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お料理仲間

 一時間ぶっ通しで行われる神楽の稽古は、わたしにとっては結構キツイ。

体力がないから息は上がるし、姿勢を維持しようとしているのに手足がブルブル震えてしまう。マルコ君とカルロさんは普通にしてるいので、余計にいたたまれない気分になるよね。


「フェリシア、きちんと集中して」

「う、うにゃっ」


 気を散らすたびに即座に気づくにぃに(・・・)がおっかない。

ドキビクしながらだったから、稽古を終えたときには心理的にすごく疲れてた。

にぃに(・・・)のオニ師範~!



☆★☆★☆★☆★☆★☆



 神楽のあとには、少しの休憩をはさんだだけでわたしとマルコ君のふたりで朝ご飯の用意にとりかかる。

ちょっと思うんだけど、この間ににぃに(・・・)が遊んでいられるのってズルくない?

わたしはズルいと思います。


「お稽古の直後に、ガッツリお料理するのは結構きついよね~」

「オレは平気ですけど、フェリシアさまは女の子だから体力的にキツイですかね」


 性別は関係ないかもしれないけど、とりあえずそういうことにしておこう。

ホントは、単純にわたしの体力がないだけだと思います。


「とりあえず、マルコ君にはご飯を炊いてもらおうかな」

「はい、喜んで!」


 マルコ君がご飯を炊いている間に、わたしはチンギアーレの塊肉を薄く削ぎ始めた。

 今朝のメインは、【チンギアーレのアホジャー炒め】に決定です。

切り分けた肉を、大きなボウルに放り込み、調味料と一緒に手早くを混ぜ終えたらお野菜を刻み始める。時短のために、炒め物用とスープ用のは同時進行で刻んでしまう。

 沸騰したお湯に野菜を流し込み、アホジャー炒め用の野菜を油で炒めていく。

フライパンで作るには量が多過ぎるので、鉄板でジャカジャカいきますよ~!


「フェリシアさま、ご飯は炊けました」

「そしたら、スープの味付けをお願い。調味料を入れ過ぎないように気を付けて」

「はい、気を付けます!」


 すごく、良いお返事。


 マルコ君は、調味料をアレコレ手に取り、首をかしげながらどれを使うか悩んでる。

今まで、調味料と言えば塩だけでほかの物を知らないんだから仕方がない。わたしのご飯を食べるようになって、こんなにいろんな味があるのかと驚いたみたいで、塩以外のものを使いたがるんだよね。


「フェリシアさま、ミショとショユどっちがおススメですか?」

「ミショの方がショユよりも味わいが柔らかめかな」

「むむむ……じゃあ、今日はミショで」


 ミショの使い方を教えつつ、鉄板にお肉を投入!

ジュワワワワと肉が焼け、脂がはじける音と一緒にお腹が空く匂いが立ち上る。アホジャーとショユの合わせ調味料をまわし掛けすると、もう暴力的過ぎです。

 

ふと視線を感じて出入り口を見ると、縦にいくつも頭が並んで今にもよだれが垂れそうな顔でこっちを見ている。みなさん、ハラヘリですね?


 アホジャー炒めを皿に盛り、マルコ君がご飯をおひつに移動させている間にミショスープの味を見る。

ミショの風味は十分なので、ちょっぴり足りない塩気を足せば――うん、いい感じ。


「カルロさん、にぃに(・・・)たちを呼んでくれる?」

「分かったっす~っ」


 それほど待たずに全員が揃い、一緒にお祈りを捧げてから食事が始まる。

今日はいつもと違ってご飯を作るのがわたしだけじゃなかったから、すごく余裕。

お料理仲間がいるってイイね!


 ワイワイガヤガヤとにぎやかな食卓は、なんだかそれだけでご飯がちょっと美味しくなる気がしてくるね。なんか、しあわせ。

 とはいえまだまだ、いくつかのグループに分かれた状態ではあるからね。

この垣根を出来る限りなくすのが目標です。


「そういえばマルコ君たちは、今日も昼間はお魚の解体三昧?」

「はい」

「そっすね」

「戦闘系のスキルを学ぶにも、解体術があるといいらしいので」


 こう、急所狙いがしやすくなるとかそういうの?


「わっちはぁ、素のステータスさ上げんこつにゃできんことさすぐねぇそなんでぇ」


 素のステータス……わたしも、まだまだ成長途上だね。

一緒に解体スキルに挑戦した方がいいかな? と思ってピニャーシュさんを見ると、小さく首を横に振られた。

なんか、わたしはダメっぽい。


「ダニーロ君とパオロ君は?」

「特にないよな?」

「地元の子たちと磯や浜で、魚や貝を拾うくらいだよね」

「だよな~」


 ふたりは顔を見合わせ、答えを合わせる。

狐人と猫人で種属がちがうのに、ホントの兄妹みたいなやりとりがハズレ村にいた時みたいでちょっと懐かしい。


「気が向くようなら、わたしたちと一緒にお出かけする?」

「「え……」」


 『どうしよう』、と戸惑いに瞳が揺れる。


「どうする?」

「アイツら、今日はその気だろ?」

「でも、せっかくフェリシアさまが誘ってくれたのに……」


 そっか、ここ数日マルコ君たちに着いてこの辺に通ってきているんだもの。

お友達ができていてもおかしくないよね。気が利かないねぇねでゴメン!


「明日もあちこちのお店を覗いて回る予定だから、お約束があるなら明日でも大丈夫だよ」

「じゃあ」

「明日行きますっ!!」


 という訳で、ダニーロ君とパオロ君を連れてのお出かけは明日ということに。

今日も、にぃに(・・・)とロイさんにリリーさんの四人でお出かけだね。


 さて、なにを見に行こうかな~♪

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