表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/34

第17話 記憶を消す方法があればいいのに……

 朔夜の話を聞き終えた鳴海は顔を抑え、盛大にため息をついた。


「おい、その話こそ昨日しとくべきじゃないか!?」

「必要性を感じないけど」

「いやいやいや、霊障とか身体に影響出る可能性あるだろ!」

「だから、隠世や境界関係以外は僕には関係ない」

「いや、だからこそこっちに回す案件だろ」

「今日、久遠のところにゆうとコウに連れて行かせる。その結果によって報告する予定だった。そもそも鳴海は霊感ないから眼鏡つけてないと何も見えないだろ」


 何を言ってるのかわからないという様子の朔夜に鳴海は言い返すもすぐに反論される。そして鳴海が聞き捨てならない事を聞いたという様に目を見開く。


「待て、狭霧様だけでなく、黄竜様まで使いっ走りにするのかお前は……」

「ゆうに関しては自業自得でしょ?」

「いや、お前を助ける為に稲荷に取り憑いちゃったんだろ?」

「過程は関係ない。結果が全てだ」

「いや、どこの悪徳者だよ……。朔夜と話していると自分が間違ってる気がしてくるわ……」


 何とも言えない顔をしながら鳴海は朔夜を見る。しかし、彼女は全く興味がなさそうな様子で、机の上で足を組み直す。


「自分の芯がないからブレるんじゃない?」

「お前の芯が強すぎるんだよ……って話がズレた。とりあえず久遠様が確認してくれるなら、良し悪しどちらでも、こっちに報告しろよ。うちの一族でも稲荷の事は把握して検討したい」

「それはいいけど、僕が霊を見える事はあいつに言うなよ。確実に面倒な事になる予感しかしない」

「? 会ったんだろ、お前バレてるんじゃないのか?」

「誤魔化した。それに学校では眼鏡して髪を結ってない。会った時は眼鏡も外して、いつも通り髪を後ろで結っていた。それに隠世向けとは言え、僕の眼鏡には霊を見ないだけじゃなく認識を阻害するように出来ている。同一人物とはバレてないだろ。気づいたら間違いなく突っかかってくるタイプ」


 本当にめんどくさそうに朔夜は言う。そして忌々しそうに昨日の翔を思い出したのか眉を顰める。その様子に鳴海は何かを察した様な顔をする。


「確かに稲荷は色々面倒そうだな」

「それに対しては本当に昨日の時点で面倒だった。記憶を消す方法があればいいのに……」

「お前は本当にさ……」


 鳴海は呆れた様にため息をつく。しかし朔夜は騎士した様子もなく、話はこれで終わりとばかりに机から降りる。制服のスカートがふわりと少し揺れる。しかしそれを気にした様子もなく、朔夜は鍵を開けて扉を開ける。そして鳴海の言葉も聞かずにそのまま準備室を後にした。



 ♢♢♢♢



 放課後、和也に用事があると話し、1人学校を後にした翔は人通りの少ない通りに来ると周りを見回す。

 そして、近くに人が誰もいない事を確認すると自分の右斜め上を見る。そこには、宙を浮いて暇そうにしているゆうがいた。


『おー、少年。存在無視タイムは終わりか?』


 ゆうが嬉しそうに翔の隣に降りる。


『いやぁ、応えたわ。話しかけないようにするのもだけど』

「ふざけんな! 人を笑わそうといきなり顔の前に変顔で現れやがって! 危うく不審者になるところだっただろ!」

『だって、少年の存在無視がどのレベルできるか気になったからな! 仕方がない』

「一切、仕方なくないからな?」


 軽快に話すゆうに翔のこめかみがぴくぴくと動く。しかしゆうは気にした様子もない。それが、さらに翔の怒りを掻き立てる。


『っと、冗談はそれぐらいにするな。少年』


 不意にゆうが真剣な声音で翔を射抜く。先程までふざけていたのを感じさせない表情に、翔はごくりと唾を飲み込む。


『朝も言ったけど、俺が昨日取り憑いた事により体に異変がないか、久遠に見てもらいに行く。あいつの知識は凄いからな、制約はあるが知らない事がないくらいだ』


 久遠の事を語るゆうからは親しい友人を自慢する様にも聞こえる。


『で、案内人が俺だけだと不安だと言われてさ』

「それは、わかるわ」

『まだ、会って間もないのにその反応は酷くない?』


 軽口を挟まないと喋れないのかと翔は思った。しかしここで反応すると話は進まない。それに気付き言いたい事をグッと我慢する。


『まぁ、いいや。この先の森への入り口でコウって仲間と合流予定。コウは神獣で人型になれる。人型のコウは俺と違って普通の人間にも見えるから話すのはそこまで周りを気にしなくて大丈夫さ』


 爽やかに笑いながら白い歯を見せて笑う。その後ろから木々が透けて見えて、どこか夢の様に現実感がない。


「そのコウって奴は話が通じるのか?」

『コウは口が悪いけど兄貴分でいい奴だぜ!』

「とりあえず、あんたより話が通じるなら問題ない」


 すでにゆうの相手に疲れていた。これならずっと存在無視をしていたほうが良かったとさえ翔は思った。しかし、自分の体に影響が出る可能性があると言う話が嘘には思えず、こうして貴重な放課後の時間を割いているのだ。

 しばらく、ゆうが先導しながら一法的に話す時間が続く。そしてしばらく歩くと、森の木の一つに腕組みをして寄りかかっている金髪の男がいた。この世のものとは思えない美しい顔は瞳を閉じている。

 その男性の方へゆうは飛んでいく。

 思わず止めようとした翔だが、それよりも早く男の瞼が動く。この世のものとは思えないどこか作り物とさえ思えた。その男の周りだけが空気が澄んでいるような、神聖さを感じる。あまりの美しさに威圧感すら感じ、翔は思わず唾を飲み込む。


「遅かったな、ゆう」


 木から体を離し黄金の瞳がゆうを射抜く。


『そうか?』

「えっ、このイケメンがあんたが言っていた、コウ!?」


 同性でもドキッとする様な美貌の持ち主が話に出ていたコウだと言う事に翔は驚きを隠せなかった。

 

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、月曜日の20時に更新予定です。


続きが気になりましたら、ブックマークで応援していただけると非常に励みになります! ぜひ、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ