狩人組合
ドメニコさんは、結局夜になっても帰ってこなかった。
ハテノナカ村での二日目の朝、宿の大部屋の中にはひとり減ってもいつもと変わることのない元気な子供たちのにぎやかな声が響いている。
「みんな~! いったん、お口閉じて~!!」
「は~い!」という返事とともに、部屋の中が静まり返る。
みんな、すごくいいお返事だね。ねぇねはとても誇らしいですよ。
「きのう、雑貨屋さんでみんなが遊べる場所を教わってきたから、昼間はそこに行こうと思ってるんだけどお宿に残りたい人はいる?」
「りーちぇ、おそと!」
「アリーチェが行くならいっしょに行く」
最年少のアリーチェちゃんが真っ先にお外遊びに食いつくと、すぐに質問が飛んでくる。
「ところで場所は?」
「神殿の前にある広場だね」
「神殿教室は?」
「希望すれば参加できるみたい」
「あと、解体の練習をしたい者は、狩人組合の支店で場所を貸してくれるそうじゃ」
「オレは「オイラは「あたしも「わっちも「そっちで!」」」」
最終的に、神殿教室で羊人兄妹三人とパオロ君とダニーロ君がお勉強。
熊人兄妹二人に猫人マリアちゃんと猿人のミケーレ君の四人は、神殿前広場で遊ぶ予定。
解体練習中の四人はピニャーシュさんに引率されて、狩人組合に向かうことになった。
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お昼ご飯は神殿前広場で食べることにして、ピニャーシュさんの後について狩人組合へと向かう。
村の門のすぐそばだから、魔獣領域が近い場所に作ったのかも。
狩人組合は頑丈そうな石造りの二階建ての建物で、一階入り口に入ってすぐが大きな広間になっていた。長椅子がいくつも並べられていて、今も何人かの人が思い思いにくつろいでいる。どうやらここは、待合室的な使われ方をしているっぽい。
待合室の右手側の扉の上に【解体受付】、正面奥の扉の上には【各種買取窓口】と大きく書かれた看板がある。
解体はほかの物と別扱いなのかと思いつつ、待合室の左手側にある階段に向かう。
階段の踏み板の側面には【各種登録窓口】【依頼受付窓口】などの案内板が矢印付きで貼られているので、今、用事があるのはこっちの方だと思うんだよね。
「わたしたちは、二階でいいんだよね?」
「うむ」
階段を上がった先は左手側に長い廊下伸びていて、右手側の壁にいくつもの扉が並んでいるのが見える。
一番手前の開いた扉の上に【各種登録受付】とあるので、ここが目的地のはず。
「狩人組合の会員登録をお願いします」
「おやおや、ずいぶんと大勢で来られたんですね」
出入り口の近くで作業をしていた山羊人のおじさんが、にこやかに小さなカードを用意し始めた。
用意してくれたカードには、ただ名前・種族・年齢だけを書き込めばいいだけだったので、わたしの分はすぐに終わる。カードの右上に通し番号が振られていて、これを見ればどこでいつ登録したかが分かるようになっているそうです。
「オレ、字習ったことない……」
マルコだけでなく、孤児組に書ける子はいないっぽい。
山羊人おじさんが「それなら、代筆で大丈夫ですよ」と言ってくれたので、書けない人の分はわたしとピニャーシュさんが代わりに書くことにした。
「では、こちらのプレートが身分証代わりになります。失くさないでくださいね」
書類を提出して少し待つと、端に穴の開いた鉄製のプレートが一枚渡される。
コレで登録自体は終了らしい。
「それでは、狩人組合の会員の特典や、組合で出来ること、皆さまにお願いしていることを順に説明します」
山羊おじさんから説明された内容の概略は、だいたいこんなかんじ。
【会員特典】
・ソルベル王国内の町村のフリーパス。
専用出入り口を使うことで、村や町の出入りに税金がかからない。
・納税代行。
買取時に税金相当分を天引きすることにより、納税の手間を省きます。
【組合で可能なこと】
・魔獣などの買取。
買い取り対象は魔獣の死骸の買い取りを行う。
魔獣や魔樹は、丸ごと一体が一番高額。
解体済みの体の一部(肉・皮・爪や牙)も買い取り対象。
薬草は薬師の代理で買い取るため、十本もしくは十枚を一セットとして買い取る。
・従魔の売買の仲介。
騎獣として運用可能な従魔は高額で買い取る。
狩りの補助が行える従魔や、食用の実をつける魔樹なども買い取り対象。
・魔法薬・魔道具・武具類・小道具類の買取も可能。
買取はFランク以上から。
市場価格よりも買取価格は低くなる。
・狩人として必要になる技能の個別指導。
有料。
解体・読み書きなど。
武術・斥候系スキルに関しては、指導できる者がいるか確認が必要。
【会員にお願いしていること】
・会員同士のもめごと(暴力・口喧嘩など)は組合内はもちろんのこと、滞在先でも絶対厳禁。
何度か繰り返す場合と悪質な行為を行っていた場合、資格をはく奪後に犯罪奴隷とすることもある。
・獲物の横取り・強奪の禁止。
ほかの狩人が仕留めようとしている獲物を横取りしてはいけない。
苦戦しているように見えた場合は先に助力を願い出て、依頼があれば手助けをしてよい。
正直、納税代行に関しては、長くこの国にいる予定がないわたしにとっては余分なサービスなんだけど……まあ、仕方ない。他の部分が便利そうなので気にしないことにしようと思います。




