三十話 夢の道しるべを作ります
いよいよライブ準備も大詰めになった。ライブ会場に到着したメンバーに、世奈は改めて声をかける。貴方達と私の九人で輝く、これからずっと。そうメンバーと誓い合った。
その後、大地は一旦事務仕事の方に移ることになった。私は内心少し心配だったが、大地本人も「頭を冷やしたい」と言っていたので大地の判断に任せることにした。そしてDreaming Makerの単独ライブは、明後日に迫っていた。今日はイベント関連のインタビューや宣材写真などの情報をホームページにまとめる作業で事務所内は大忙しだった。いよいよ大詰めと言った雰囲気が漂っていた。私も一旦デスクを離れ、最終調整を行うメンバーの元に向かった。レッスン室の扉を開けると皆入念に準備運動を行っていた。
「下準備は今日中に全て終わります。あとは貴方達の実力を発揮するだけになりました。緊張も多いと思いますが、いつも通りが一番生き生きしてますから、いつものキラキラした貴方達をステージで見せつけてあげてください。」
私の言葉にメンバーは息を揃えて答えた。
翌日、実際のライブ会場でのリハーサルが行われた。メンバーは今までとは段違いの大きなステージに胸を躍らせた。
「俺たち、ここで踊れるんだー!すげーや!!」
「すごい緊張してきたけど、ワクワクもある!」
花咲くんと蔦屋くんは興奮した状態でお互いの体を抱き合った。
「何人入るんだよこれ!ハンパねーな!」
「すごい、天井があんなに高い建物、東京ドームくらいしか知らないよ。」
皆とてもワクワクしていた。私もその日の夜は(と言っても三時間しか寝ないが)眠れなかった。
そのせいもあってか翌日の早朝、予定より30分も遅れて目が覚めてしまった。私は慌てて鍵とか携帯とか、必要な物だけを持って事務所に向かった。バスで会場まで向かう。寝ぼけ眼のメンバー達もおぼつかない足取りでバスに乗り込んだ。私は一番前の座席でぐっすりと眠ってしまっていたようだ。会場に着くなり明石くんたちに起こされて慌ててシートベルトを外した。自販機で買ったキンキンに冷えたコーラを飲み、バッチリ目を覚ました。外の熱気が、建物内からも伝わっているように見えた。建物内の小窓から外を覗くと大勢のファンが並んでいた。
その後、最初の衣装に着替えたメンバーが控え室に戻ってきた。皆、デビューしたての時からは想像もつかないくらい凛々しくなっていて、私は思わず泣きそうになってしまった。
「マネージャー!泣くなよこれくらいで!こんなんで泣いてるようじゃ俺たちの成長が見届けられねーだろ!いつまでも、俺たちが俺たちでいる限りあんたがマネージャーなんだからよぉ、自信満々に俺たちを送り出せよ!」
織くんの言葉に自分のできる最大の笑顔で答えた。
「ファンにも、陽昇にも、伶奈さんと灯さんにも、皆に喜びを伝えなくちゃいけないからまだまだ見守っていてね。」
御影くんもはっきりと言い切った。
「今更名前で呼ぶの照れくさいというか、なんかドギマギしますけど…今だけ呼ばせてください。圭人くん、雄大くん、凰太くん、永遠くん、翔くん、充くん、千鶴くん、天くん。私、菅井世奈はいつまでも貴方たちの夢の道しるべを作ります!時には貴方たちに支えてもらいながら、皆で道を切り開いていくのがDreaming Makerです。九人で、どこまでも輝きましょう!さぁ、時間です。行ってらっしゃい。ここから見守っていますから!」
そう言って八人を見届けた。八人がこちらに背中を向け歩き出した。その背中は今まで見たことのないくらい大きくて頼り甲斐があって、カッコよかった。




