第3話 邂逅
ベリアル王国内の王城にて、
国王クリムは、
時間操作魔法に関しては口外するなというお約束を守り続けているとフォルトナに伝えた。
その上で、フォルトナが行くべき場所を伝えた。
「フォルテさんにとって良い場所、いや、行くべき場所があるのです。」
「その場所は、このベリアル王国から北にある森の中の、とある家です。」
「森の中の、とある家…?
(そういえば私が転移してきた場所のすぐそこに、先が見えない森があったような…)」
「詳しくは分からないのですが、時間操作魔法に詳しい人が居るようなのです。その人に聞いてみてはどうですか?」
「ありがとうございます、国王様。」
「にしても、まだ小さいのにしっかりしてますね。」
「い、いえ。そんな事ないですよぉ。
(小さくないと言いたいが、流石に無礼かのう…)」
フォルトナは国王クリムが教えてくれた場所に行くために、まずは再び、ベリアル王国近くの野営地に向かった。
騎士団の人達が相変わらず忙しそうにしている中、一人騎士団の人間が話しかけてきた。
「む?キミは確か…」
「私はフォルト…ゴホン。フォルテじゃ!」
「あー!副長が言ってた子か。こんな所で何か用か?」
「ちょっと副長さんに会いたいのじゃよ。」
「そうか。今副長は団長と軍議をしてるから、もう少し待っててくれ。」
「(団長か。そういえば団長の人とは会ったことないな。気になるのじゃ!)」
─軍議が終わり、騎士団の団長と副長が戻ってきた。
「…おっ?フォルテじゃないか。どうしたんだ?」
「あっ!ええと、何じゃったかな…」
「ああすまんすまん。名前をまだ教えてなかったな。俺はベルクだ。」
ベルクはこの騎士団の副長をしていて、フォルトナが初めて出会った人でもある。
「ふむ、この子がベルクの言っていた幼女か。」
「(いっ…!何だか猛者のような雰囲気じゃな…)」
「キミ、名前は?」
「私はフォルテという者です。
(少し礼儀を込めておこう。)」
「この子は俺たちの野営地に一人で現れまして…俺が保護した後、王国内の宿屋で泊まっているんです。」
「そうか。この子は家族はいるのか?」
「いえ、家族はいないとの事で…」
「……っ。」
「…団長?」
「そうなのか…家族もいなくて…こんな幼い子供がっ…一人でここまでっ。ああぁーーっ!!」
「団長!?落ち着いて下さいっ!」
「(……あれ?この人、すごく涙もろい?)」
─────────────────────
「…すまない、取り乱してしまって。
自分はベリアル王国騎士団の団長をやっている、グランという者だ。」
「はじめまして、私はフォルテといいます。」
フォルトナは、森の中のとある家について話した。
「なるほど。噂で聞いた話だが、あの家の主はかなりの変わり者らしい。」
「そうなんですね。ますます気になりますなあ。」
「ただし、森の中は一人ではまずいから、騎士団の者をそばに置こう。」
─────────────────────
「はじめましてー!あなたがフォルテちゃん?
私はリリー。ベリアル王国騎士団で、魔道士をやってるんだ!」
「ちなみになんだけど、私はあの王国直属魔道士のエリーの妹なんだよ。」
「うぉっ?!まままさかあのエリー、さんの妹ですとぉ?!」
「まあまあ、そんなにかしこまらないで!
気軽に話して大丈夫だよっ!」
フォルトナはまた、森の中のとある家について話した。
「そうなんだー。フォルテちゃんは私がしっかり守ってあげるからね!」
「あの森は何が危険なのじゃ?」
「危険って程じゃないけど、霧が濃いところがあるから99%迷うんだってー。」
「えっ?!じゃあどうすれば良いのじゃ?」
「ふっふっふ。そこで私の出番だよ!」
言われるがままに、フォルトナは魔道士リリーと共に森へと入った。
~【隠れ家の森】~
「リリー、本当にこっちなのじゃな?」
「うん!こっちだよ。」
「目の前にある矢印は、リリーの魔法によるものなのか?」
「そうだね。これは光と風の属性魔法を組み合わせたもので、正しい方向を光の矢印で示してくれるんだよ。私は"ライトアロー"と呼んでるんだー!」
「属性魔法を組み合わせるとは、なかなかに難しそうじゃな。」
「難しいけど、キミ見たいな子供が迷子になってたら、私と一緒ならすぐ帰れるからね。」
「…私は迷子になったりしないのじゃっ!」
「そんな事言ってー、一度くらい迷子になったんじゃないのー?」
「も、もう!本当じゃあっ!」
しばらく歩いていると、突然リリーの魔法が狂いだした。
「んっ?おかしいな、"ライトアロー"が小刻みに震えてる。」
すると今度は、ライトアローがまるで狂ったコンパスのように、色んな方向を示し始めた。
「なんじゃなんじゃ?"ライトアロー"が狂い始めたぞ?!」
「むむっ…これはもしかして…」
四方八方からカサカサと物音が近づいてきている。
「フォルテちゃん、私から離れないで!
これは…"バッタリン"の群れだっ!」
「バ、バッタリン?!」
─バッタリンとは、あの昆虫バッタのように脚力が強く、サイズは猪くらい大きな魔物である。基本集団で移動していて、動くものに反応して飛びかかる。
草むらからばったり会うことが多いらしい。
「さ、流石にこの数はまずいねっ。」
「今にも襲いかかってきそうじゃぞ!何か攻撃手段はないの?!」
「火属性の攻撃魔法とかならあるけど…」
「おおそれがいいのじゃ、早くやって欲しいのじゃっ!」
「流石にここでやったら森が燃えちゃうう!」
─その時、風の流れが急に変わり、空気が急激に冷えるような雰囲気に包まれた。
草むらの奥からゆっくりと足音が聞こえてくる。
何やら詠唱をしていたようだが、
それはほんの一瞬で、
まるで"時が止まった"かのようだった。
─────────────────────
~〜「…我ここに命ずる。時よ、止まれ。」〜〜
─────────────────────




