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ほしい従魔をかんがえる

 森をテリトリーにしているだけあって、フォレチェルの足はさすがに速い。

お昼ごはんのために【お庭】に戻る頃には、みんなで一日中歩ける距離の倍以上を移動できていた。チョコチョコと休憩を挟みながらだったのに、これは驚きです。


「なんで今までフォレチェル使わなかったの?」


 こんなに早く移動できるなら、にぃに(・・・)だって村に熱病が広がる前に帰ってこれてたのでは?


 そう思って聞いてみたら、ロイさんが乗れないからだという返事が返ってきた。

体の大きなフォレチェルだけど、背中に背負える荷物の重さに限度があるってことだね。

 まあ……うん。

わたしがオトンのマジックバッグを運べないのと似たようなもんだろう、と思えば納得できる。


 【お庭】に戻ってすぐ、わたしは木のおうちの方でお昼ごはんの支度に取り掛かった。

こっちのほうが明るくて、機材も充実しているから料理をするのが楽なんだよ。

さすが、かかさまが用意してくれたわたし専用のおうちだね!

 問題は家具の類がないことなんだけど――大きな街に行けるようになったら、お布団だけでも手に入れたい。寝室に壁がえぐれた形のお布団スペースはあるんだけど、残念なことに手持ちに寝具がないんだよね。

自分のおうちがあるのに、にぃに(・・・)のとこで寝るしかないのはちょっと不満です。




 ルンルン気分で用意を終えて、【鍛冶場】にいるにぃに(・・・)たちを呼びに行く。


「ごはん、できたよー!」


 三人揃って囲炉裏を囲んでいたけれど、ロイさんのお顔が大変なことになっていた。


「ロイさん、ソレ、にぃに(・・・)にやられたの!?」

「ん? いつものじゃれ合いだ、気にすんな」


 と、ロイさん本人は言うけれど、結構ガッツリやられたみたいで殴られたあとが痛々しい。その一方で、にぃに(・・・)はツーンとおすまし顔。こっちはまったくダメージを受けている様子はない。


 このケガって、八つ当たりされたんだよね?


 原因はタブン、わたしとピニャーシュさんがふたりだけで移動開始しちゃったせいなんだろうってのは、考えなくても想像できる。『ロイさん、ゴメン!』 ってかんじだ。

ちょっぴりしょぼんとしながらご飯ができたとご報告。


「木のおうちとこっちと、どっちで食べる?」

「作った方の家で食べれば良いじゃない」

「木のおうちだと、テーブルないよ」

「それだと囲炉裏を囲むのと大差ないね……。あ、東屋にしたらいいかも?」


 というわけで、木のおうちから料理を持ち出し、みんなそろって東屋でランチタイム!

食事をしながら話題にだすのは、ほしい(食材を生み出す)従魔について。

 ロイさんのケガには触れませんよ。

にぃに(・・・)がメンドクサイ人に戻ったら嫌だもの。そっちの件は、別のフォロー方法を考えます。


「なんか、フェリシアのほしい従魔って、食材関係ばっかだね」


 ミルギューにランチュウ、できることならニクギューもほしいと語っていたら、にぃに(・・・)が呆れた様子で苦笑する。ちなみに、ミルギューは毎日とろ~り濃厚なミルクの詰まった乳嚢(ミルポケ)という食材を一〇個~三〇個、ランチュウは三~一〇個前後の卵を産み落とす。

 ニクギューに至っては、一日一部位分の生肉が行動範囲の何処かに落としてくれる謎生物。

本人……本獣? の体の何処かが削れてるわけでもないので、どこからその肉が出てきたのかは謎なんだけど――なにはともあれ、どの魔獣も従魔にしとくと便利なことには違いない。


「食材、大事ですよ?」

「それはそうだろうけど、自衛用の従魔も必要だよね」

「従魔術のランク、Dだよ? 護衛役になるような従魔なんてまだムリぷー」


 魔法の場合、G~Dランクだと生活に便利という程度のモノが多い。従魔も同じで、戦闘力はほとんど望めない家畜レベルの魔獣が多くなる。使い方によっては護衛役にならなくもないかも? っていうのも居るけど、そういう魔獣はすでに従魔にしている人から譲ってもらう方が一般的だ。

 まぁ、これに関しては、どっかしらの村や街に入らないと交渉することすら難しいんだけど……


「あと、どっかの村でグレントを譲ってもらえたらサイコー」

「やっぱり食べ物だ」

「穀物、大事ですよ?」

「大事だけど……」


 あ、グレントは穀物がなるトレントだ。ハズレ村にもいたんだけど、一番最初に罹患した人が亡くなるのと同時に枯れてしまった。あれよあれよという間に増えていく罹患者に対応している中、種を確保することもできなかったんだよね……

 【お庭】で育て始めているフルーツトレントたちは、九歳のお誕生日プレゼントとしておねだりして貰ったので手元にあった。かかさまから従魔術を使えるようになるってお告げをもらってなかったら、手元になかったね。


「手軽に従属させられるのは、ランチュウじゃな」

「うにゃ」

「ミルギューとニクギューも野良が居ないわけじゃないが……」

「野良の子は、狩ってお肉にしちゃうもんね」

「ああ。村で金を出したほうが早い」


 冬を控えた時期なので、増えすぎたミルギューやニクギューは飼い葉を節約するために屠殺される可能性が高い。食料に変えられる前にどっかの村と交渉して、買い取りできれば一番楽だと思う。


「そもそも、買い取るお金があるのかって問題があるんじゃない?」


 そう、問題は手持ちのお金が足りるかどうかと、村に立ち寄ることをにぃに(・・・)が納得してくれるかどうかだね。

お金? 多少はありますよ。

村のみんなが持っていっていいって言ってくれたから、各家の小銭は全部回収済みです。

 ただし、この全財産。わたし的には大金だけど、一般的に大金かどうかがよく分かりません。

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