第11話 俺の嫁になったらしい
グレインが婚姻届の書類を持って帰ってきた。
「グレイン、よくやった」
「添付書類についてですが、必要ないそうです」
「その代わり、こちらには証人が必要だそうです」
「証人なら、お前らでいいんじゃないか?」
「そうですね」
皆が納得した。
「この本籍というのは?」
ヴェイルは蒼白になった。
よく考えてみろ。
俺、本籍どこにあるんだ?
「知りません」
「どうやって住民登録したんですか?」
「適当だ」
「……」
「勝手にできた」
「その時の書類、持ってます?」
「それを書けばいいんじゃないです?」
「なるほど」
ロメオが口を開いた。
「兄上、素朴な質問ですが、証人って魔界の者でもいいんですか?」
――盲点。
「リシェ、頼めそうな人いるか?」
「隣のクレアさん」
「そこしかないな」
「ですが、ログ取らなくてもいいって、良かったですね」
グレインが言った。
「普通、プロポーズ証明くらい必要だよな」
ヴェイルが言った。
「そう思います」
「人間界って、思ったより緩いですよね」
ロメオも頷いた。
……いや。
プロポーズ証明なんて、いらないだろう。
リシェは思っていた。
「じゃあ、用事は済んだから、お前らもう帰っていいぞ」
「はい」
「では、また来ますね」
「ああ」
「ロメオ、ポーション、よろしく」
「はい、兄上」
あっさりと帰っていった。
リシェとヴェイルは、隣のクレアさんのところへ向かった。
ピンポーン。
「はい」
「すみません、クレアさん」
「いつもご迷惑をおかけしているんですが……」
「婚姻届をまだ出していなくて」
「出したいんですけど、証人が必要みたいで……」
「なっていただけませんか」
そして、クレアさんとご主人に証人になってもらった。
ありがとう、クレアさん。
俺達は何事もなく婚姻届を受理された。
これで正式に夫婦だ。
ということは。
リシェは、俺の嫁。
よし。
こんなにかわいいリシェが、俺の嫁。
笑いが止まらない。
美人だしな。
「ヴェイ、嬉しそうだね」
「当たり前だろ」
「リシェが俺の嫁だからな」
「じゃあ、違法はやめるってことで」
「違法なんて、俺は何もしてないぞ?」
いやいやいや。
ちょっと前まで違法魔道具、売りまくってたよね。
実際、それで危険判定されて。
人間界から、魔王が何か企んでるって思われて。
私が出動したんでしょうが。
聞いている限りでは、何かを滅ぼすつもりはなさそうだった。
でも、人間界では混乱を巻き起こす魔王って言われてたんだよね。
さらに、この魔王、相当な魔法の使い手だって、すごく噂されてた。
私、すごく怖かったのに。
勇者認定されたから、仕方なく討伐に行ったんだから。
たまたま、一番最初に着いただけよ。
正直、そんなに強いかって言われると……。
うーん。
遠い目をした。
それなりに強いのかもしれないって思うけど。
魔界のモンスター達って結構優しくて。
「かわいいから」
そう言われて、通してくれた。
「こんにちは」って挨拶したら、普通に返してくれて……優しかった。
別に倒す必要なかったんだよね。
正直、ヴェイと結婚した理由は、魔力注入もあるけど……。
やっぱりイケメンすぎでしょ。
格好いいもん。
最高よね。
話してると優しいし。
ご飯も作ってくれるし。
稼いでくれるし。
最高の旦那様ね。
「ねえ、今日も魔力注入するんだよね」
「いつでもそう言ってくっついてくるじゃん」
「お嫁さんになっても、してくれるのかなって思って」
「当たり前だろ」
「毎日しような」
「うん」
魔力注入は、多分、注入するだけじゃない。
ヴェイと私の魔力が循環しているだけなんだと思う。
でも、少しだけ思う。
魔力注入をしていると、思っていることが入ってくるのかなって。
少しだけ感じる時がある。
愛されてるんだろうなって。
だから、魔力注入は大好きだ。
くっついていると少し安心する。
これからは、本当にお嫁さんだ。
嬉しかった。
今回は婚姻届回でした。
添付書類を真面目に考えた結果、プロポーズ証明やログ管理が必要だと思っていた元魔王です。
そして秒で集まる魔王軍。
結局、最後はクレアさん夫妻に助けてもらいました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
無事に婚姻届も受理され、正式に夫婦です。
ヴェイルはかなり満足そうでした。
次回もよろしくお願いします。




