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超毒舌グルメVTuberは俺の飯だけ星一千万〜隣の無口美少女を料亭仕込みの家庭料理で餌付けしていたら、毎晩ごはんをねだられるようになった〜  作者: ハイさん
第5章 特定騒動と秘密のキッチン、そして終わらない食卓

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第81話 恋人の朝

「名前をつけた」翌朝。


 目が覚めた。布団の中。天井を見る。


 ——恋人になった。俺と鈴音が。


 横を見る。ベッドの上に——鈴音がいない。


 味噌汁の匂い。


 台所に立っている。パーカーにショートパンツ。黒い髪。後ろ姿。


 何も変わっていない。昨日と同じ朝。同じ匂い。同じ後ろ姿。


 だが——全部が違って見えた。


「……おはようございます」


「おはよう」


 鈴音が振り返った。無表情。——のはずなのに。目元が少しだけ柔らかい。口角が一ミリだけ上がっている。


 気づかれた。俺がじっと見ていたことが。


「……何ですか」


「いや。何も。おはよう」


「……もう言いました」


「もう一回言った」


 鈴音の耳が、朝から赤い。


 ◇


 味噌汁をよそってもらった。一口飲む。


「……九十四点」


「……上がりましたか」


「気のせいかもしれないけど——今日の味噌汁、やけに美味い」


「……気のせいではないです」


「何か変えたのか」


「……昆布を少し多くしました。……みなとさんが好きだと言っていたので」


 ——俺の好みに合わせてきた。いつもは自分の味を追求していた鈴音が、今日は俺の好みにチューニングしている。


「鈴音。自分の味でいいって言っただろ」


「……今日だけです。……特別な日ですから」


 特別な日。恋人になった翌朝。


「……明日からは自分の味に戻します」


「そうしてくれ」


「……はい」


 朝食を食べた。いつもの速度で。いつもの所作で。小指が跳ね、左手が膝を掴む。


 何も変わっていない。


 変わったのは——「特別な日」が毎日になるということだけだった。

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