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Dreaming Maker Memories  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
21/33

二十話 エース

圭人のリーダーとしての器を信じて、世奈は影から見守った。収録が進み、いよいよ新曲発表。そんな時、いつも飄々としていた天の様子がいつもと違っていたのに気づく。

休憩時間を挟み、収録再開となった。私も大地も今度は口出ししないように、10人の成功を影で祈っていた。


「…次はユニット結成当初のお話を聞いていきたいと思います。」レイヤくんの司会進行で大きめのフリップが登場した。メンバーも後ろの方を振り向く。

「ではDreaming Makerの皆から聞いて行こうかな。明石くん、頼んだ。」「はい。」レイヤくんに促され、明石くんがユニット結成当初の話を始めた。台本を読んでいないところだ。

「結成初日はマネージャーにギャーギャー言われましたね。顔は可愛いけど結構厳しいから。」明石くんがそう言った途端にカメラがこちらに向けられた。私は身動きが取れなくなってとりあえず口パクで「明石くーん!」と言ってみせた。

「あー、マネージャーさん怒ってるー。確かに可愛いけど厳しそうな人ー。」レイヤくんも私を茶化してみせる。私がこの時どんな顔をしていたかはオンエアを見れば分かるはずだ。

「皆バラバラなんです俺たちは。清々しいくらい仲良いのが、世間が求めるノーマルなアイドル像ですよね。でも一部のメンバー間にはもちろんまだ隔たりがあります。性格の不一致は当たり前ですから。最初のうちは、嘘ついて仲良いアイドルを演出するんじゃなくて、俺たち火花散らして毎日毎日ぶつかり合ってますっていう、ありのままを伝えたいなと思います。」

「へぇ、仲間でありライバルなのかな。誰かの一番になれるように、皆自分を貫き通すんだよ。」レイヤくんはそう言って明石くんに拳を突き出した。明石くんも拳を突き返した。


「はいカットー!」Dreaming Maker結成当初の話が終わってカットが入った。番組プロデューサーたちが収録部分を確認しながら話し合っていた。レイヤくんもそこに歩み寄った。

「こんな火花バチバチ散らしてるアピールしちゃって、意外性はあるけど他のユニット押し負けないかなぁ?」「ま、他の子達も期待するっきゃないですよ。新人ちゃんたちを頑張らせてあげて。」そんなやりとりが聞こえた。

「うん、そうですね。Rock'in Heartの二人にも頑張ってもらわなければいけませんね。」大地も意気込んだ様子だ。私はとりあえず自分をいじられた以外は明石くんやるじゃん!と明石くんの背中にウインクを飛ばした。


「続いてRock'in Heartの結成当初の話を聞いていくよ。伶奈ちゃん、よろしく。」「はい、よろしくお願いします。」冷静な顔ながらも、伶奈ちゃんからは緊張が伝わってきた。対する灯ちゃんは喋りたそうにうずうずしている。大地も強張った面持ちで続きを見守った。

「私たちの出会いはついこの間。マネージャーの指示でいきなり営業ライブなど、割と精力的に活動させてもらってます。曲は借り物ばかりですが。その内に皆さんにオリジナルの新曲を披露するので待っていてください。」台本通りに読んでいるのか、時折目線をカメラから外しつつもハキハキと笑顔で読み切った。伶奈ちゃんはとことん真面目だなぁと改めて思った。

「マネージャーさん、どんな人なんだろ〜。あそこにいる人かな?」するとまたレイヤくんがこちら側にカメラを向けた。いきなりカメラにアップで抜かれて大地はあたふたした。

「さっきの女の子よりは優しそうだけど、すっごい大きい人だね〜。あードリメカのマネージャーさん怒らないでって。」

私はこの時フリーダムなレイヤくんに流石に怒っていたのだろう。どんな顔をしていたのかは覚えていないがオンエアを見れば分かる。

「…私たち、Dreaming Makerさんと最近合同合宿を行ったんです。私たちアイドル10人と、私たちのマネージャーとDreaming Makerのマネージャーさんたちとで。とても勉強になった数日間でした。」伶奈ちゃんは合同合宿の話を始めた。最近の話なのに懐かしい気がした。

「へぇ。楽しそうだね。どんな成果を得られた?」「私たちにはまだ見えていなかった、広い世界を感じました。性別も年齢も違う沢山のアイドル。戦うフィールドは違うかもしれないけど、同じアイドルである以上ライバルだなぁと。彼らも私たちも、まだまだ始まったばかりですけど、それぞれ強みがあるんだなーってすごい思いました。もちろん彼らに打ち勝って一番になりたいし、誰かのオンリーワンでもありたい。欲張りですけど、毎日が楽しくて未来への願望が沢山溢れ出るんです。」先程のように目が泳いでいない。台本を思い返しているわけではないのだろう。ありのまま、心のうちを話した。清々しい顔をしていた伶奈ちゃんに大地も納得した表情をした。


他のユニットも話を終え、メンバーの秘密など小さいコーナーも撮り終わり、残る出番はDreaming Makerの新曲発表のみとなった。皆に入念にストレッチをするように促す。他のユニットとはここでお別れとなる。

「あー喋り足りねーよ!!誰でもいいから収録終わったらカラオケ行こーぜ!!」「私も歌のレッスンをしたいから混ぜてちょうだい。」「あたしはレッスンじゃなくてただただ歌いてーんだよ!!馬鹿騒ぎに付き合ってくれる奴いたら後で連絡くれよな!!んじゃ!!」喋り足りなかった灯ちゃんと冷静な伶奈ちゃんとも別れた。

「皆さん、いよいよ本日の見せ場です!リラックス!本番は練習のように!!今までの成果を見せつけてやってください!」私の呼びかけにバラバラに返事をした。

「…ん?御影くん?」全員に目をやると一人座り込んだ御影くんが胸を押さえて俯いていた。

「どうしました?どこか具合でも?」「…今更、緊張感が出てきました。」いつにもなく強張った面持ちでそう答えた。そこにメンバーも駆け寄る。

「おいおいオメー今まで散々実力とやらを見せつけてきたくせに、緊張かよ!冗談よせよー!!」「君らしくないよ。もっと間抜けな笑顔を見せてごらんよ?」織くんも久瀬くんも冗談めかしく茶化すがそんな顔を見た御影くんはより苦しそうな顔をした。

「…僕にはどうしてもこのパフォーマンスを見てもらいたい相手がいるんです。それなのに、急に鼓動が早まって、心臓が痛い。」「や、休みますか?」そこに、少し離れたところから見ていた明石くんが私を払いのけて御影くんの前に出てきた。そして力強く肩を叩いた。

「弱音を吐くなよ。実力を見せつけてやるんだ、エース。誰相手なのか知らないけど、その話はあとでマネージャーにでもしておきなよ。今は目の前に集中しろ。」期待を込めつつも、いつにもなく力強く真剣な声音で明石くんはそう言った。明石くんの言っていることは正しい。事情は後で聞くとして、今は目の前のことに集中してもらおう。

「…仰せのままに、リーダー。」苦しそうに汗を流しながら、御影くんも苦し紛れに笑ってみせた。

「時間だよ新人くんたち。皆が待ってる。」レイヤくんに促され、メンバーは立ち上がった。私はここから、皆にエールを送ろう。

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