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超毒舌グルメVTuberは俺の飯だけ星一千万〜隣の無口美少女を料亭仕込みの家庭料理で餌付けしていたら、毎晩ごはんをねだられるようになった〜  作者: ハイさん
第5章 特定騒動と秘密のキッチン、そして終わらない食卓

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第74話 煽り

暴露系配信者「真実のカメラ」の新しい動画が上がった。


 タイトル——「【速報】鬼舌のリリ、居住エリアを絞り込み完了。○○駅周辺の集合住宅か」


 駅名が——伏字になっていた。だが動画の中では、複数の候補駅を挙げている。その中に——俺たちが住んでいる駅が含まれていた。


「リリの配信で確認できる環境音から、候補を三駅まで絞りました。近日中に現地調査を行います」


 現地調査。つまり——この辺りをうろつくということだ。


 動画はさらに続いた。


「ところでリリさん。あなたが『妖精』と呼んでいる人物の料理、本当にそんなに美味しいんですかね? 素人が家庭の台所で作った料理を、まるで三ッ星レストラン並みに絶賛する。正直——視聴者を騙しているとしか思えません」


 ——何だと。


「リリが絶賛する飯なんて、大したことないでしょう。壁越しに聞こえる出汁の匂いで感動している設定? 笑えますね。本当に料理ができるなら、証明してみろって話ですよ」


 動画が終わった。


 スマホを握る手に——力が入っていた。


 大したことない。


 俺の料理が——大したことない。


 鈴音が毎日食べている料理。百回のおにぎり。六十五点から九十二点まで上がった味噌汁。オムライスで涙を流した鈴音の顔。


 それが——「大したことない」。


 静かに——怒りが沸いた。


 煮えるような怒りではない。出汁を引く時のような——じわりとした、低温で長時間かかる怒り。


「……みなとさん」


 鈴音が、俺の顔を見ていた。台所のカウンター越しに。


「……動画、見ましたか」


「見た」


「……怒って、いますか」


「怒ってない」


「……嘘です。みなとさんが怒ると、包丁を研ぎ始めます。……今、砥石を出しています」


 手元を見た。確かに——無意識に砥石を出していた。


「……鈴音。俺に考えがある」


「……何ですか」


「リリの配信に——俺が出る」


 鈴音の目が——大きく開いた。


「……出る?」


「顔は出さない。手元と声だけ。リリのアシスタント——料理人として。あいつが『大したことない』と言った料理を、配信の中で作って見せる。俺の技術で」


「……みなとさんの技術は——料亭の」


「ああ。あの暴露系が煽ったんだ。証明してやる。——俺の料理が、大したことあるかないか」


 鈴音は——三秒黙った。


 それから——微かに、唇を上げた。


「……やりましょう」

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