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超毒舌グルメVTuberは俺の飯だけ星一千万〜隣の無口美少女を料亭仕込みの家庭料理で餌付けしていたら、毎晩ごはんをねだられるようになった〜  作者: ハイさん
第5章 特定騒動と秘密のキッチン、そして終わらない食卓

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第77話 沈黙の敗北

配信が終わった。


 同時接続数は最大で十二万三千人を記録した。リリのチャンネル史上最高記録。アーカイブの再生数は——配信終了から一時間で五十万回を超えた。


 トレンドワードに「鬼舌のリリ」「妖精」「出汁巻き卵」「薄造り」がランクインしていた。


 そして——「真実のカメラ」のチャンネルに、変化が起きた。


 特定企画の動画が——全て非公開になっていた。


 チャンネルのコミュニティ投稿に、一文だけ残されていた。


『リリさんの特定企画について、本日をもって中止します。ご迷惑をおかけしました』


 ——逃げた。


 リリのファンによる通報とプラットフォームへの報告、そして何より——妖精の手配信による世論の完全逆転。暴露系がリリを攻撃するメリットがなくなった。


 コメント欄には嘲笑と安堵が入り混じっていた。


『妖精がプロの料理人だと証明された瞬間に逃げる暴露系、ダサすぎて草』

『つーか最初から手を出す相手を間違えてたんだよ。妖精は料亭クラスのプロだった。喧嘩売る相手じゃない』

『これにて一件落着だな。リリも妖精も無事だ』


 ◇


 スマホを閉じた。


 鈴音は——ちゃぶ台の前で、膝を抱えていた。


「……終わった、んですね」


「終わった」


「……本当に?」


「動画全部消えてる。あいつはもう来ない」


 鈴音は——ゆっくりと、膝から顔を上げた。


 涙が——頬を伝っていた。


「……よかった」


 声が、震えていた。安堵の震え。


「……怖かった。ずっと怖かった。……バレたら——みなとさんにも迷惑がかかると思って」


「迷惑なんかかかってない」


「……でも——料亭の技術を使って。……みなとさんの過去が——」


「手元しか映してない。声も変わらない。バレない」


「……」


「それに——俺が自分で決めたことだ。お前を守るために、自分の技術を使うと決めた。迷惑じゃない」


 鈴音は——涙を拭った。


「……みなとさん」


「ん」


「……ありがとう、ございます」


「どういたしまして。——さて、遅い時間だが」


「……はい」


「腹減らないか」


 鈴音の目が——ぱっと輝いた。涙目のまま。


「……減りました」


「何がいい」


「……オムライス」


「また?」


「……あの時の。……百均のフライパンの」


 笑った。思わず。


「了解。作る」


 深夜のオムライス。二人分。


 六畳間に、バターの匂いが広がった。


 もう——怖いものは、ない。

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