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第37話 衣装商会議の公開照合
公開照合は、北方商会館の大会議室で行われた。
商組合、役場、侯爵家、公爵家、工女頭、町の証人。逃げ場をなくすには、これくらい人の目があったほうがいい。
私は証拠を順番に並べた。工房継承印の差異、染色税台帳の追記、偽物の継承証、盗まれた反物の受取証、救い出した差し替え指示書、公爵家の持参布目録、消された嫁資布票。
「まず、継承証です」
私は羊皮紙を光へ透かした。
「透かし紋は三年前のもの。発行日は八年前。立会人は発行前年に死亡。成立しません」
組合側がざわつく。続けて私は税台帳を開いた。
「母の工房課税番号は失効していません。失効したように見せる追記だけが、あとから入っている」
さらに嫁資布票と公爵家目録を重ねる。
「盗まれた婚約反物は、公爵家の持参布へ振り替えられました。番号重複がその証拠です」
アデライーデ側の代理人が立ち上がった。
「すべて推測です。継承権そのものを示す公的証明にはならない」
「なります」
私は最後に、教会保管庫の見習い登録控えを出した。
『見習い承継予定者 イリス・ヘルツォーク』
「母の工房は、血縁だけではなく正式見習いへ継承可能でした。私は登録済みです」
会議室が静まり返る。
推測ではない。記録だ。
それが一つずつ積み上がると、どんな綺麗な嘘も息ができなくなる。




