表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元勇者の嫁が甘えん坊すぎて、元魔王の理性がもちません  作者: 月城琴晴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/18

第7話 兄上、見つけたぞ

「その頃、魔王城では――」


 魔王様がいらっしゃらない。


「勇者と相打ち?」


「あの魔王様が?」


「ありえないですね」


 部下達は、あっさり否定した。


「きっと……勇者が美人だからって、口説いたんじゃないですか?」


「あの魔王様ですからね」


「ありえます」


 ロメオは頭を抱えた。


「兄上どこだよ……」


「魔王様じゃないと、魔界は無理じゃないです?」


「だよな。兄上じゃないと」


 ロメオは深いため息をつく。


「だいたい兄上って、何でもできちゃうからな。『簡単だろ?』で全部済ませるけど、俺は無理だから」


「あー……まあ、そうですね」


「ロメオ様は、お花の栽培がお好きですし……」


「そうだよ。俺は植物育ててる方が向いてるんだ」


 ロメオは即答した。


「兄上みたいに器用じゃない」


「ですが、ロメオ様も十分頭は良いですよ?」


「いや、兄上は別格だ」


 部下も真顔で頷く。


「ヴェリシス様は群を抜いてましたからね」


「伝説の魔王級の能力だぞ?」


「そんな化け物が殺されると思うか?」


「ないない」


「だよな」


 ロメオは断言した。


「だったら、勇者が美人だから口説いたに決まってる。探せ」


「魔界の女性相手で失踪なんてしませんしね」


「兄上、モテすぎるからな」


「城にも女性がいっぱいいましたし」


「常に誰かといたよな」


「だが、勇者は人間だ」


 ロメオは真顔になる。


「そこしかないだろ」


「しかも、勇者はかなりの美人らしいです」


「調査によると、ヴェリシス様の好みだそうです」


「確定だな」


 ロメオは即答した。


「どうせこうだぞ」


 ロメオは雑に再現する。


「勇者かわいいなー」


「結婚しちゃう?」


「魔界? 別にどうでもいいし」


「かわいいから、俺と結婚しよ」


「……絶対これだ」


「ありえる」


「終わってますね」


 全員が頷いた。


「兄上は今まで恋愛で消えたことはなかった」


「当たり前だ。魔界だからな」


「城に女が百人いても普通だろ」


 そして。


「だが、勇者はこれだ」


 ロメオは写真を見せた。


「あ……」


「かわいいですね」


「だろ?」


 ロメオは真剣な顔で言う。


「魔界にはいないタイプの美女だ」


「しかもスタイルも良い」


「兄上って、妖艶系よりこういう純粋そうなの好きだろ」


「確かに……」


「妖艶な女は魔界にいくらでもいる」


「でも、こういうタイプはいませんね」


「確定だな」


 ロメオは頷いた。


「絶対『運命?』とか言ってるぞ」


「あー……」


「言いそうです」


「人間、可愛いもんな」


「それです」


「勇者にこう言われたら終わりだぞ」


 ロメオは真似をする。


「ヴェリシス様、格好いい!」


「素敵!」


「はい、アウトー」


「あ……」


「でも、魔界の男なら誰でも落ちますよ」


「だよな」


「かわいいしな」


 ロメオは遠い目をした。


「だいたい兄上、魔界のことなんてそこまで興味ないんだよ」


「人生楽しむ方が好きな男だからな」


「今までは女を入れ替えて遊んでたから城にいただけだ」


「しかも魔界経営すらゲーム感覚だろ」


「頭が痛い……」


 ロメオは額を押さえた。


「人間界を襲う気なんて、さらさらないんだよ」


「勇者惑わすのもやめてくれ……」


「そもそも勇者が来た理由も、兄上が違法魔道具作りまくってバレたんじゃないか?」


「あー……ありそうです」


「兄上、自分が違法だって理解してないからな」


「悪気ゼロですよね」


「こっちは平和でいいんだよ……」


 ロメオは疲れ切った顔をする。


「兄上だけ置いていってくれれば」


 すると、部下が小さく手を挙げた。


「あの……こういうのはどうでしょう」


「ヴェリシス様をこちらで預かって、勇者様も一緒に住んでもらうとか」


「ありだな」


 ロメオは即答した。


「勇者、兄上の面倒見てくれ」


「どうせ兄上のことだから、名前も適当に変えてるぞ」


「ヴェリシスは使ってないでしょうね」


「適当ですし」


「ああ」


 ロメオは深く頷く。


「兄上の考えることくらいわかる」


「勇者、人間界でも魔界でもいいから、一緒に暮らしてくれ」


「それで兄上を管理してくれよ……」


 その時だった。


「すみません。新しいサイトで、すごく人気の魔道具屋を見つけました」


「何?」


 資料を見たロメオが眉をひそめる。


「……兄上っぽくないな」


「黒とか紫とか、魔界特有の禍々しさがない」


「ですが……勇者が関わっています」


「あー……なるほど」


 ロメオは納得した。


「勇者のセンスか」


「商品、即完売してます」


「だろうな」


 さらに別の資料が運ばれてくる。


「……癒し系魔道具?」


「平和すぎますね」


「これは完全に勇者の趣味だろ」


「兄上なら絶対違法になる」


「考えることが違法だらけだからな」


「しかも、それを違法だと思ってない」


「さすが魔王ですね」


「適当すぎる……」


 ロメオは立ち上がった。


「確実にここだ」


 そして、小さく呟く。


「見つけたぞ、兄上」

 読んでくださって、ありがとうございます。


「魔王様が倒された」と誰も思っていない魔界でした。


 むしろ、

「勇者が可愛かったんだろ」

で全員納得しています。


 兄の行動を読み切っているロメオと、だいたい予想通りに動くヴェイルを書いていて楽しかったです。


 次回、ついに兄発見です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ