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元勇者の嫁が甘えん坊すぎて、元魔王の理性がもちません  作者: 月城琴晴


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第12話 誰にも組んでもらえなかった勇者と結婚したらしい

 嫁になっても、何一つ変わることはなかった。


 まあ……嫁になったってことだ。


 それだけで十分だった。


 家に帰って、夜は魔力注入をして寝る。


 それだけだ。


 それ以上を求めると……大変なことになりそうだ。


 家では、やっぱりご飯は俺の担当。


 そして、片付けも俺の担当だ。


 リシェにさせると問題が発生する。


 さすがに……ない。


 ありえないからな。


 その辺のところを、少し整理するくらいしかないだろう。


 無理だ。


 確実に。


 どんくさい。


 何故これで勇者になれたのか。


 本当に謎だ。


 本当に強いのか?


 俺は聞いてみることにした。


「リシェってさ……勇者だろ?」


「レベルってどれくらいあるんだ?」


「っていうか、どれくらいのことができたんだ?」


「普通に斬るくらい?」


「魔法は?」


「難しいことを言うわね」


「……」


「レベルは18くらいかな」


「……」


 何故それで魔王城まで来れたんだ?


 いや、待て。


 どうやって、それで来れたんだ?


 ありえないだろう。


 レベル90ですって言うなら、わかる。


 伝説の勇者リシェルとか。


 ……どう見ても、伝説の勇者には見えない。


 普通に腕も細くて、めちゃくちゃかわいい。


 柔らかい。


 筋肉なんてないぞ?


 俺、こう見えても結構な魔王だったはずだが?


 何故、突破された?


 リシェって、どう見ても女の子って感じだよな。


 正直、今もどんくさくて、純粋な女の子って感じだ。


「どうやって……そのレベルで、城まで来た?」


「皆、通してくれたよ?」


「戦ったこと、ほとんどないし」


「レベルも、薬草を摘んだりして、その時に色々してて、上がったの」


「……」


「だいたいモンスター達に『こんにちは』って挨拶して」


「笑顔でお辞儀して」


「『通してください』って言ったら」


「『どうぞ』って」


「……」


「やるな」


「それで、ずっとやってきたのか?」


「うん」


「私、戦うの怖いし」


「一応、勇者適性があって」


「それで行けってことになったんだけど」


「まあ、他にも勇者適性がある人はたくさんいるから」


「そういう物騒なことは、その人達がするでしょ」


「でも、私が先に着いちゃったのかしら?」


「私って、ほら」


「どんくさいし」


「そういうのするタイプじゃないでしょ?」


「だから、弱いし、組んでくれる人もいなかったのよ」


「それで、一人で適当にやってたの」


 俺は、誰にも組んでもらえなかった残念な勇者と結婚したらしい。


「まあ、別にレベルとか関係ないけどな」


「良かった」


「かわいいし」


「ご飯食べようぜ」


「うん」


 俺は少しだけ、嫁のことを考えた。


 このままだと、こいつは……。


 ぐーたらして太るんじゃないだろうか。


 それは困るな。


 俺の嫁への要望は、美貌維持だな。


 甘えてくれるのもいい。


 まあ、性格だから、その辺は大丈夫だろう。


 美貌維持だけは頑張ってもらいたい。


 言っておかなければ。


「あのさ……俺は真剣なんだ」


「え?」


「リシェってさ……あまり家事しないだろ?」


「それで、俺としては要望があって」


「何?」


「美貌維持だけしてくれる?」


「え?」


「俺、かわいい子がいい」


「スタイル良くて」


「だから、そこよろしく」


「わかった」


「手伝えることは手伝うから」


「腹筋の時に足持ったりとか」


「わかった。ありがとう。助かる」


「美容器具が欲しい時は言ってくれれば、美容魔道具くらいは作ってやるよ」


 リシェの目が光った。


 それって、すごくない?


 そんな魔道具、作れるの?


 聞いたことないんだけど。


「まさか……ヴェイの違法魔道具の中に、こういうのがあったとか?」


 リシェは、ご飯を食べてから調べてみた。


 いつ見ても禍々しいサイトだ。


 美容魔道具はあるかしら。


 ……なかった。


「例えば、どういうのが作れるの?」


「痩せるのを促す機械とか作れるの?」


「たるみを抑えるとか」


「それくらいなら、いけると思うけど」


「ただ、危ないからちょっとしか駄目だぞ」


 欲しい。


 欲しすぎる。


「ヴェイ、作って」


 リシェは、美貌維持にやる気を出していた。


 どうやら、いけそうだった。

ここまで読んでくださってありがとうございました。


今回は新婚生活回でした。


勇者の話を聞いていたら、まさかの攻略方法が判明しました。


戦闘ではなく、挨拶。


魔王城、意外と平和だったようです。


そして、ヴェイルの嫁への要望は美貌維持になりました。


美容魔道具計画、始まるかもしれません。


次回もよろしくお願いします。

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