第2話 時間
─幼女、もとい女神フォルトナは地上に降り立ち、人間と同じように生活をし始めているのだった。
フォルトナの一日は、大まかに言うとこんな風である。
まず、朝は13時に起床。
「おはようなのじゃ、マスター!」
「ふふっ、"おそよう"でしょ?」
「仕方ないじゃろ〜朝は起きられぬのじゃから。」
「"早起きは三文の徳"といって、早く起きて行動すると色々いい事があるのよ。」
「ふーん。」
「まぁ沢山寝ればすぐに大きくなるわよ。」
「なっ!私はもう"大人"じゃあっ!」
朝食をすっ飛ばして昼食を食べた後は、ベリアル王国内をブラブラと歩いてまわる。
「んー?これは指輪かの?」
「それは"セーフティリング"といって、つけた者の防御力を上げてくれるのさ。」
「へぇー。あっ、魔力を底上げしてくれる指輪とかないかの?」
フォルトナは意外にも、町の人とよく馴染んでいるらしい。特に市場の人達との交流は一日に最低でも一回はあるようだ。
「フォルテちゃん、パンが売れ残ったんだけどいるかい?」
「おっ、もらっていくのじゃ!」
そして夜は宿屋に戻り、先日借りた本を読んでいた。
「よしよし!"時間操作魔法"の本、どんな内容なのか気になるのう!」ペラペラ…
「ふむふむ。」ペラッ…
「…ふむ。」ペラリ…
「……ん?」パタッ。
「読めない。」
「何じゃこの文字は!丸っこい文字とカクカクした文字がバラバラに散りばめられておる!しかも何となくじゃが、無駄に長い呪文みたいなのもあって難解じゃぁー!」
─フォルトナが唯一目に止まった「時間操作魔法」の本。その中身に書かれていた文字は、なんと「日本語」だった。呪文が無駄に長いのは、著者が厨二病だったからである。…多分。
「はぁー…明日マスターに聞いてみようかの。
……くかぁー」
夜遅くまで本を読んだら次の昼まで眠る。ここまでが大体の一日の流れである。
─そして、幼女女神は寝つきがとっても良い。
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「…様。女神フォルトナ様。聞こえてますか?」
「……うむぅ、お主は誰じゃ…?」
「私は"夢の女神"ルプリス。あなたの夢の中に存在しているのです。」
「……え?」
どういう訳か、たった今女神フォルトナの夢の中に、もう一人の女神が存在しているのだ。
「"夢の女神"じゃとお?!なぜ私の頭の中に居るのじゃ!しかも私も女神なんじゃぞ、女神の夢に女神が出てくるとは、偶然であってもありえない話じゃぞっ!」
「いいえ、フォルトナ様の頭の中ではなく、あくまでも"夢の中"に存在しているのです。
それと…私はフォルトナ様の夢にしか現れません。」
「えぇぇ…」
「お時間ですね。それではまた会いましょう、フォルトナ様。」
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フォルトナは過去一番、なんとも言えない状態で起きた。
「…さて、このモヤモヤどうするかのう。」
日本語で書かれた"時間操作魔法"の本について、そこら中の人達に聞いて回った。
しかし、どこを回っても日本語を理解出来る人は居なかった。
「ぐぬぬ…読めない上に、見続けてると目がおかしくなりそうじゃな。」
─そんなフォルトナに、好機が突然訪れた。
"フォルテ殿へ、是非ベリアル王国の王城に来てもらいたい。"
~【ベリアル王城】~
「王城はここで良かったかの?にしても豪華じゃのう。宿屋より格が違うなぁ。」
「あなたがフォルテですね?
私はベリアル王国の国王クリムです。」
「(ほほう…この者、男であるが野蛮さなどは欠片もなく、むしろ聖人のような雰囲気じゃな。)
そうです。ところで何の御用で?」
─フォルトナは事前に宿屋のマスターから、最低限の礼儀作法を教えてもらっていた。意外と飲み込みが早かったようだ。
「はい、あなたが所持している"時間操作魔法"の本についてです。」
「っ…!」
─フォルトナは例の本についての経緯をクリム王に話した。
「…と、このような経緯でございます。」
「なるほど、分かりました。それで今は、その本を解読しようと?」
「そうなのですが…国王様は何かご存知ではありませんか?」
「はい。時間操作魔法については知っていますよ。」
「…!では、コレは解読出来ますか?何が書いてあるんですかっ?!」
「残念ながら、それは伝えてはいけない事になっています。」
「……へ?」
「かつてこの世界を作った女神様が、魔法を広めてくださった時、
"こういう類の魔法は危険だから口外してはいけない"とおっしゃっていまして…数千年前からこのお約束を守り続けているのです。」
「(…あっ。数千年前にそんな事言ってたわ。今ふと思い出した…)
うぅ…」
「…そこで、フォルテさんにとって良い場所があるんです。」




