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冒険者ギルドへ 1


 あれから翌日。

 時刻はもう夜。

 俺は冒険者ギルド本部のある迷宮国バルバ領内の町、ラビリンス・タウンへ走って向かっていた。


 俺達の住処、名もなきダンジョンがあるのは実は迷宮国バルバなのだ。


 迷宮国バルバには現在、俺達のダンジョンを含めて7つの未クリアのダンジョンが確認されている。


 まず世界で初めて確認されたダンジョンである、始まりのダンジョン、正式名称は『オリジナル』。

 強風が吹く谷の中にあるダンジョン、『風の谷』。

 昔の墓地の近くに存在するダンジョン、『腐敗の墓地』。

 火山の麓に入り口が存在するダンジョン、『地下火山』。

 とある太古の神殿の中に入り口が存在するダンジョン、『聖者の回廊』。

 Bランク以上の魔物しか存在しない難易度最高クラスのダンジョン、『覇の迷宮』。

 そして俺達のダンジョン、『名もなきダンジョン』。


 名もなきダンジョン以外のこの中のダンジョンはどれもそこそこ人気があり、ダンジョン付近には必ず町が設けられている。それらの町は『迷宮都市』と呼ばれている。


 なぜ俺達が冒険者ギルドに行かなければいけないのかというと、それは『迷宮都市領主代行権』を貰うためだ。


 迷宮都市領主代行権とは、その名の通り迷宮都市の領主を行うことが出来る権利だ。


 この迷宮国バルバは、知っての通り冒険者ギルドが運営をしている。

 だが、冒険者ギルドが直接自治を行っているのは、『オリジナル』の迷宮都市、ラビリンス・タウンだけで、その他の迷宮都市は迷宮都市領主代行権を持った人物が行っている。


 迷宮都市の領主代行になると出来ることは主に、施設の設置の有無の決定、冒険者の権利を侵害しないレベルでの条例の発令、治安の維持、などなど。


 ちなみに迷宮都市領主代行権を手に入れるための条件は、冒険者であること、かなりの資金を持っていること、それに相応しい能力を持っていること、の3つだ。


 勿論、暴政を働いてそれをギルドに見破られた際には、冒険者としての権利の剥奪、迷宮国バルバからの永久追放、領主としての権利の全ての取り上げ、というかなり厳しい条件が適用される。


 審査は冒険者ギルド本部にいる職員が直々に行い、認められればめでたく領主代行になれる。

 だが、これには俺達も相応のリスクがいるのだ。


 大きく分けると二つある。


 その内の一つは、ラビリンス・タウンに向かっている間、俺はダンジョンを空けなくてはならないのだ。

 ちなみに今回玲奈は連れて行かない。理由としてはこのダンジョンに魔物しかいないということを避けるためと、偽装関係のスキルを持っていないからだ。


 もう一つは、俺が勇者であることがばれるリスクだ。

 ダンジョンマスターのスキルにより上位鑑定以下のスキルをブロックすることが出来るが、それは完璧ではない。上位鑑定よりも高位の鑑定スキルは存在する。


 そのことから出来れば冒険者ギルドには行きたくないのだが、未知の人物が領主になるよりかは遥かにましだ。


 俺がラビリンス・タウンで行おうとしていることは大きく分けて二つ。


 その一つは、魔剣ディザイアを売りその資金を元に領主権を手に入れるということ。

 もう一つは、実質的な都市の経営をさせるための奴隷を手に入れることだ。


 奴隷を手に入れる理由は簡単だ。


 ダンジョンが繁栄すれば、領主やその部下が忙しくなるのは目に見えている。

 俺は楽をしたいのだ。働きたくない。


 なので大変そうな仕事を丸投げ出来る人材が欲しいのだ。


 奴隷には俺が神の眷属であることはおろか、ダンジョンマスターであることすら明かすつもりは無い。

 俺はこれから表舞台では、ライ・カザマとは名乗らず、オブザとして生きていく。


 このことを玲奈に伝えたところ、「監視者だからオブザね。雷らしい単純なネーミングだわ」と笑われてしまったが。


 ちなみに冒険者オブザとして偽装したステータスがこれだ。


 =========


 種族:人間

 名前:オブザ

 性別:男性

 Lv:46

 HP:253

 MP:253

 STR:63

 GRD:57

 AGI:95

 DEX:76

 INT:67

 MPR:57


 スキル


 達人

 短刀術

 風魔法

 鑑定


 称号


 冒険者


 =========


 これは俺のステータスを大体三分の一にしたものだ。


 あと冒険者には冒険者カードといったといった冒険者の身分を保証するものがある。

 そのカードには冒険者の名前、ランク、受注依頼、といった物が記されていて、これが冒険者をやる上での身分証のようなものになっている。


 その冒険者カードは、メフォールが持っていたものを改造してあたかも冒険者オブザの物のようになっている。神のスキルを使ったので改造がばれることはないだろう。


 冒険者ランクはCランクだ。実際その位のステータスはあると思うので問題ない。


 設定はこうだ。


 とある事情で魔剣を手に入れたオブザは、その資金を増やし、尚且つ権力が欲しいと思った。

 そして迷宮都市の領主としての権利を手に入れようと思い、冒険者ギルドに審査を受けに来た。

 そして自分だけでそれらを進めていくのは大変なので、奴隷を買いたい。


 冒険者はあまり素性を問われないし、資金としては魔剣ディザイアは30億リエルは手に入ると思うので十分だろう。

 実力も出来ればBランク以上が好ましいだろうが、未だ確認されていないようなダンジョンの迷宮都市の領主をやろうというので大丈夫だろう。


 実際ダンジョンの半数は確認されてから三年以内で攻略されるものが多い。

 なので迷宮都市を建てるというのは中々にリスクがある。迷宮都市というのはダンジョンあってこそなので、もしダンジョンが攻略されれば途端にさびれていくものが多い。


 普通、ダンジョンに迷宮都市がつくのは発見されてから一年が経った頃のものが多い。

 そのような常識があるので、俺の事はきっと異端な物か馬鹿を見る目で見られることだろう。


 だが、別にそれでも構わない。

 正直、そういう目で見られるのはもう慣れたことだ。


 そんなことを考えていると、やがてラビリンス・タウンが見えてきた。


 速度を抑えているとはいえCランク冒険者のAGIは高い。

 だが、普通こんなに早くには目的地にはつかない。


 俺がこんなに早くこの場所に着いたのは、ラビリンス・タウンの近くまで転移魔法で来たからだ。

 だが、帰りは奴隷を連れていくという都合上、転移魔法を使うことは出来ない。


 もし冒険者が来たとしても玲奈がなんとかするだろうが、なるべく早くに帰りたいなと思う俺だった。

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