カルロの感想
お次は、カルロのご感想。
カルロの現在の技量は、こんなかんじ。
【短剣術F】【軽業F】なので、ご加護を授かってから一度も成長していない。
ただ、一般的に見ると技術力はある方です。授かるスキルは、HやGが普通らしいので。
そして身体能力も、短剣術に求められる敏捷・器用ともにCランクと悪くない。
新人さんとしてはたぶん、お強い方だと思います。
そんなカルロのご感想はというと――
「修練場の感想っすよね」
「うにゃ。どうだった?」
「オイラ的にはちょうど良かったっす」
帰ってきたときの様子から、あんまり不満を感じていなそうだとは思っていたけれど、想定以上に良い感触。
不満たらたらだったにぃには、ビックリしすぎてお耳とシッポがピーンです。
「具体的に言うと、どのあたりが良かった?」
「オイラの場合、グラ兄と行く実戦だと足手まといなんすよ」
比べる対象がアレなだけで、普通の人からしたら十分頼りになると思いますよ?
「けど、修練場だとひとりでも大丈夫だったんで楽しかったっす」
「なるほど」
これは、スキルランク的にはそこそこ戦えそうだけど、身体能力が追い付いてないから実際にはランク相応のパフォーマンスが出せてないかんじかな。
いや、でも逆かもしれない。
必要とされている身体能力がどちらもCだってことは、技量不足で思うように動けてない方かも。どっちが正解か分からなくって、ちょっと悩ましいところです。
「あと、足元が整ってるんで、戦闘に集中できるのもありがたかったっす」
「あ~……やっぱり、森や草原だとやりづらそうだよね」
「そうなんすよ。あんまり思い切った動きは怖くてできないっすね。なんで、オイラは不満もないっす」
ちなみにカルロの稼ぎは、一回あたり四十ラーメ。
にぃにの半分以下だけど、現金収入的な不満もないらしい。なんでかなーと思って聞いたら、「回数こなせばいいだけっすから」とのこと。
「オイラたちが住んでた町にもあったら、生活が楽になったんすけどね~」
カルロはそう言ってため息を吐く。
でも、よく考えてみてほしい。きっと、バッジ王国だったら、【加護の儀】も受けさせてもらえなかったカルロは修練所的な施設も利用できなかったんじゃないかな。それに――
「あったとしても、大半の稼ぎを奪われてたと思うよ」
即座ににぃにが怖いことを言い出した。
だよね……
「うっ……マジでありそうっす」
いるんだね、そういう人も。
世知辛い世の中です。
「この町にも、そういう悪い人がいるかな?」
「ソレっぽいのはいたよ」
いたんだ!?
「え……大丈夫だったの?」
「ロイが同行していたからね。問題ない」
「ロイ兄は見るからに強そうっすから、弱いヤツからかすめ取ろうなんて奴らは寄ってこないっすよ」
ということは、わたしもリリーさんがいない状態で出かけちゃダメってことだね。
「こないだみたいに攫われるのはコリゴリなので、きちんと覚えておくよ」
間違いなくカモられる自信があるよ、わたし。
ちびこくて、どう見たって弱そうだもの。
「ほんとソレ。絶対、リリーがいない状態で外出しないようにしてね」
「うにゃ」
「オイラも気を付けるっす」
カルロは兎人だから、わたしとそれほど身長も変わらない。
ピニャーシュさんもだけど、兎人や鼠人って基本的に小柄なんだよね。身長が百四十センテ前後のピニャーシュさんが、種族的には大柄な方なんだもの。
「そういえばひとつだけ『こうだったらな~』ってのがあったっす」
「うにゃ?」
突然、話が修練場のことに引き戻されたことに驚きつつ首をかしげる。
「なんか、魔獣を倒すと、魔石が一個落ちてるんすけど、たまには食いモンが落ちてたらいいのになーって思ったっす」
「なるほど。魔石といっしょに落ちてたら嬉しい的な」
「どっちかがランダムでもいいんじゃないすか?」
「あ、片方でいいんだ」
「欲張るとロクなことがないんすよ」
なんか、実体験からきてそうな嫌な言葉だね。
「とりあえず、カルロの感想をまとめると『現状に満足』『入手アイテムに食料希望』のふたつでいい?」
「っす」
なんか、にぃにの希望と比べると、ささやかな希望な気がするね。




