1 ここが彼のはじまりの舞台
―勇者が魔王を打ち倒して何年かたち、人類は魔王率いる魔物による恐怖から解き放たれ、あらゆるもの達が台頭していった。
かつて平原に佇んでいた竜は姿を消したことにより、安全に移動できるようになったことから世界各地で商業が盛んになることに大きく貢献した行商人
以前より魔物の数が減り、比較的安全になったことから、世界の未知を求めてまだ誰も到達したことのない場所やどこかに眠る財宝を求めて、冒険するものたち、いわば冒険者
…そして、何にも縛られず、己の行きたい先へ向かう、そこに何があるのかはわからない、
だが自分の進む道に間違いはないと信じる自由の追求者そんな彼らは
―旅人と呼ばれた。―
―――――――――
…世界には一体何があるのだろうか、未知なる場所、数多の財宝、彼らは未知を求めて冒険をする。ならば俺もしよう世界に眠る未知を求めて
「さあ行こう!まだ見ぬ世界へ!」
「金、地位、名誉…世界には数多の未知にあふれ、たくさんの夢が詰まっている。思春期まっただ中の俺にとって未知とはまさにロマンであり夢!冒険という好奇心が俺の心をくすぶらせるっ!」
「というわけで、俺の華々しい冒険が今始まる!待ってろ世界、ここに俺の冒険の始まり第一歩がっ!」
「ばぁかなこと言ってんじゃないよ!」ゴン!
殴られた、げんこつで、殴ったのは俺の母ちゃんだ。茶髪のロングヘアーでポニーテール、身長はこの村において一位二位を争うほど高く、男勝りな性格でうちの父ちゃんよりも男らしいくらいだ。
「うう…ひでえよ母ちゃん、息子の華々しい冒険の第一歩を邪魔するなんて、それでもあんた俺の親か!」
俺はそう母ちゃんに文句を言ったが母ちゃんはまったくひるまずむしろ俺を押し返すかのように
「親だから言ってんのよ!冒険だなんて命の危険にさらされるような馬鹿なことさせるわけないでしょうが!」
その気迫の良い声は村中に響き、なんだなんだと村人達が集まってきた。
「何でそんなこと言うんだよ。たしか俺の父ちゃんだって昔は冒険してたんだろ?その過程で母ちゃんとで会ったって父ちゃんからきいたぞ」
「そんなこと聞いたのかい、それはそれ、これはこれ」
「んなひどい!?」
「って、村のみんな集まってきちゃってんじゃん、頼むから俺を冒険に行かせてくれよう」
「…家の家事、またサボったね」
あっしまったと俺は焦り始める。やべえやんの忘れてたよ、ずっと冒険のための準備とかしてたからすっぽかしちゃったよ
…そういえば、昨日もサボったのばれてない、よね?
「あと昨日もサボったな?」
普通にばれてたわ
「よくもまあ自分の仕事をさぼっておいて冒険しようだなんて考えたね。馬鹿を通り越してあきれちまうよ」
ぐうの音も出ないくらいの正論で涙が出るよ。村人達からは「またあいつ馬鹿やってるよ」「ほんと懲りないなあ」って言われるし、しまいには笑われて最悪だ。
「それじゃああとは何をするか分かってるわよね?」
「…はい」
本当に、申し訳ございませんでした。
―――――――――
冒険を始めようと踏み出した瞬間母ちゃんにこっぴどく叱られ、サボっていた分の家事をしなくてはいけなくなった。
「うう、何で昨日のやつもあるんだよ。洗濯物が洗いきれないよう」
俺は今自分がサボっていた分の洗濯物を洗っている。昨日の分もあったため汚れがなかなか落ちないしやっと終わったと思ったら全然減ってなく、なかなか終わらないのだ。
(いっそのこと、村から逃げてみようかな)
こんな生活を送るくらいなら村から抜け出そうと思っていたときだった。
「はははw家事をさぼって冒険に出ようとかお前w馬鹿なんじゃないかw」
「ほんとよ!全く冒険に出ようだなんて何考えてるのあなた」
洗濯物を洗っている俺に話しかけるふたりは俺の友人だ。
まるで俺をあざ笑うかのように接してくるこの不愉快極まりない茶髪の男の名はデン
俺にお節介をかけてくる銀髪の女はユーナだ。
「…なんだよお前ら俺を馬鹿にしに来たんならさっさと帰ってくれ。これなかなか終わらねえんだよ」
「そんなのお前が冒険とか言ってサボるからだろw」
「冒険だなんて危ないこと考えないでよ!もっとも特技があるわけでもなく対してそんな強くないし芋虫にビビるあなたがやれるわけないでしょ」
このクソ尼っ!と言ってやりたいが全くもってその通りなので何も言い返せない…悔しい
俺は今までこんなことがあった
ほわんほわん…
「うわああああ!魔物だあ!守護者、アカメをよべえ!」
「そんな必要はない、とう!」
「俺がきたからにはもう大丈夫お前たちは俺の活躍する様をみてな」
「おいガキ!何やってんだ!早くこっちに来い死ぬぞ!」
「大丈夫だ、日々イメトレしてきた俺ならあんな魔物一匹程度ちょちょいのちょいよ!」
「さあこい!俺がお前をギャフンと言わせてやらあ!
……ギャフン!」
村に魔物が入ってきたときみんなに大々的に自信をかぶせながら魔物に挑んできこっちがギャフンと言わされたのは今でも思い出(悪い意味で)
他には
「俺の母ちゃん素手で気を木っ端微塵にできるんだ。だから俺にもいけるはず、デン、ユーナ見ててくれいくぞー!
……パキョッ!」
俺の母ちゃんができるからって俺が友人たちに木を破壊する姿を見せてやろうとしてその結果、こっちの手が木っ端微塵になったのもまた思い出(悪い意味で)
まあ、そんな馬鹿みたいなことをしてよくみんなに笑われてたよ。今もだけど
「はあ、でもその量をひとりでやるのはさすがにかわいそうだからほら、手伝うよ」
「おっユーナ優しー、じゃあ俺も手伝ってやるよ。お前が冒険で何すんのとかいろいろ聞きてえしなw」
まあ、なんだかんだこいつら優しくていい奴らなんだよな
…デンに関してはむかつくけど
まあそれはさておき、やりますかあ。
―――彼の物語はここから始まる―――




