10 冒険者ギルド
投稿サボりすぎてました。
平原に佇む城壁に囲まれた町、カリー
そこでは多方面から各地域の行商人がやって来て、ここらでは手に入らないものがたくさん流通したり、冒険者がやってきてはギルドで依頼を受けに来ている。
リアーナさん達一行に同行した俺は無事に到着することができた。彼女達はギルドにてやることがあるらしいので中央の広場で別れることになった。
さて、一人残った俺はまずここでやらなければいけないことがあるのだ。
そう、それはっ―――
「はいっ野菜炒めね。水も置いとくよ」
「おおっ」
居酒屋にて俺は野菜炒めを注文した。
中央の広場の先を進むと街道が通ってあり、そこを進んで左側に居酒屋がある。その名は『ラウチャー・ラーデン』
依頼終わりの冒険者が寄ったり、カリーに訪れた人たちが噂を聞いてやってくるなど一般人から冒険者まで幅広い層から評判がある。
店主のカール・ミュラーさんは店を継いで30年以上働いている。そのため彼の料理の腕前は一流でこの店の料理にはずれはないという。その中で俺は野菜炒めを選んだ。馬車での移動中、レイアさんがこの店を紹介したときに彼女のおすすめとして野菜炒めを話した。なんでも野菜の旨味が最大限に引き出されていて野菜が嫌いな自分でもバクバクと食べられたという。
同じく野菜嫌いの俺も興味ひかれて注文した。
テーブルに置かれたそれはピーマンにニンジン、タマネギやジャガイモといった色とりどりの野菜が使われており、湯気がほんのりと漂っていた。匂いを嗅げば食欲を誘う焼けた野菜特有の甘い香りが鼻につき、よだれが口内で溢れ出てくる。
ああやばい、もう限界。
「いただきまーす!あむっ………っ!」
フォークを手に取り野菜炒めを突き刺して口の中へ運んだ。
口の中に入れた瞬間、衝撃が起きた。噛んだ瞬間に溢れたのは苦みじゃない、甘みだった。
コリコリと噛むたびに口内に野菜の味が染み渡っている。さらに野菜に染みついた出汁がさらに旨味を引き出していることで野菜の美味さが増している。
俺は無意識にバクバクと食べていた。水を飲むことを忘れて。気づいたときには皿の上には何もなかった。
「……ごちそう、さまでした」
―――――――――
飯を食べ終わった後に向かった先は冒険者ギルドだ。
父ちゃんの昔話では、冒険者になるのならまずはギルドに行くことだそうだ。
店を出て街道ををまっすぐ進んだ先に木造の建築物が佇んでいた。
上を見上げると時計が突いており、さらにてっぺんにはこのカリー全体に響くであろう巨大なベルが設置されていた。恐らくあれは警報や知らせを伝えるのに使われているのだろう。
というわけでついに夢が実現することにワクワクして鼻息が止まらない俺は足幅を広げて歩み、扉を開けた。
(ここが俺の冒険への道標、やべー興奮が収まらないっ!
さあさあここにいる冒険者達よ俺の勇姿をご覧あれ!)
「んっ?」
「ああっ?」
「おっ?」
「だれだ?」
扉を開いた先にはお兄さんお姉さんではなく、屈強なおじさん達ばかりだった。
背中に俺が持ちきれなさそうな自分の肩まである巨大な斧を携えている人がいたり、分厚い鎧をまとっている人がいたり、中には表情が見えない仮面を被って鋭い双剣を腰に携えてる人がいた。
「えっ何これ、コワッ……」
幼い頃からずっと思っていた冒険者はなんかこう、シュッとしていて動きやすそうな装備をまとって光沢をまとった銀色の剣を身につけてるものだと思っていた。そしてそばには女性の魔法使いに頼もしそうな
がたいのいい重戦士のお兄さんがいるものだとおもっていた。
そのため、俺は理想と現実のあまりの違いに頭が入り乱れていた。
(なにこれぇがたいのいい重戦士のお兄さんでいっぱいだよぉ……)
脳が混乱している俺の視界には冒険者全員がたいのいいお兄さんにしか見えなくなっていた。
冒険者ギルドってこんなところだったのと残酷な現在に絶望し、鬱になりかけてたその時だった。
「はいっこちら、討伐報酬の10ギンとなります」
奥の受け付けカウンターのところに女性がいた。
依頼を終えた冒険者に報酬金を渡している。その時に向けた笑顔が俺の、周りの人が重戦士のお兄さんにしか見えない世界から解き放った。
(危なかった。あの人がいなければ俺は冒険者になることを諦めるところだった)
心の中で彼女に感謝の意を込めて、冒険者になるための登録をしてもらおうと受け付けカウンターへと歩み寄った。
「…?はい、どうされましたか?依頼の申請ですか、それとも冒険者登録ですか?……お客様?」
こちらに気づき、笑顔で対応する。一見しただけで初めて来た人だとわかったようだ。
彼女の笑顔に惚気ていた俺は一時思考が停止していた。いけないいけない。これから冒険者になる俺が何という失態。
「あっはい、自分冒険者登録をしに来ました」
「わかりました。でしたらこの紙に自分の名前、
性別、出身地をご記入ください」
受け付けの女性が登録用の紙とペンを取り出し、記入するよう指示した。
「えーっと、はいはい……よしっと」
空欄を全て記入し終え、提出した。
「はい、確かに受け取りました。それでは最終確認となります。ギルド条項第3条、今後いかなる時もギルドからの勅令には必ず従うこと」
「……んっ?」
「第4条、活動範囲は登録したギルド周辺一帯のみであること。もし活動場所を変える場合は、ギルドに直接宣告して次の活動場所のギルドに再登録してもらうこと」
「……あれっ?」
「これらに違反した場合、冒険者の資格を永久に剥奪することになります」
「………」
「……どうされました?」
「……なにそれ」
ここに訪れて二度目の困惑が来た。
理想と現実の違い…それはあまりにも残酷で、かけ離れたものであった。




