↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/161

あっという間に

 のんびりと過ごすつもりだったデンティゴルでの借家生活だったけれども、思っていたよりもずっと慌ただしい日々を送ることになった。


 まあ、慌ただしいと言ってもたいしたことはないんだけどね。

ご近所のお母さんたちとの交流が多かっただけなので。


 染織工房に行った翌日くらいからかな?

 まずはダニーロ君たちのお友達が、夕方になると小エビや小魚なんかをお肉と交換しに現れるようになった。

遊び半分、食料調達半分なので、毎日持ってくるものは違うんだけどね。

むしろ、それが良い。


 それからさらに三日くらい経ったら今度はおじさんたち(たぶん漁師さん)が、マルコ君たちが解体の練習に使っているサイズのお魚を持ってくるようになった。

こっちは、おつまみにもできる燻製肉がお目当てだ。

 チビッ子たちの持ってくる磯モノは等量交換だけど、こっちは加工品だからね。交換率は悪いんだけど、それでも喜んで交換していく。ふだん、自分たちで食べることはあっても、売り物としては二束三文な小魚が保存食(兼おつまみ)に化けるのが嬉しいらしい。

 なにせ、ふだんはほとんどを海に戻しているモノだからね。

加工肉に変わるのなら惜しくないとのこと。

こちらとしても、デンティゴルを離れたあともスキル上げが捗りそうで大助かりです。


 おじさんたちが来た翌日には、借家の方でポモフェスの水煮を量産しているところにおばさんたちがやってきた。

彼女らのお目当ては、お料理のレシピ。

基本的に旦那さんが漁で獲った魚介を使った料理しかしてないからね、お肉を使った料理のレパートリーが少ないらしい。


 そして、ソコに関してはわたしも一緒。

なので、互いに教え合うって方向で利害が一致したおばさんたちと、共同の煮炊き場(なんてものがあったよ)でいろいろと教え合うようになった。

いろんなご家庭の味を楽しめて、リリーさんもにっこり。おばさんたちもホックホクです。

わたしも、たくさんお魚を使う料理を教われたので、当然のことながらにっこにこ。

みんなが笑顔で、良い感じ。


 みんながお休みの日には、全員そろって磯釣りをしてみたり、浜で夜にバーベキューをしてみたり。

バーベキューの時は、ご近所さんたちも呼んで盛大にやったよ。なんか、知らない人も交じってたけど気にしないで、みんな大騒ぎ。


 まあ、平たく言うなら『楽しすぎてあっという間に日々が過ぎちゃった』んですよ。

にぃに(・・・)とわたしも、無事、新しいメンバーとの親交が深めることができたので、当初の目的も達成です。


 ちょっぴり不満なのは、にぃに(・・・)が『グラ兄』と呼ばれるようになったのに、わたしは未だに『フェリシアさま』のまんまなこと。

なんか、呼び方から距離を感じてしまうんだけど、嫌われてはいないんだよねぇ……


 どっちかというと、信仰的な何かを感じてる。

ワタシ、フツウノ猫人デスヨ?

かかさま(魔神様)と変わらない扱いをされると、困ってしまいます。



☆★☆★☆★☆★☆★☆



「フェリシアちゃんがいなくなると寂しくなるねぇ」

「、もっと教えたい料理もあったんだけど、旅の途中じゃしかたないわよね」

「わたしも教えそこなったレシピがあるから、いくつかメモしたのがあるんだ。一枚づつ置いていくから、よかったら挑戦してみてください」


 別れを惜しんでくれるおばさんたちにレシピを渡すと、感謝の言葉とともに受け取りつつみんなして順番に抱きしめてくれる。

オカン世代のハグはまずい。

猫人ママの時には、うっかり少し泣いてしまった。

はずかしい。


 お別れのあいさつを終えたのはお昼近くになってからで、仕方がないのでご飯を食べてから出発することになった。デンティゴルで食べるご飯も、これが最後かと思うとちょっと感慨深いね。

 せっかくなので、琥珀チュルンとおかずを数種類ずつ大皿で頼んでみんなで好きなものをつつくことにした。

この形式だとね、わたしが食べたいものを全部食べられるんですよ。ひとくちずつ食べたら、すぐに満腹になってしまうからね、頭を使わねば美味しいものを食い逃してしまう。


 町を出るときは、案外何にも感じないまま門を出た。

ちょっとは後ろ髪ひかれるんじゃないかと思っていたのだけれども、お別れの挨拶をしてからちょっと時間が経って落ち着いたのかな?


「今夜、【加護の儀】ですよね、フェリシアさま」

「うにゃ」

 わたしとクリスさん、それからダニーロ君とパオロ君にピニャーシュさん親子は馬車で移動です。

なので、のんびりとこれからの予定を話す余裕がある。


 話題は、今夜行う予定の【加護の儀】について。

マルコ君たちのときみたいに、【お庭】でやる予定です。にぃに(・・・)いわく、神々に近い場所で行った方が良いスキルやご加護を授かる可能性が高くなるかららしい。


「やった、楽しみだな」

「ご加護は授からないまでも、魔道具作成スキルが授かるといいんだけど……」

「オレ、魔石作成がんばってみたけど、授かるかなぁ」


 ウキウキしながら話しているけど、たぶん、そのスキルなら授けてもらえると思う。

かかさま(魔神様)が、『フェリシアちゃんのお手伝いをするために頑張ってるよ』と、ニコニコしながら話してたから。かかさま(魔神様)は、わたし絡みで頑張る子には甘いのだ。


「今夜は、兄ちゃんズもいっしょに舞うからね。失敗しても笑っちゃだめだよ?」

「「はいっ」」


 ダニーロ君もパオロ君も、とっても良いお返事です。


 そして四時間ほど進んだ先にあった祠のお掃除をしたあと、お夕飯の支度をするより先に【加護の儀】を行った。

結果、ダニーロ君が呪符神さまのご寵愛を、パオロ君が情報神さまのご加護を授かったものだから、みんな大喜び。お夕飯の席は、急遽、加護祝いの席になったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。