練場は三つに分けるっぽい」
一つ目は、今までとほぼ同じで、人工的な平地にランクHの魔獣が出現するもの
二つ目が、魔獣のランクがGになり、足場は不規則に起伏のある草原
三つ目になると、Fランクの魔獣が森林を徘徊するものになる
「――だいたいこんな感じとは聞いてるけど、国神さまが途中で変更する部分もあるんじゃないかな」
「魔石以外のモノって手に入るようになるっすか?」
「一番難度が低いヤツは、魔石だけっぽいね。導入するとしたら素材状態になるみたいなんだけど、最終的にどうなるかまでは言ってなかったよ」
なんとなく、三つ目あたりに導入するんじゃないかと思います。
「一番難度が高いのでも、魔獣はFランクなんだねぇ……」
「Fランクで不満なら、リアルで狩りをしろ的なコメントをいただいております」
「うわ、乱暴」
「あと、武術スキルがすべてCランクになったら出入り禁止にするって言ってた」
「えええ!?」
卒業せずに寄生されるのは本意じゃないそうです。
「俺としては、思った以上に坊ちゃんたちの入れてくれてんなぁって感じだぞ?」
「だよねぇ」
「まあ、そうだね……」
利用制限が発生したのは想定外だったんだろう。
にぃには、ちょっと不服そうな表情で頷いた。
「Cランクを越えてる武術スキルは、修練場内で使えるんでしょうか?」
マルコの質問に思考が止まる。
制限を超えたスキルが使えなくなる可能性なんて、思いつきもしなかったよ。
「ゴメン、聞いてない」
「いえ、大丈夫です。使えない可能性を頭に入れとけばいいだけなので」
「うにゃ」
う~ん……
自分の経験にないのもあって、聞いておくべきことが聞けてないっぽいね。今のはちゃんと確認しといた方がいい情報だった気がするよ。
「フェリシア」
「うにゃ?」
「僕もパッと思いつかなかったから、そんなに落ち込む必要はないと思う」
にぃにはそう言って慰めてくれたけど、気を付けないとね。
情報の不足は、家族を危険にさらすかもしれないので!
「フェリシアさま~、修練場って改装が終わるまでは入れないんすかね?」
「あ、ソレは大丈夫。改装するまでは今まで通りに使えるよ」
今まで通り、灰チューしかでてこないだけです。
「にしても、改装前に再挑戦する気にならないし……ねぇ」
「……オレもあんまり気が乗らないです」
「えー、オイラは行く気満々だったっすよ?」
ここに着くまで、ずっと修練場に通うのを楽しみにしていたにぃにとマルコは渋い顔。
ランクの上限もついてしまうことになったのも、足が向けづらくなる原因かも。昨日の時点で特に不満を感じていなかったカルロは、むしろすごく行きたそう。
「すでに家賃も払っておるし、今日から開店じゃろう?」
「うにゃ」
冬も近いし、なによりも三か月分の家賃を前払いしてある。
それに、開店準備だって終わっているからね。いくらにぃにがおヒマをしても、春になるまではこの町を離れる気はありません。
「ああ……うん。大丈夫。春までこの町に留まる予定まで変更する気はないから。ただ、修練場の改装が終わるまでヒマになったなーってだけだよ」
「ヒマなら、いくらでもつぶす方法はありますよ?」
「お店の手伝いは勘弁してください」
接客、苦手だもんね。
ピニャーシュさんとロイさんは接客もできるけど、にぃににとっては苦手分野。どんなにヒマでも、できることならやりたくないよね。知ってます。
「グラ坊とマルコは、狩人組合で解体講習でも受けていれば良いのではないか?」
「それじゃあ、オレはそうしますっ」
「ん~……それなら、僕は魔法薬づくりの練習にしておくよ」
という訳でカルロは修練場、マルコとルカが狩人組合に行くことになった。
にぃには貸店舗にいるのでロイさんはこっちに残るため、今日の保護者はピニャーシュさんです。残ったメンバーは、商品づくりと接客の練習です。
「それじゃあ、みんな。今日も一日がんばろ~!」
「「「「はいっ! フェリシアさま!!」」」」
「「がんばりますっ」」




