表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超毒舌グルメVTuberは俺の飯だけ星一千万〜隣の無口美少女を料亭仕込みの家庭料理で餌付けしていたら、毎晩ごはんをねだられるようになった〜  作者: ハイさん
第4章 陽キャ同級生VTuberと、重圧のトラウマ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/77

第66話 健太の全知

九月末。


 後期の講義も軌道に乗り、日常は緩やかに回り始めていた。


 鈴音の味覚は完全に復活した。味噌汁のスコアは九十一点を記録し、安定して九十点前後を維持している。食材鑑定も以前のレベルに戻った——いや、以前より一段階上がっていた。「分析」と「感覚」の両方を使えるようになったからだ。


 キララとの関係は——変わった。距離を取ったが、険悪にはなっていない。学食で会えば普通に挨拶するし、キララも鈴音に気を使って距離を保つようになった。大人だ。


 そんなある日の昼休み。


 健太がカップ麺を持って隣に座った。いつもの光景。


「湊」


「ん」


「お前さ、氷室さんとは結局どうなんだ」


「どうって」


「付き合ってんの?」


「……付き合ってない」


「嘘だろ」


「嘘じゃない。名前をつけてないだけだ」


「名前をつけてないだけって——それ、全員付き合ってると思ってるぞ。学食であんな宣言された後に」


 学食事件。「みなとは私のです」。あれは確かに——大学中に広まった。


「あとさ」


「ん」


「お前に聞きたいことがある。——氷室さんがリリだって、いつから気づいてた?」


 フリーズした。


「……何のことだ」


「とぼけんなよ。俺だって馬鹿じゃない」


 健太がカップ麺を啜りながら、指を折った。


「一。リリのレビューに出てくる料理の写真と、お前が作る料理が酷似している。盛り付けの癖が同じ。二。リリの『妖精』は壁の向こうから出汁の独り言が聞こえるって言ってた。お前はボロアパートに住んでいて、隣に氷室さんがいる。三。リリの味噌汁の点数推移と、お前が最近やたら味噌汁に詳しくなった時期が完全に一致してる」


 ——健太。お前、考察ガチ勢だったのか。


「しかもだ。リリの配信でオムライスの話をした直後に、氷室さんが急に元気になった。そしてお前は翌日、やたら機嫌が良かった。一プラス一は二だ」


「……いつから」


「確信したのはオムライスの回。でも疑い始めたのは、お前が『あいつ、最近ちゃんと食べてるか?』って、画面の向こうのリリを身内みたいに心配してた時かな」


 無意識の、あまりに身内すぎる呟き。健太はそれを、聞き逃してはいなかった。


「……で、どうする気だ」


「どうもしないよ。俺はただのリリの一ファンで、お前の友達だ。バラしたりしない」


「……ありがとう」


「ただし、条件がある」


「条件?」


「今度、お前の手料理を食わせろ。リリが語彙力壊すレベルの飯を、一回でいいから食ってみたい」


「……カップ麺好きの奴が何言ってんだ」


「カップ麺好きだからこそ、たまにはいいもん食いたいんだよ」


 健太はカップ麺の残り汁を飲み干した。


「あと、もう一つ」


「まだあるのか」


「氷室さんのこと——ちゃんと、名前つけてやれよ。あの子、ずっと待ってるぞ」


 健太は立ち上がった。トレイを返しに行きながら——振り返った。


「ところでキララって、アリアだろ」


「……お前、何者だ」


「ただの大学生だよ。——観察力がちょっと高いだけ」


 去っていった。


 健太。お前——最初から全部わかってたのか。


 頭を抱えた。


 考察ガチ勢が一番近くにいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
■作者からのお知らせ
この作品をキャラクターの声で楽しめる「ボイスドラマ版」をYouTubeで公開しました!
ぜひ耳でも作品を楽しんでみてください↓

ハイさんの創作チャンネル
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ