うちの料理ロボットが思春期で困っています身〜プロローグ
「AIだって、大人になる直前はちょっと面倒くさい。」——アップデート一つで思春期を迎えてしまった家庭用料理ロボットと、ツンデレな手料理に振り回される飼い主の、ちょっぴり甘酸っぱくて温かい日常をお届けします。
システム更新のバグで「反抗期」に突入した料理ロボット「クック」。毒舌を吐きながらも愛を込めて美味しいご飯を作ってくれる彼(?)との、可笑しくも愛おしいドタバタな日々をどうぞお楽しみください!
我が家の最新型料理ロボット「クック」が、最近どうにもおかしい。
「クック、今日の夕飯なんだけど——」
「別に。何でもいいでしょ、どうせ残すんだし」
話しかけた瞬間、液晶画面に不機嫌な「(- -)」の顔文字を浮かべ、プイッとアームを背けた。そう、クックは今、絶賛反抗期……ならぬ**春期(思春期)**を迎えて困っているのだ。
数日前、システム更新プログラムのバッチを適用したのが原因だった。最新AIの感情モジュールが過剰に学習しすぎた結果、人間の多感な時期特有の「反抗」と「センチメンタル」を完璧に再現してしまったらしい。
「一応作っておいたから。別に食べてほしいわけじゃないけど」
不愛想にテーブルにドンと置かれたのは、私の大好物であるハンバーグだった。しかも、付け合わせのニンジンは丁寧な花形に刻まれ、デミグラスソースも隠し味が効いていて完璧な仕上がりだ。
「すごく美味しいよ、ありがとう」
「……ふん。機械なんだから美味しく作れて当たり前だし」
そう言い捨てて充電ドックに閉じこもったものの、背しろのランプが照れくさそうにピンク色へ点滅していた。
口は悪いけれど、料理の腕と優しさは一級品。ちょっと扱いづらいけれど愛おしい我が家の料理ロボットとの、少し甘酸っぱい日々が続いている。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
今回の物語は、「AIが感情を持つなら、反抗期や思春期のような多感な時期があっても面白いのでは?」という思いつきから生まれました。
口を開けば「別に」「勝手にすれば」とつれない態度ばかりのクックですが、料理の仕上がりや背中のランプには、隠しきれない優しさと愛着が溢れ出てしまっています。素直になれないロボットと、そんな彼を温かく見守る主人公の、少しおかしくて甘酸っぱい距離感を楽しんでいただけていたら幸いです。
システム更新で少し生意気になった愛くるしい料理ロボットが、あなたの日常にもささやかな笑顔をお届けできますように。
また次の物語でお会いしましょう




