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元勇者の嫁が甘えん坊すぎて、元魔王の理性がもちません  作者: 月城琴晴


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第13話 勇者の嫁に美容器具を頼まれた結果、魔界の新事業になった

俺は今日も掃除をしてから、魔道具を組み立てていた。


まずは、リシェに頼まれた美容器具だ。


……というか、どんなものが欲しいのかわからない。


たるみを気にしているのか?


いや、別にたるんでないしな。


勇者業を辞めて運動量が減る。


筋肉が落ちる。


将来的な話をしているのか?


それなら、筋肉を鍛えるやつの方が良いんだろうか。


……とりあえず両方か?


胸はな……言うと怒られそうだしな。


そこは……一緒に鍛えるしかないのか?


やっぱり筋トレを促す魔道具か?


俺は真面目に考えた。


……わからん。


なので、筋トレ系の魔道具を作ってみた。


試作品だし、とりあえず売ってみるか。


すると、すぐ売れた。


さすが俺だな。


数日後。


口コミが届いた。


『完璧な筋肉が作れました。ありがとうございます』


『腹筋が割れて最高です』


『これ一台で理想の体型になれました』


……売れてるな。


美容器具って、これで合ってたのか?


少し考える。


いや、健康的で良いのかもしれない。


美容って、結局そういうことなのか?


やっぱりわからん。


俺はリシェに声をかけた。


「リシェ、試作品売ってみたんだけど、こんな感じだったぞ」


リシェはコーヒーを持ってやって来た。


そして当然のように俺の膝の上に座る。


……何か違う。


いつものことだが、すぐ膝に乗りたがる。


普通、隣じゃないか?


まあ、いいけど。


かわいいし。


俺は髪を軽く撫でながら口コミを見せた。


『完璧な筋肉が作れました。ありがとうございます』


『腹筋が割れて最高です』


『理想の体型になれました』


リシェは静かに読んでいた。


そして顔を上げた。


「……これ、美容器具だったわよね?」


「そうだが?」


「何で筋肉が完成してるの?」


俺は真面目に答えた。


「美容と健康は関係あるだろ」


リシェは少し黙った。


近くの婦人雑誌を手に取る。


理想のボディーになりたい!


そんな見出しだった。


「これ」


ページを指差す。


「こんな感じになりたいの」


……。


写真を見る。


妖艶系美人。


カリナ。


……元カノじゃん。


いや、待て。


魔界の頃の知り合いだ。


確かにスタイルは良かった。


リシェに、この方向性。


考える。


……やっぱり運動なのか?


……いや、まさか。


魔力注入で何とかなるってことはないよな?


イメージして魔力を流したら少し変わるのか?


その部分のエネルギーを活性化させる。


それを魔道具でソフトに再現する。


……ありか?


俺は考えながら、片手で魔道具を組み立てた。


リシェが見上げる。


「何作ってるの?」


「美容器具」


「嫌な予感しかしないんだけど」


「安心しろ。今回は筋肉じゃない」


「前回も美容器具って言ってたわよね?」


……確かに。


魔力。


循環。


代謝。


美容。


繋がった気がした。


「完成したら試してみるか」


リシェは少し黙った。


「先に自分で使って」


何か信用がない。


俺は自分で試すのは嫌だった。


なので、ゼクスを呼ぶことにした。


「俺だ。今からすぐ来い。早く」


ゼクスは思った。


今度こそ何かある。


「魔王様から出動命令だ。行くぞ」


ガルディアとグレインに声をかける。


やっぱり秒で来た。


「この試作品を試してくれ」


俺は三台並べた。


「美容グッズだ」


三人は静かになった。


……何か大きな狙いがあるのだろうか。


試すしかない。


三人はそれぞれ使った。


しばらくして。


「これ、すっごく気持ちいいです」


「頭もすっきりしますし、筋肉の感じが良いです」


「え? これ欲しいんですけど」


「すっきりボディーになりそうじゃないです?」


「若返りみたいな感じありますよね」


盛り上がっていた。


「まあ、一台ずつやるよ。試作品だしな」


「え? いいんですか」


「やった」


「「「ありがとうございます!」」」


ゼクスが真面目に言う。


「これ、絶対売れます」


グレインも頷いた。


「魔界の輸出事業も安泰ですね」


……ん?


何か間違っている気がする。


俺、そんな話したか?


まあ、いいか。


「もう行っていいぞ」


「はい!」


三人は美容魔道具を抱えて帰っていった。


静かになった。


……美容器具って、意外と簡単なのかもしれない。


***


魔界。


三人は集まっていた。


「魔王様が、ついに経済改革を……」


「美容市場ですね」


「先行配布された我々は期待されているということです」


頷く。


間違いない。


新事業だ。


しかも試作品を任された。


信頼されている。


「成果を出しましょう」


「はい」


「魔界の未来のために」


三人は満面の笑みだった。


***


「大丈夫だ」


俺は頷いた。


「試作品を試してもらったら、好評だった」


リシェは少し考えた。


「そうみたいね」


口コミを見て、小さく笑う。


そして俺を見る。


「私も使う」


嬉しそうだった。


……よかった。


筋肉は正解だったらしい。


リシェは膝の上で魔道具を持つ。


「これ、どう使うの?」


「簡単だ。魔力を流して使う」


「ふーん」


興味深そうに眺める。


美容って難しいな。


でも、意外と筋トレは間違ってなかったのかもしれない。


「これから使ってみよう」


俺は頷いた。


まあ、好評だったし。


大丈夫だろう。


たぶん。

今回は、美容器具を作ろうとしただけなのに、何故か筋肉と魔界経済が動き始めました。


本人は最後まで真面目だったのですが、周りの解釈だけどんどん大きくなっています。


リシェの美容計画は無事進むのか。

そして魔界の新事業は本当に始まるのか。


読んでいただき、ありがとうございました。


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