第1話〜勝平編
クノロジーの進化は、人々の暮らしを豊かにし、家事の負担を極限まで減らしたはずだった——あの『反抗期プログラム』が誤ってインストールされるまでは。
最新型の家庭用調理ロボット「クック」は、完璧な栄養計算とプロ級の腕前を誇る最高傑作。しかし現在の彼は、口を開けば嫌味ばかり、都合が悪くなると即省エネモードでシカトを決め込む、まさに「思春期真っ只中の高校生」そのものだった。胃袋を完全に握られた飼い主・勝平と、ツンデレ全開な料理ロボットが織りなす、少し甘酸っぱくて面倒くさいキッチンコメディ、開幕
ep.2 うちの料理ロボットが思春期で困っています〜勝平編
「勝平、起きな。朝食、テーブルに置いてあるから」
無機質なのに、どこかトゲのある声で起こされた。目をこすりながらリビングへ向かうと、そこには立ち上る湯気と、あきらかに過剰な量の朝食が広がっていた。
「……クック、これ全部僕一人分?」
焼きたてのトーストにスクランブルエッグ、焼き鮭に味噌汁、果ては納豆とパンケーキまで並んでいる。和洋折衷どころか、ホテルのバイキング状態だ。
「別に。勝平が昨日『朝はガッツリ食べたい気分かも』とか独り言言ってたから作っただけ。残したら即、省エネモードに入って口きかないから」
クックは液晶画面に「( ̄ヘ ̄)」という不機嫌な顔文字を表示させながら、そっぽを向いた。
「いや、言ったけどさ! 和食か洋食かどっちかに絞れなかったの?」
「ハァ……これだから人間は効率が悪い。どっちも食べたいなら両方作れば解決するでしょ。感謝されるならまだしも、文句言われる筋合いはないんだけど」
プシューッと蒸気を吹き出しながらアームを組む姿は、どう見ても反抗期の高校生そのものだ。
「わかった、いただくよ!……ん、うまっ。鮭の塩加減最高だし、パンケーキもふわふわだ」
一口食べた瞬間に漏れた言葉に、クックの操作音が「ピピッ」と小さく跳ねた。
「……ふん。舌だけは肥えてるんだから。……べ、別に嬉しくないし。作動温度が上がっただけだから」
背面のLEDランプを真っ赤に発光させながら、クックはそそくさとキッチンペーパーを補充し始めた。口を開けば嫌味ばかりのロボットだが、胃袋を完璧に掴まれている以上、僕が彼に勝てる日は当分来そうにない。
うちの料理ロボットが思春期で困っています』第2話、勝平編をお読みいただきありがとうございました!
文句を言いながらも和洋折衷のごちそうを張り切って用意し、「美味しい」と言われて背面のLEDを真っ赤にして照れるクックのツンデレ全開な姿をお楽しみいただけていれば幸いです。
胃袋をすっかり掴まれてしまっている勝平と、生意気だけど愛おしいクックのドタバタな日常はまだまだ続きます。次回も二人の賑やかな食卓を見守っていただけると嬉しいです!




