3 村からの脱走作戦 開始
デンの親を説得するというもう一つの目的を持った俺はふたりの協力により村から脱走することを決めた俺は明日の夜開始と言うことで自宅にて自分のリュックに食料、武器、旅用のテントを詰め込んでいた。
「食べ物よし、ナイフよし、テントよし!えーっとあとはなんだろ」
「回復用ポーションと明かり石、これを持たずしてどうやって傷を癒やし、暗い夜を通すのさ」
「あーそうだそうだった忘れてたよあんがと母ちゃ…っ!」ダッ!
分からなかった音も声も一切の気配もなく彼女の気配を察することができなかった。
俺は反射的に母ちゃんから瞬時に離れ、一切目を離さず警戒した。
「母ちゃん!?どうしてここに!」
「どうしてって…そりゃあんたここは私たちの家だからに決まってるでしょ」
そういうことじゃない。いやまあ確かに俺の言ったことに対する回答としては間違ってはいないのだがそういうことじゃない。
「これらの持ち物は父ちゃんと母ちゃんがいない間に用意していたんだ。そして今なんか深夜だぞ、もうみんな寝ている時間帯だそれなのになんでっ」
「なにをしているかそしてなにを思っているかだなんてあんたの周りにつく気で感じ取れるよ」
「気」?なんだよそれ訳分かんねえよ、誰にもばれないように慎重に行ったのに母ちゃん何者なんだよ…
「まあそんなことはもうどうでもいいさ、旅において大事なアイテムもわからないで、脱走だなんてそんなこと私は認めないよ。さあ、そのバックよこしな」
これを渡すということは俺の夢、そしてデンの夢を諦めるということだ。絶対に渡すもんか。
「渡す気なし、かあ。だったら力ずくでもそれを渡してもらうよ」
わかる、この感じからわかる。俺は絶対に母ちゃんには勝てない、たとえどんな手段を取って立ち向かったとしても「絶対」に勝てない。
(くそ、どうすればっ!)
そのときだった
「おーいアカメ、ここでなにしてるんだ?」
それは父ちゃんだった、夜中に尿意を感じてトイレに向かったらこの光景を目撃したのだろう。
「あなた!?どうしてこんな夜中に起きてるの?」
「いや、それはお前も同じだろう。ぼくは普通にトイレに行きたくて起きただけだよ。それより、我が子のへやでなにしてるんだ?ほら起きちゃってるじゃないか」
「いや、それはね?この子が村から脱走しようと…」
「zzzっえ?ああごめんちょっと寝ぼけてた。とりあえずもう遅いんだから早くふたりとももう寝なさい。夜更かしは健康に悪いからな」
「あっちょっと」
父ちゃんは「漏れる漏れる」とトイレに向かっていった。
「はあ、仕方ないあの人が言うなら仕方ないわね。今日は見逃すけど明日、覚悟しなさいよ?」
そう言って母ちゃんは寝室へと戻っていった。
父ちゃん、あんたは救世主だよ。
―――――――――
朝になり、俺たち家族はリビングで朝食をとっていた。父ちゃんは呑気に朝食を食べ、母ちゃんは険しい顔で朝食をとらずに沈黙を貫いていた。俺はこのあまりにも違う二つの空気にのまれ食欲がそそられずあまり食べられなかった。
朝支度を整え、俺はデンの家へと向かった。
「デーン、あーそーぼ!」
(うるさーい!)グワッ!
デンの家の門の前に立ち、叫んだら家の前からデンの声がした。門の前にデンはいないため、おそらく何らかの魔道具なのだろう。
家の中に入り、デンの部屋に入るとデンとユーナがいた。
「おっユーナお前もう来てたのか」
「ええ、あなたが来るまでの間、この村の地図で脱出口についてデンと調べてたわ」
へえこの村に地図なんてものあったのか。すげえなアテナ商会。
「この戦略の地図を使って村全体を表示した。全くこの魔道具なかなか手に入らない上に一度しか使えないんだからな」
どうやらふたりはこの戦略の地図という魔道具を使って脱出口はどこか調べていた。
この村は巨大な山の中心部にある凹んだ部分に位置し、外とはあまり関わらない閉鎖的な村でありアテナ商会や村長くらいしかでいりすることができないのだ。
「それで、結局脱出口はどこなん?」
「ああ、調べた結果、あの出口以外に一つあることが分かった。ここから南東部に外に繋がる穴があるらしい」
これは大きな成果だ。そこへ行けば無事に外に行くことができる。
「流石はアテナ商会の息子デン!お前が俺の友達で良かったよ」
「ちょっ、よせよ///」テレッ
「…はあ、仲良しなのは別に良いけどしっかりして!」
友達と言われたからなのか頬を赤く染めている。
脱出口が分かったなら夜にそこへ向かうだけだ。
…でもなんか、よくわかんないけどすごいいやな予感がする
―――――――――
村人達が寝静まった頃であろう時間帯に俺たち三人は南東部の穴へと向かった、家には母ちゃんがいなかったが恐らく正面の出口で見張っているのだろう。
「ここが例の穴か。これくらいの大きさ、なぜ今まで気づかれなかったんだ?」
「そんなことは別に良いでしょ、さあ、早く中に入りましょ」
ユーナに急かされ俺らは穴の中へと入っていった。
「うわあ、なんというか息苦しいな」
「そんなこと言わないで、やっと外に行けるのよ?」
「おいお前ら静かにしろ、あいつらにばれるかもしてないだろ」
「そうそう、もう一度言うことになるけどこの穴って元から会ったっけ?」
「さあな、こんな外れの通路だなんて今まで通ったことがなかったからな、もしかしたら、誰にも知られずに存在したんだろう」
「うーんそれにしては気づかれなさ過ぎだと思うけどね。そもそも、こんな大きな穴があったら魔物や盗賊と言った侵入者が入ってくるんじゃないかしら?」
「まあそんなもの今更考えたって意味はないんだ、地図を見た感じだと出口はそろそろだ。さあいそご…う…」
突如、先頭を歩いていたデンは立ち止まり、俺とユーナはデンにぶつかってしまった。
「おいデン、お前なに勝手に立ち止まってんだよ。ぶつかったじゃないかよ」
そうキレたが、無視するデンを見て前に何かあるのかと思い、横にずれてみた
「無視するって前になにがあ…」
「え?どうしたのふたりとも止まっちゃって」
気になったユーナも横にずれて何があるのか見た。
そう、「いる」のだ、人が。しかしそれは俺たちより一回り大きく腕や顔の頬部分には赤い炎のような紋様が浮かんでいる。そして頭部には拳くらいの大きさの左片方が欠けているも立派な角が生えていた。
普通ならそれを人外、化け物と呼んだだろう。しかし、俺はその正体がわかってしまったのだ。
その正体、それは
―俺の母ちゃん、アカメであった―
「さあてお前らガキども、どうしてやろうかねえ!」




