第14話 私の旦那なんだけど
リシェが使ってみた。
「これ、結構いいわね」
「少しすっきりするかも」
でも……魔力注入の方がいいかもしれない。
「ねぇ、ヴェイ」
「魔力注入してー」
「え?」
……くっつきたいのか。
「来いよ」
リシェは少し考えて言った。
「魔道具より、こっちの方が効き目ある気がする」
「特に夜だとちゃんとしてくれるし」
「昼だと適当でしょ」
……何でバレた。
「いや、だってさ……魔道具も作ってるし」
「でも、昼から流すと色々大変だろ?」
「そうだけど、気持ちいいし」
「まあ、俺も気持ちいいけどさ」
常にくっついてくるから、普段とそこまで変わらない。
でも、魔力まで意識して流すと大変なんだよな。
最近は少し触れるだけでも自然に流れるようになった。
前は加減がわからなかった。
少し触るだけでも流れすぎて、どうするんだってなることが何度もあった。
でも、今は安定している。
普通に外で手を繋ぐくらいなら平気だ。
「ちょっと買い物に行こうか」
「うん」
「食事の材料、買いに行かないと」
俺達は食事の材料を買いに行った。
そうしたら、囲まれた。
……何故。
俺は外出すると女に囲まれることがある。
やたらと。
魅了系の能力が強いのかもしれない。
だから、すぐ寄ってくる。
……と思っている。
本当は、普通に格好いいから女の子達が集まっているだけだった。
リシェが不貞腐れている。
やばい。
「リシェ」
「何?」
「早く行きましょう」
……かわいい子達が絡んできてる。
あの子達、結構かわいいのよね。
ヴェイのファンだわ。
イケメンだからって来ないでほしい。
私の旦那なのに。
結婚してるのよ。
「俺、結婚してるから」
ヴェイはさらっと言った。
「嫁いるし、じゃあな」
そう言って、そのまま切り抜けた。
……早い。
ヴェイが戻ってくる。
「リシェ、怒ってる?」
「……別に」
少し顔を逸らした。
ヴェイは少し考える。
「今日はおいしいもの作って」
「わ……わかった」
単純だった。
ヴェイはどこに行ってもモテる。
ちょっと目を離した隙に囲まれている。
何なの、あれ。
下手したら奥様方にも囲まれている。
すごい人気だ。
この町の王子ってところかしら。
何が王子よ。
……誰も言ってない。
帰ると、魔王部下達が来ていた。
リシェは少し腹が立っていたので、そのまま話しかけた。
「ちょっとガルディア」
「何ですか?」
「ヴェイって、いつもモテるの?」
ガルディアは首を傾げた。
「モテますが?」
ゼクスも当然のように言う。
「当たり前ですよ」
「モテないわけないじゃないですか」
「あんなに格好良くて、仕事ができて、最高の魔王様ですよ」
リシェは少し黙った。
「どう考えてもおかしいでしょ」
「え?」
「だって、その辺歩いただけで囲まれてるのよ」
三人は顔を見合わせた。
頷く。
「普通です」
「それと、魔王様は美人でスタイルの良い方が好きです」
三人が頷いた。
……確かに。
そう言われたし。
少し考える。
「どうすればいいの?」
少し困ったように言う。
「私の旦那なんだけど」
ゼクスが言った。
「無自覚にモテすぎますからね」
「圧倒的イケメンですから仕方ないですよ」
「開き直ってください」
グレインも頷く。
ガルディアが真面目に言った。
「やはり……美容では?」
「魔王様は魔界でも美容革命を推進するつもりみたいですし」
「王妃様が、ガツンと美容に力を入れればよろしいかと」
「……」
難しいことを言うのね。
「うまくできないから言ってるんでしょ」
ゼクスは頷いた。
「大丈夫です」
「魔界にはエステだって色々ありますし」
ガルディアも続ける。
「城のものは結構質が良いはずです」
グレインが少し考えて言った。
「それに、魔道具だって、いい感じなのでは?」
少し黙る。
……もう少し効いてほしい。
少し考える。
運動しないといけないわね。
今回は、魔道具より魔力注入の方が人気でした。
そして、ヴェイはいつも通り無自覚でした。
本人は何もしていないのに囲まれ、部下達は当然だと思っていて、困っているのはリシェだけだった気がします。
美容は難しいですね。
読んでいただきありがとうございました。
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