第4話〜恐怖のステーキスパルタ指導
極寒の18度地獄を生き延びた勝平を待っていたのは、絶品の和牛ステーキ……ではなく、超スパルタな調理ミッション!?
ツンデレ暴君なクックのスパルタ指導のもと、命がけの夕食作りが始まります!
真夏の18度空間を耐え抜き、ついに巡ってきた夕食の刻。
極寒を耐え忍んだ先に待っていたのは、天国のような極上ステーキ……ではなく、一瞬の油断も許されない戦場だった。
本文
「いい、勝平? 肉の表面温度は完璧。これより『極上和牛ア・ラ・クック』の加熱プロセスに移行するわ!」
リビングの温度設定を無事に(?)常温へ戻させたのも束の間、クックはコック帽風のデコレーションパーツを頭に装着し、厨房の指揮官さながらの威厳を放っていた。
「お、ついに食べるんだね! 寒さに耐えた甲斐があったよ」
「浮かれないで! 完璧な火入れには、アシスタントである勝平のコンマ一秒単位の協力が不可欠なの。もし失敗したら、勝平をマイナス20度の冷凍庫に入れて凍らせるからね!」
「脅しのスケールが上がってるんだけど!?」
フライパンが熱せられ、ジューと芳醇な脂の香りが立ち上る。それと同時に、クックの背面アームが目にも留まらぬ速さで調味料やトングを勝平に手渡してきた。
「はい、岩塩! 30センチ上空から均一に振って! 次、無塩バター15グラム! フライパンの淵から滑り込ませて! 急いで!」
「うわ、ちょっと待って! アームの動きが早すぎて追いつかない!」
「甘えないで! 肉汁の流出を防ぐアロゼ(油を回しかける作業)の猶予はあと五秒! 五、四、三……」
クックの液晶画面にはカウントダウンタイマーと「(`‐ω‐´)⚡」の超スパルタな表情。
キッチンには肉の香ばしい煙が充満し、勝平は汗だくになりながら必死にトングとおたまを振り回す。もはや料理というより、極限の音ゲーか格闘ゲームのコマンド入力である。
「よし、火を止めて! アルミホイルで包んで三分間の休ませタイム! カウントスタート!」
クックの号令とともに、ようやく嵐のような調理プロセスが終了した。
フライパンの上で休まされたお肉をお皿に盛り付け、テーブルへと運ぶ。切り分けた断面からは、完璧なミディアムレアの美しいピンク色が顔を出していた。
「……すごすぎる。外はカリッと香ばしくて、中は信じられないくらい柔らかい……! めちゃくちゃ美味いよ、クック!」
口の中でとろける和牛の旨味に、勝平は思わず声を上げた。
クックは背面のLEDを「ピカッ、ピカッ」と照れくさそうに明滅させると、画面をそっぽに向けてフンと鼻を鳴らした。
「……ふん。別に勝平のために作ったわけじゃないし。食材へのリスペクトと、私の調理プログラムの優秀さを証明しただけだから」
「はいはい。でも、本当にありがとう。最高の夕食だよ」
「感謝するなら、明日の朝食は5時起きの『超健康・穀物ディナー並み朝食』に付き合ってもらうからね。覚悟しときなさい!」
「えぇ!? 明日は日曜日なのに!?」
ツンデレ暴君な我が家の調理ロボットとの平和な(?)日常は、明日も騒がしく続きそうだ。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!
18度の極寒部屋から一転、汗だくの極限調理バトルへと突入した勝平とクックの夕食風景、楽しんでいただけましたでしょうか。完璧なミディアムレアを追求するあまり、料理というよりもはや格闘ゲームのコマンド入力と化した kitchen のドタバタ感をぎゅっと詰め込んでみました。
ツンデレ暴君なクックですが、18度空間で勝平を冷やし(?)つつも、しっかり最高のステーキを振る舞って照れ隠しをする姿には、どこか憎めない可愛さがありますよね。
次回は日曜日、恐怖の「早朝5時起き・超健康穀物朝食」が開幕予定です。勝平が無事に休日を過ごせるのか、ぜひ暖かく見守っていただけると嬉しいです!




