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Dreaming Maker Memories  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
18/33

十七話 背中合わせの二人

いよいよ番組収録日が目前となった。緊張感漂うレッスン室、天だけが能天気な顔をしていた。その様子が気にくわない圭人。レッスン終了後、世奈と圭人はある「賭け」をした。

あれからしばらく経ち、ずっと練習してきた新曲のレコーディングを終え、私たちの大きな出番は残すところあと一つ。番組収録本番となった。一日経過するにつれカレンダーに赤丸をつけていったが、今日書いた赤丸の隣の欄には「収録日」の文字があった。私自身はあの出来事から吹っ切れて、またビシバシ指導できている。メンバーはというと、だいぶ慣れと落ち着きが出てきたように見える。上司からも最近褒められた。しかし、日が経つにつれメンバーの中に緊張感が張り詰めているのも事実だ。今からレッスン室に向かう。今日は皆どんな様子だろうか。


「皆さん集まりましたかー?」ドアを開けると全員揃っていた。

「揃ってまーす。」いつも通り、どこか能天気な御影くんの声がした以外には、いつもおしゃべりが止まらない花咲くんも口を閉じ静まり返っていた。

「花咲くん、いつもの元気はどこ行ったんですか?」「うう、だって明日だよ、俺だって緊張するもん…。ねぇ、トイレ行ってくるね!」もじもじしながら花咲くんが部屋を後にした。

「マネージャー、分かるよね。俺も分かる。本番が目前に迫ってるんだ、皆流石に緊張してる。…御影は慣れっこなのか、全然そうは見えないけどなぁ。」明石くんはちらりと御影くんの方に目をやった。

「え?僕だって、一応少しは緊張感持ってるよ〜?」「…」また御影くんの悪い癖、空気が読めてない。そんな能天気な声音で話したら、明石くんまたイライラしちゃう。…明石くんは案の定舌打ちをしてそっぽ向いた。また亀裂が入ったような気がした。今回は明石くんと御影くんの二人の間に。二人ともちょっと相慣れないようなところがあるのは分かっている。決して相手を嫌いだとか思ってはいないと思うけど、そうであって欲しいけど。なんにせよリーダーの明石くんにはチームをまとめてもらわないといけないし、打ち合わせ以外にも話さなきゃいけないことはうんとある。その時に聞いちゃおうかな、御影くんに対してどう接していきたいかとか。花咲くんが戻ってきたタイミングで、本番前最後のレッスンを開始した。


「お疲れ様でした!今日は早めに寝て、明日の準備をしっかりと行ってくださいね!解散!」私の声で皆部屋を出て行く。その中にいた明石くんの服の裾を引っ張って止める。

「明石くん、リーダーとしてお話しておきたいことがあるので残ってください。」明石くんは頷き、レッスン室に二人だけになった。


「ふーん、なるほど。了解。」番組に関する事情を一通り伝達した。明石くんはメモを取って聴いてくれた。

「番組に関する話はここまで。次は…聞いてもいいですかね…」「御影のこと、だろ?」どきりとした。まるっきり心を読まれていた。そう放った明石くんは横を向き舌を出した。

「単刀直入に聞いていいですか?御影くんのこと…」「嫌いだよ。」私の声を遮りはっきりと言い放った。次の言葉が出なかった。

「マネージャーの前ではいい子ぶって仲良いフリしてるけど、本当は嫌いでたまらないんだ。性格が合わないから。それはどうしようもないことだし、性格不一致なのに無理に俺ら二人を合わせようとしたら余計こんがらがるからやめといたら。」明石くんは冷たい声で言い切った。

「御影くんはきっと、明石くんのこと…」「あいつがどう思ってるかなんて俺はどうでもいい。嫌いだろうが好きだろうが。マネージャーをこれ以上困らせないために、これからも俺たち二人は上辺だけで付き合っていく。向き合って顔を合わせることなく、背中合わせの二人でいる。」そんな悲しい言葉、言わないでよ。

「…確かに皆が皆仲良しにはなれませんよね。でも私は今の明石くんの言葉をこう受け止めます。背中合わせの二人。背中を安心して相手に預け合える、顔を見ずとも信頼し合える、そんな関係。綺麗事と呼んで構いません。私は明石くんの今の言葉をこういう風に解釈して、そんな二人になって欲しいと願い、導いていきます。逆らいたいならいくらでも逆らいなさい。どっちが勝つか、勝負しましょう。」そう言って私が拳を突き出すと、「面白い賭け。」と嘲笑するような目つきの明石くんが私の拳に自身の拳を合わせた。

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