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採集作業の効率化

 町を出て、フォレチェルの軽い駆け足で魔獣領域方面へ向かう。

ピニャーシュさんの感覚で、人の気配が少ない方に進んでもらうことしばらくしてから、やっとフォレチェルの足が止まった。


「ご希望の人気がなく、薬草が採れそうな場所だと思うが――問題ないかの?」

「うにゃ」


 ぶっちゃけ、薬草採取なんてしたことがないのでどんな場所が良いのかなんて全く分からない。

なので、わたしよりはマシかも知れないピニャーシュさんに場所の選定を丸投げしてみたんですよ。とりあえず、ほど良く森に近くて草がいっぱい生えた場所なので良いことにしてみた。

食べれる野草が採れそうなのが、とても素敵です。


「じゃじゃーん!」


 狩人組合で買ってきた薬草の束をいくつか取り出して、フォレルーポたちをポポンと召喚!


「コレは、お腹ピーピーになったときのお薬を作るのに必要な薬草ね」

「こっちは、カイカイをマシにする塗り薬用」

「あとは――えっと、のどのイガイガに効くヤツ」


 三種類の薬草を取り出して、呼び出した子たちに順番にクンクンさせる。

こういう匂いの元を探すお仕事は、イヌ科の子たちに任せるべきだと思うんだよね。フォレルーポは植物属性付きの狼の魔獣だから、まさにうってつけ!

八頭いるから、ピーピー草担当x二頭・カイカイ草担当x二頭・イガイガ草担当x二頭と三組に分けていってこ~い!

残る二頭は、わたしの護衛役です。


「わたしの匂いが分かるところまでで、他の人には近づいちゃだめだよー!」


 覚えた匂いの草を見つけたら、わたしを呼びに来るように言い含めて野に放つ。好き勝手な方向に散っていくフォレルーポたちを見送ったら、呼ばれるまではこのまま待機です。


 護衛役に残した二頭が揃って右を向く。


「ん、見つけたっぽい?」


 同時に頷く二頭の頭をワシャワシャしてから、伏せてくれた方の背中によじ登りそちらの方へと走らせる。


「じゃあ、わたしが落ちない程度の速度で近いところから回っていくよ~」


 バフッと小さく鳴いて小走りに駆け出したフォレルーポの背で、ハニブーンの群れを呼び出す。

あとはハニブーンに採集方法を覚えてもらえば、フォレルーポ一頭に三匹つけてあげればよい感じに採集してくれるはずです。


「従魔とはそういう風に使うものじゃったか……?」


 ピニャーシュさんは何とも言えない表情で首をかしげている。

でもね、わたし。ハニブーンが、案外いろんな作業を手伝えるって【お庭】で学習したからね。こういう作業には使い倒させていただきますともっ!

その間にわたしたちは、ハニブーンが集めることのできない地下茎採集を頑張ればいいのです。

役割分担、大事だよね。



☆★☆★☆★☆★☆★☆



 そんなこんなで、超高効率で採集作業を終えることができた。

なんと、一時間もかからずに大量の薬草が手に入ったからね。たぶん、しばらくは魔法薬用の素材に困らないんじゃないかな。


 とっても頑張ってくれたので、お手伝いをしてくれたフォレルーポたちを【お庭】に戻してから、全員をワシャワシャ撫でまわして労をねぎらった。

みんな、尻尾をグルんグルンと高速回転させてるものだから、尻尾が起こす風圧で周囲の草が激しく揺れる。ちょっと喜びすぎ。


「よしよし、みんないい子だし、せっかくだからブラッシングもしちゃおう」


 わしゅわしゅ わしゃわしゃ


 よく考えると、こうやってフォレルーポたちに毛づくろいをしてあげるのは初めてだね。

駆け出しマーケットの前からいるミルギューやランチュウたちにはちょこちょこしていたんだけど――フォレルーポやコルルーポは奴隷船から逃げたあとに捕まえたから、そういうお世話をしてあげる余裕がなかった。魔獣領域を早く抜けようと移動に時間を割いていたのもあるけれど、なんというか、みんなを無事に人里に連れて行かないとというプレッシャーがね。結構キツかったんですよ。

要は、心理的に余裕がなかったのだ。


 今日は、みんなにお弁当を持たせてあるから、そこそこのんびり過ごせる。

こういう風に、のんびりまったりできる時間って、やっぱり必要だね。毛づくろいのお礼にペロペロされたり、甘噛みされたりするのはくすぐったいけど、気持ちがポカポカ、ふわふわ弾む。


 ブラッシング待ちしているフォレルーポの後ろに、ちゃっかりランチュウたちが並んでるのを見つけた時には思わず吹き出してしまった。

いや、いいんだけどね。普段からランチュウたちにはお世話になってるし。

でもね、澄ました顔で並んでる姿にはなんともいえない可愛さがあったんだもの。仕方がない。


 一通りブラッシングを終え、【お庭】に暮らす従魔たちにご飯をあげたところでふと気づく。


「今度、解体した魔獣の大腿骨も取っておいてもらえば良いのでは?」


 大量に在庫のあるカミカゼホースやミルギューの大腿骨は、フォレルーポやコルルーポのご褒美にちょうど良さそうな気がする。サイズも大きくて噛み応えがありそうだから、長く楽しんでくれそうだよね。


「そうだ、帰りについでだからカミカゼホースを捕まえて行こう」


 売り払ってもいいし、解体所で頑張っている四人組に騎獣術覚えさせるための教材にしてもいい。

このままなら、四人一緒に狩人コースになりそうだからね。デンティゴルに向かう道中で、騎獣術を獲得できれば後が楽になるんじゃないかな。

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