決別
逆ハービッチである事が判明したリーシアには愛想もつきたし、結局アウレリアたんは国から放逐されちゃったし、国の内情はきな臭いし、俺、死にたくないし。
ここは優秀な弟にすべてまかせてトンズラする事に決める。
この文化って何?って問い詰めたくても相手すら見つからないような世界で、俺は死なないように生きていく。
その為にはここに居ちゃダメだ。
父には記憶が戻るまでに仕出かした事を懺悔し廃嫡してくれるように頼んだ。
俺は臣籍に下り、弟が立太子してリーシアを含めた面倒くさい人間関係をも引き継ぐ。
青き血の勤め?
前世でももやしっ子草食男子でしかなく、こっちの世界では甘やかされた長男の王子でスペックの低い、顔だけの俺に何ができると?
そういうのは能力のある奴にまかせればいい。
向いてない奴に大事な役目を負わせるとかって、国にも国民にも、そして俺にも不幸でしかないからな。
俺は「見分を広げるため」の全国漫遊の旅に出る事にした。
キンキラした王子ご用達物資は王城に置いていくことにする。
あとで拝領したささやかな俺の領地へ送っておいてくれるそうだ。
さすがに元王子の俺を手切れ金だけでポイと市井へ投げだせないらしい。
金を稼ぐ手段をもたない奴を放り出して、いろいろ面倒事を引き寄せられても困るからと、食うには困らない収益のあがる領地をもらった。
もちろん俺には管理するような能力がないから、(教育はされたが教科書どうりにやってりゃ上手くいくってもんではない)代理人がいて、諸々の必要経費を差っ引いた利益が俺の懐に入るしくみだ。
ありがたや実家様(王家)
あっという間に放浪癖のある変わり者の元王族貴族の出来上がりだ。
ま、俺の顔がキンキラしたまんまだが、顔は変えられないから仕方ないしな。
それにせっかくイケメンに生まれたんだ。少しはモテモテヒャッハーを経験してみたいじゃないか。
…いや、そういうのはハニートラップで懲りてたな。そういや自覚なかったけどそこそこモテてたわ、俺w
俺の地位とか関係なく俺の事を好きになってくれる人がいいな。
そう考えて俺は自分に「乙女か!」と突っ込んだ。
そうだよ。そうだったよ。ここは乙女ゲー(?)の世界だった。
影響うけてんじゃん俺。
NAISEIとかいう単語も最初から頭に浮かばず、最初に思う事は色恋かよ…
ゲームの影響力、ハンパねぇ