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お別れと新たな挑戦

 別れの時は、突然やってきた。

門での入街手続きを終えたあとすぐに連れていかれた部屋の中に、すでにチビたちを迎えに来た人たちが待っていたので。


「あ、そんちょーだ」

「そんちょー」


 熊人兄妹が不思議そうにつぶやきつつ同じ熊人のおじさんに近づいていくのを見て、『あ、ここでお別れなんだ』と理解する。羊人兄妹のところも村長さんが迎えに来ていて、猫人のマリアちゃんは良い服を着た夫婦と抱き合っていた。


 全員が無事を確認している間に、わたしはお役人さんにみんなを保護してからの健康記録を渡しておいた。

わたしと一緒にいた間に体調を崩した子はいなかったけれど、もしかしたら必要になるかもしれないからね。食べた物や量、睡眠時間も書いてある。


 子供たちの無事を確認し終わると、村長さんふたりと猫人夫婦が近づいてきて頭を下げた。


「ギドとアリーチェがお世話になりました」

「村の子供たちをお救いいただき、ありがとうございます」

「「娘を守ってくださって、本当にありがとうございます」」


 頭を下げられたピニャーシュさんは、困った顔をして首を振る。


「私は主の御心に従ったまでのこと。感謝のお気持ちは主に伝えていただきたい」

 

 横にいたピニャーシュさんが後ろに下がったもんだから、『えっ!?』って顔をした村長ズと猫人夫婦の視線がわたしに集中したせいで思わず肩がビクッと跳ねた。

とつぜん隠れ家を奪われた気分なんですけど、ピニャーシュさん、ひどくない!?

 改めて口にされた感謝の言葉は戸惑いを多分に含んだもので――まあ、そりゃあそうだよねとしか言いようがない。実際問題、ピニャーシュさんがいたからこそ奴隷船からスムーズに逃げ出すことができたのだ。わたしだけだったら、無理じゃないにしてももっとずーっと大変だったと思う。

 なので、村長ズと猫人夫婦に返した言葉は本心だった。


「わたしも逃げる必要がありましたし、それだってピニャーシュがいたからこそ可能でした。わたしよりも、ピニャーシュをお褒めいただきありがとうございます」


 言うのと同時に頭を下げたのでわたしからは見えなかったけれど、あとでピニャーシュさんが言うところによると、村長ズと猫人夫婦は何かを納得した顔で頭を下げなおしていたらしい。

『何か』って、何を納得したんだろうね??



 何はともあれ、チビたちとは一旦ここでお別れだ。

体調に問題ないようなら最短であさってには帰路につく予定だというので、ひとりひとりと別れの言葉を交わした。お見送りにはいくつもりだけれども、その場で長々と話すのは難しそうなので。

 最後に、帰りの道中で食べてほしいと伝えた上で、フルーツトレントの実を一揃いカゴに詰めたものをピニャーシュさん経由でお役人さんに渡した。


 わたしがみんなとの別れを惜しんでいるうちに、帰国しない組の六人はお役人さんのひとりと改めて意思確認をしていたらしい。いつの間にか、仲の良かった相手と別れを惜しんでいた。



☆★☆★☆★☆★☆★☆



 お役人さんに聞いてみたところ、にぃに(・・・)もそろそろバッジ王国からこちらに来るころだろうとのこと。

大役も果たし終えたことだし、しばらくデンティゴルの町に滞在することになりそうです。


「なにはともあれ、やっと肩の荷が下りた~!」

「フェリシア嬢はよく頑張ったの」

「こまごまとした部分を見てくれたから何とか頑張れたよ。ピニャーシュさん、ありがとう」

「ワシは役目を果たしただけじゃがな」


 素直にお礼を受け取ってくれないピニャーシュさんに苦笑しつつ、残った六人に視線を向ける。


「とりあえずにぃに(・・・)が着くまでここで待機の予定なんだけど、なにかしたいこととかある?」


 本人たちの希望がない限りは、しばらく同行するつもりだということはすでに伝えてあるので滞在中にどうしたいかを訊ねてみた。


「フェリシアさまの手伝い」


 それは――かかさま(魔神様)が次々と自動化してくれてる施設があるから、お手伝いしてもらう必要はないかな。

お魚や魔獣の解体は高ランクの解体ナイフを作ったから、ヒマなときにプスプス刺すだけで解体できるようになっている。

 果物関連も、最近はハニブーンに蜜漬けにしてもらえるようになった。空の壺を用意しておけば、果物と蜜を勝手に入れてくれるのでラクチンです。

 ミルギューミルクの回収もハニブーンがやってくれているし、回収したものもバター工房に回してバターと脱脂粉乳を自動作成してもらっている。問題ない。


「個人の成長につながることを優先でお願いします」

「なら、次点で解体スキル取得っすかね?」

「騎獣術は移動中に頑張ればいいし、アタシが町で出来そうなのはそれくらいね」

「んだ」


 ということで、解体スキル習得を目指していた四人組は狩人組合で解体スキル取得に励むことになった。


 わたし――わたしは、う~ん……なにをしようか?

とりあえず、【加護の儀】を控えているダニーロ君とパオロ君が挑戦したがっている、魔道具と魔石づくりの補助をしながらできそうなことを探すことにしよう。

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