浜遊び 4
「スープ、うめ~!」
「マル兄のスープ、うますぎっ」
スープを煮込みつつ、魚を串に刺したり、夕飯用の唐揚げの下ごしらえをしたりと動いているうちに、あっという間にお昼になった。
浜から戻ってきたチビッ子たちは、みんな揃ってビショビショの砂まみれ。
どうやら砂遊びをしているうちに、掘った穴から水が出てくることに気が付いたらしい。水が出てくる穴を掘り広げて、泥遊び状態になったのだと言うサラの説明には苦笑するしかなかった。
海に入るのは禁止したけど、水遊びは想定してなかったからね。
コレは仕方がないと思うんですよ。
とはいえ、みんなにはご飯の前に軽く砂を落としてもらうことにしましたとも。
「とりあえず、みんな。砂を落とすから、横一列に並んで~!」
「「「「「「「「は~いっ」」」」」」」」
どうせ午後からも同じように遊ぶんだろうということで、それぞれの首下からヒザまでを包むサイズの水玉生成し、ゆるッと回転させる。
「頭がザリザリして気になる子は、お水の中にしゃがんでみっつ数えてくださ~い」
数人の子供がお耳を抑えてしゃがみこむ。
しゃがんだ子たちの頭まわりの水を軽く揺らすと、水の中に漂いだした砂つぶが光をはじいてキラキラ光りながら離れて行った。
「服と体から砂つぶを落とすために、ゆっくり水をまわすよ~」
右に一回りしたら、お次は左に一回り。
少しくすぐったいのか、チビッ子たちが小さな声でクスクス笑う。
五セット水をまわしたら、水を砂に吸わせて、温風を吹きかけて衣類を乾かせば完了です。
「フェリシアさま、さっきの、またやって!」
「クルクルするの、たのしいっ」
さっきの自動洗浄魔法が気に入った子たちが、わたしの周りをクルクル回る。
「そしたら、お夕飯の前にもう一度やろうか」
「やったっ」
「絶対だぞっ」
次の約束すると、満面に笑顔を浮かべて飛び跳ねる。
夕飯の後は、きっとすぐに眠ってしまうだろうし、今度は石鹸を投入してもいいかもしれないね。
「うん。お昼を食べたら、またたっぷり遊んでおいで」
「フェリシアさまは?」
「お夕飯の準備をがんばりますっ」
というか、【お庭】の食糧庫に食べられるお魚を放り込みたい。
食べられないものもダストボックスに入れてしまわないと、今夜、追加の海産物を採ってきてもらうことができないので。コレは、午前中にめいいっぱい遊んだチビッ子たちがお昼寝しているあいだにササっと終わらせる予定です。
あと、コルルーポたちに、獲ってきてほしいものも見てもらおうとも考えているんだよね。欲しいものが分かっていれば、ダストボックス行きになる海産物も減るはずだから。
そういう意図もあっての答えだったんだけど、「えーっ!」という抗議の声が上がってビックリした。
「フェリシアさまもいっしょに遊ぼう?」
「わたしも?」
「うんっ」
「フェリシアさま、ぜんぜん遊んでないっ」
まあ、それはそう。
今日は特に、ガッツリ見守り体制なので。ピニャーシュさんから、浜遊びの危険ポイントを教わったからね。みんなが危ない目に合わないように、ご飯を作りながらチェックしてるんですよ。
うっかり遊び始めてしまったら、間違いなく夢中になってしまう。それじゃあ見守り役のお仕事が果たせないので、今日のところはガマンしなきゃいけません。
「……お昼を食べたあとに、ちょっとだけ一緒に遊ぼっか」
こ、断れなかった……
だって、やけに一生懸命誘ってくるなと思ってたら、みんなして「フェリシアさまが遊べないなら、お手伝いする」なんて言い出すんだもの。なので、ちょっとだけ! すこーしだけ、一緒に遊んでお茶を濁すことに……
途中で離脱、できるかな……?
☆★☆★☆★☆★☆★☆
結局、二時間全力で遊んで力尽きた。
濡れた砂を使って大きなお山を作ったり、お山の中に道を作りすぎて崩しちゃったり。
みんなが砂を掘って作ったプールでやった砂玉合戦だって、全身が砂まみれになったけれど案外楽しかった。
わたしが力尽きるのと、午前中から遊んでいたチビッ子たちの体力が尽きるのはほとんど同じタイミングだったみたい。
お昼寝から覚めたら、眠るチビッ子たちにグルっと囲まれていてビックリした。これもきっと、あとになったら良い思い出になるだろう。
ふと気づいたんだけど、わたし、こうやって近い年齢の子と遊んだのってヒガシショユ村以来では?
一カ所にとどまる時間が短かったし、町に滞在しているときもなんだかんだで買い物や【お庭】の作業に追われていたせいもあるけれど――きっと、目に入るもの全てが物珍しくて、【友達遊び】の優先順位が低かったんだろう。
のんびりしたいときのお供は、ミルギューやランチュウたちで満足していたんだもの。
チビッ子たちが眠っている間にこそっと【お庭】のお風呂に入って着替えてから、お夕飯づくりに取り掛かることにした。
きっと、目が覚めたら「からあげっ!」と、お腹をグーグー鳴らしながら叫ぶんだろう。
みんなが起きるまでに、できるだけたくさん揚げておかなくちゃ。




