俺は抗う
俺の「旅立ち」にはお目付け役を兼ねたボディガードも宛がわれた。
好きなのを選んでいいって言われたんでゲームには出てこなかったモブっぽい奴で強そうなのを騎士達の中から選んだよ。
当然、乙女ゲーで需要がないだろうムクツケおっさんばかりになる。
俺の元とりまきで、最後まで俺についてくると言ってくれたのは近衛騎士団の団長の息子のマーカスだけだった。
我ながら人望のなさに乾いた笑いが出る。
厳しい旅だ(多分)
貴族のお坊ちゃまには辛いだろうって俺もだが。
とか言うのは言い訳で攻略対象のマーカスをリーシア《ヒロイン》から引きはなして、ゲームの強制力が俺に及んでは大変だと保身に走った結果、遠慮頂いた。
お前の役目はリーシア、《逆ハービッチヒロイン》を影で操っていた悪徳商人を燻りだして王城の中を消毒する事だ! と散々煽っておいたから頑張って引っ掻きまわしてくれるだろう。俺は知らんが。
リーシアも見てる限り、特定の男とくっ付くより山あり谷ありのジェットコースター恋愛を付いたり離れたりして楽しんでいる限り対して害にならなようだしね?
俺との婚約に至らなかったため、リーシアは男爵令嬢のままだ。
身分的に、貴族の中枢に食い込むような活躍は、もう出来ないだろう。
学園での、身分を弁えない行動の数々は、俺という後ろ盾があってのなせる業で、俺がいなくなって見れば王城に頻繁に出入りしていたのがまるで幻のようにその姿を見せなくなっていた。
もちろん攻略されかかっていた我が弟フェルナンドには釘を刺していたし、俺が廃嫡される事の条件のひとつに「リーシアには関わらない、話さない、触れない」を約束させておいたから、今のところ、誰もリーシアとは積極的に関わろうとはしていないようだ。
見えない所になるとわからんが。
ゲームの強制力もあるだろうし。
俺が頑張ったせいでアウレシアちゃんに懸けられた嫌疑も半分は解けたよ。
驚いた事に、リーシアがされていた嫌がらせの半分は本当にアウレシアちゃんがしていたよ。
クールビューティな美貌の下に、とっても怖い化け物を飼ってたんだね!
アウレシアたん!
俺、ますます女が怖くなってしまったよ!?
しかし、そんな嫌がらせを受けていても、鉄メンタルで逆ハーしていたリーシアは相当な強者だって事だね。
女は強し…
特に恋愛している女は強いよな、って油断しているとすぐ色恋に思考が流されそうになるのはゲームの影響力だ。
考えちゃダメだ考えちゃダメだ考えちゃダメだ。
ふぅ、落ち着いた。
アウレシアたんは、嫌疑の半分は冤罪だったのも判明したため、実家からの勘当が解けた。
まぁ勘当も実の兄の越権行為でされて、効力のない物だったしね。
国内では嫁の貰い手がないだろうと、俺は婚約破棄と浮気のお詫びに、周辺の友好国で適当な身分の者を見繕って紹介状を書いて渡し、嫁に行ってもらった。
嫁にもらった先では、思いもかけず高スペックで美人な嫁をもらえたと大喜びしてくれた。
まぁ良かったと言えるだろう。
あのまま冤罪(冤罪というのにはグレーだが)を懸けたまま処刑コースとかしなくてよかったよな。
もちろん国から放逐して魔王と一緒になってリターン復讐コースはもっとごめんだが。
そもそも、俺がちゃんとしていたら、今回のような騒ぎは起こらなかったわけで、諸関係者達には迷惑をかけてしまった。
いくらゲームのストーリだったからだとしても。
俺は抗う。
抗いたい。




