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王子は逃げ出した  作者: 相川イナホ
三人のおっさんと俺と奴隷と
13/19

暴かれる実態


 そんなに俺が悪いのかよ!



 まぁなんていうか、すまねぇ。気分が落ち込んでるんだ。



 旅の出だしは良かった。護衛達は心根のいい奴らばかりだし、俺のことを主として大事に思ってくれているようだし。


 新しい旅の仲間のエマも、俺に気に入られようとしているのか良く働く。

 よく聞く言われた事しか出来ないという人形みたいな奴隷じゃないし。


 王宮に居ちゃ食べられない庶民の食べ物に舌鼓を打って、気がむきゃギターに似た楽器を弾きならし歌を歌って酒場を盛り上げた。


 どこに行っても容姿のいい俺は女共にチヤホヤされたし金はあるしその土地土地の観光は楽しかったし、今まで勉強勉強って向いてない王族教育を詰め込まれていた事への憂さ晴らしのように楽しんだ。




 自由サイコー!



 だけど王都から離れるにつれて、路地裏で虚ろな目をして蹲ってる人間が目につくようになっていってそんな浮ついた気持ちは沈んでいってしまう。


 なんだか俺がいい目を見ている分の割を、代わりにこの人達は食わされているのではないか…そんな考えが浮かんだらもういけなかった。


 罪悪感が俺に張り付くように付き纏う。


 王城での生活は窮屈だったが衣食住に困ったりする事はない。

 というより、全ての物が過剰に消費されていた。




 俺がどうこう出来る問題じゃねぇし


 俺一人が何かしたって何が変わる訳じゃねぇし


 俺が王族に生まれたってのは俺のせいじゃねーし



 だけど俺だって好き好んでああいう明日の命も知れない連中の一人に生まれたい訳でもない。運で言ったら、生まれで俺はついててあいつ等がついてなかったって事だけだ。


 王都でもスラムがあるのは知っていたが、それは巧妙に俺の目、いや俺達の目から隠されていた事もあってどこか知らない場所の事のように現実感がなかった。


 俺の旅では二人の隠密が次の滞在地情報を先に探って来てこれなら行けそうだというGOサインが出てから移動する。

 そんな過保護な旅では俺の目には見せたくない者や危険な事は隠されてしまう。

 俺もわざわざそんな見たくない事実を無理に見たい訳でもなくて漠然とそれでその場所を見た気になっていた。


 しかし、旅が進む事につれて隠しきれない事実が俺の前に姿を現していく。


 俺が今生きている世界は人に優しくない。

 世界は暴力的なまでに理不尽で不平等で救いがなくて、弱い者は篩にかけられ

次々と零れ落ちていく。


 わかっている。


 あのまま記憶が戻らずに第一王子として王城に残ったとしても、この世界の真実の一かけらもどうにかしようだなんて思える訳もないし、逃げ出した俺にはもうなすべき手段も力もないのだと。


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