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そこそこの侵入者


「ここか……アコアン達がいなくなったという洞窟は」


「はい、ここは確か荒れ果てた洞窟のはずだったんですけど……真新しい石造りになっているということは、やはりダンジョンになったということですかね」


 玲奈と第一回ダンジョン会議を行ってから一週間、ついに冒険者第二陣が来たようだ。

 今回来た冒険者は前回の見習い冒険者よりも、いい装備をしており、纏っているオーラも一人前という感じだ。


 その冒険者は男女一人ずつで一人が騎士っぽい外見、もう一人は魔導士っぽい外見だ。

 俺はそいつらのステータスを見る。


 =========


 種族:人間

 名前:メフォール

 性別:男性

 Lv:41

 HP:381

 MP:93

 STR:54

 GRD:57

 AGI:48

 DEX:47

 INT:45

 MPR:52


 スキル


 剣術

 炎魔法

 鑑定


 称号


 冒険者


 =========


 種族:エルフ

 名前:ぺルペラ

 性別:女性

 Lv:17

 HP:242

 MP:221

 STR:51

 GRD:38

 AGI:43

 DEX:40

 INT:57

 MPR:40


 スキル


 水魔法

 雷魔法

 土魔法

 下位鑑定


 称号


 新人冒険者


 =========


 新人冒険者


 見習いを卒業した冒険者に与えられる称号。

 この称号を手に入れ一年が経った頃には称号は冒険者へと変わる。


 =========


 エルフ


 ステータスの平均値が高く、特に、MP、STR、INT、が高い種族。

 長寿の種族としても知られており、また魔法の扱いにも長けている。

 ただし、レベルが上がりづらい。


 =========


 なるほど、こいつらは前の口先だけの見習いよりも出来るみたいだ。

 ステータスも高いし、こいつらクラスなら、今回こそはダンジョンのテストが出来るだろう。


 後、再び新たな種族がやってきました。エルフという種族だそうです。

 これなら少しは期待出来るのではないでしょうか。


「雷、この二人どこまで潜れるかしらね?」


「さあ? 行けて六階層の階段前くらいまでだろ。この二人にコマンダーは倒せないよ」


 確かに五階層の攻略推奨レベルは50だが、それはちゃんとしたパーティーで来た場合の話だ。

 確かにメフォールはレベル41だし、ぺルペラとかいうエルフは、レベル17にしてはそれなりのステータスを保持しているが、それでもたった二人でコマンダーは倒せない。


 そう断言するにはとある理由があるのだが、まあここでは語らなくてもいいだろう。


「それにしても、まさかアコアン達パーティーが一人も帰ってこないとはな。あいつらにはやばい奴が出たら素直に引き下がるよう伝えたのだが」


「可能性としては罠で一網打尽にされたか、逃げることすらできない強力な魔物に遭遇したか、又は単純に油断したか、この線が怪しいですね」


 お、エルフさん正解。

 あのアコアンとかいう見習いはゴブリンだとなめくさって見事返り討ちにあったんですよ。


「とりあえず進んでみないことには分からないな。気を引き締めろよぺルペラ。いくらエルフといってもダンジョンでは何が起こるか分からないからな」


「はい、分かっています。今回の依頼はアコアン達の捜索、もしいなかったらその原因を特定すること」


「そうだ、何が出てくるかも分からないダンジョンをぶっつけ本番で攻略するのは無茶だからな。それじゃあ行くぞ、俺が前に出るからぺルペラは後ろにつけ」


「了解です」


 メフォールという大柄な男がそう指示すると、ぺルペラもそれに従い後ろにつく。

 その様子はとても緊張感があり、まるで遠足に来たかのような感じだったアコアン達とは明らかに違う。


 そして少し経った頃。

 二人の前にゴブリンが六体現れる。


「ゴブリンですか……大したことなさそうですね」


「いや、待て、このゴブリン中々に強いぞ。レベルは10、それに戦闘術小というスキルも習得している。それが六体だ」


「ほ、本当ですか?」


「ああ、アコアン達にはカーラがいたはずだが……恐らくアコアンはゴブリンと相手をなめて周りの言うことを聞かず突進、それで返り討ちにされたんだろう」


 おお、大正解。

 まるで近くで見てたんじゃないかと思えるほどだ。


「ぺルペラ、改めて言うが気を引き締めろ。油断していたら俺達でもやられかねない」


「は、はい」


 ぺルペラを叱責するとメフォールは腰に下げている剣を抜く。剣の質もアコアンのような粗悪な鉄ではなく、きちんとした鉄製の剣だ。


 それに合わせてぺルペラも杖、というよりスティックに近いものを手に持つ。

 この世界では魔法の強化装置として、杖などの武器がよく使用される。これがあると、魔法の発動を速くできたり、魔力の消費を少なくしたり、威力を上げたりなど、様々な恩恵を受けることができる。


「俺が先行する。ぺルペラは援護を頼む」


「はい、任せてください」


「では、行くぞ!」


「グガガガガアアアア!」


 メフォールが足を踏み出し声をあげるのと、ゴブリンが叫び、一気に突進するのは同時だった。


 戦いは一方的だった。


 メフォールが剣を振るうたび、ゴブリン達の体は切り裂かれ、逆にゴブリン達の攻撃は、躱されるか防御されるかで、ダメージがろくに入らない。

 さらにメフォールは、一対多の状況にも慣れている様で、決してゴブリン達に包囲されることはなく、ゴブリン達と一対一か一対二で戦うようにしていた。


 それに加えてぺルペラは様々な魔法でメフォールを援護し、自身にゴブリンが向かった時も冷静に魔法で対処し、見事に倒して見せた。


 俺は見ていて、いいコンビネーションだと素直に思えた。

 メフォールはこれまでの経験なのか、落ち着いて戦いが出来ていたし、ぺルペラも魔法を巧みに扱い戦闘が出来ていた。


 これなら本格的なテストになるだろう。


「ふぅ、中々手ごわかったな」


「はい、最初はゴブリンだと思ってみくびっていました。ですがこの強さのゴブリンが、この数で襲って来たら、F以下では全滅、Eでも厳しいでしょうね」


「ああ、これから先もこのクラスの敵が襲ってくると考えられる。常に警戒を解くなよ」


「はい」


 メフォールは剣をしまい、ぺルペラも杖を下ろす。

 そして二人はダンジョンの奥へと進んでいった。


 その様子をテレビの向こうで見ている、雷と玲奈が笑みを浮かべているとは知らずに。

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