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Dreaming Maker Memories  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
28/33

二十七話 助かるって信じてあげて

Dreaming MakerもRock'in Heartも仕事が増え順風満帆。伶奈と灯は一足先に単独ライブの開催が決定し意気込んでいた。世奈と大地もアイドルたちのことで頭がいっぱいだった。そんな矢先、悲劇は突然訪れる。

あの雑誌の発売から、Dreaming Makerの仕事がどんどん増えていった。今度は全員納得いくようなバラエティへの出演もあり、歌番組への出演も決定していた。私たちの今の目標は単独ライブ。シャインエール・プロダクションも色んな方面に彼らを推している様子で日々アイドルとしてのランクが上がって行っているような気がしていた。そして大地たちRock'in Heartは一足先に単独ライブの開催を決定していた。東京と大阪の二箇所での開催と言っていた。


「あのさあのさー!俺、久しぶりにロキハのお姉ちゃんたちに会ってきたんだよー!そしたら変装なんかしててさー、すっかり有名人になってたんだ!すげーや!!俺も変装したーい!!」

「すごいですよね、二人とも勢いが増してて。私たちも単独ライブ目指して、まずは次の収録に集中ですよ!」

皆息ぴったりに返事をした。順調に進んでいる、そう実感した。


その日の夜は、上司たちと飲みに行くことになった。他事務所のマネージャーたちと合流させてくれると聞いてワクワクしていると、ひときわ背の高い、大地の姿があった。

「大地〜!来てたんだ!」

「世奈さん、いやぁ、お互い大忙しですね。」

私と大地が握手すると、周りは『ビック対談』だの『大物と大物』だの茶化してきた。

「冗談やめてくださいよー!」

まだ酒を一滴も飲んでいないのに、酔っ払ったような声音で私も冗談交じりに返した。


「それで、大阪ライブには飛行機とかで行くの?」

「そうですね、二人に飛行機に乗ってもらって、僕は大荷物なので先に車で行くんです。途中で合流してライブ会場に向かいます。」

日に日に迫ってくるライブの日程に大地もワクワクを隠しきれなかった。大阪ライブが先、その後に東京でのライブ開催らしい。

「私たちも頑張るぞー!」

シャインエール・プロダクションの社員たちは重たいジョッキで乾杯した。その日はベロベロになって千鳥足で家まで歩いた。この先に待ち受けている運命なんて知りもせずに。




Rock'in Heartの大阪での単独ライブの日、たまたまレッスンがオフの日曜日だった。学校の宿題が忙しいと言っていた花咲くん、蔦屋くん、御影くんと、バイトが忙しいと言っていた雪室くん以外の四人と私は空港で彼女たちを見送ることにした。

「頑張ってね。俺たちもすぐ追いつく。」

「大阪のおばちゃんに負けんじゃねーぞ!気合いで突っ走れ!」

「君たちの魅力を大阪中に広めるんだよ。」

「帰ってきたら料理を振る舞いたい。今のうちに何か食べたいものを教えてくれ。」

四人それぞれ激励の言葉を送った。

「うん、二人ならどこまででも羽ばたけますよ!見せつけてあげてください!私たちの親友、ライバルとして、負けないくらい輝いてきてくださいね!」

私が二人の肩を抱くと、二人はにっと笑って返した。

「あったりめーだ!大阪のおばちゃんなんかなぎ倒して、おっちゃんも虜にしてくる!」

「いい報告ができるようにします。期待していてください。」

飛行機の発車時間となった。二人は最後に一度こちらに振り返って手を振って飛行機に乗り込んだ。

「頑張ってこいよ!」

私たちは二人の姿が飛行機の中に消えるまで手を振り続けた。飛行機の発車を見守って、空港を後にした。


そのわずか一時間後だった。




遠山くんがお昼の料理を振舞ってくれると言い出し、久瀬くんの家に飛び込んだ。

「また俺の家〜?」


久しぶりに久瀬くんの家に入ると、お母さんが出迎えてくれた。

「主人は今用事で家を出ているから、広々使ってね〜♪」

「はい、では遠慮なく。」

エプロンをつけ、遠山くんが料理を始めた。食欲をそそる匂いで鼻腔が満たされる。ふと久瀬くんがソファに置いてあったリモコンをつけ、ニュース番組のチャンネルに変えた。私も明石くんも織くんも料理の方を見ていたが、久瀬くんがリモコンを手から滑り落とし目を丸くした様子に気づき、皆テレビに目を向けた。そこには、燃え上がる飛行機の残骸が映っていた。


「は…?これって…」

久瀬くんが青ざめた顔で手を震わせる。

「お、おい、嘘だろ。羽根田空港発の大阪行き、この時間…あいつらが乗っていた…?」

織くんが震える指先でテレビの字幕を指差した。そこには飛行機の発車時刻が書かれていた。間違いなく、伶奈ちゃんと灯ちゃんが乗っていた飛行機だ。

「ちょっと待てよ、めっちゃ燃えてるじゃん。煙、充満してるよな。」

「石須、岩清水…!」

私は声が出なくなった代わりに涙が一粒溢れた。いや、まだ助かるかもしれない、そう思っても、燃え盛る機体を見ると心が痛くなって、涙が止まらなくなった。


私たちは久瀬くんの家を後にして、事務所に向かった。ロビーに入ると、呆然と立ち尽くす花咲くん、蔦屋くん、御影くん、雪室くんの姿があった。四人はテレビをじっと見つめていた。エンジンの不良があったにも関わらず運行をしていた、という字幕が流れた。私は堪えても堪え切れないほど涙が出てきた。

「…マ、マネージャーさん。お願い、泣かないで。助かるって信じてあげて!」

振り返った花咲くんはすでに涙で顔をボロボロにしていた。しばらく立ち尽くしていると、次々と速報が流れてきた。ついに、事故の犠牲者についての情報が流れた。乗客約100人の内、20人が死亡。60人が重軽傷、残り20人が行方不明だと伝えられた。焼け焦げて性別も分からない遺体もある、という情報が入った。いつの間にか、テレビの前には人だかりができていた。そして、Rock'in Heartの二人の情報も、速報で流れてきた。大阪ライブを予定していたRock'in Heartの二人が搭乗していたという情報、そして、二人は前身に重い火傷を負い搬送後間もなく死亡した、と。

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