表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dreaming Maker Memories  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
12/33

十一話 愛してほしいから

翔との話も終えて、次は千鶴と話すことになった。普段はポーカーフェイスで不安なんて抱えていなさそうに見える千鶴の本心が露わになる。世奈はもっと自分を必要な一人と認めてほしいという思いを伝える。

「失礼しまーす…」花咲くんを遠山くんとの相部屋に帰した。…そこには寝息が二つ。遠山くん、何ぐっすり眠っとるんじゃワレ。花咲くんを起こさないように無理やりお姫様抱っこして屋上まで連れようとする。流石に体が大きくて花咲くんと同じようにはならずに足を引きずりまくってしまった。そして、「…んぅ?俺は何をして…?」朦朧とした様子の遠山くんが目を覚ました。

「お話あるって言いましたよね。何ぐーすか寝てるんですかっ…」「ああ、忘れかけてました…あとは自分で歩きますから…ちょっと肩は借りますけど。」私の肩に手を回しおぼつかない足取りで屋上に向かった。


「すっかり目が覚めました。今日はもう寝ません。」「寝てください。明日もあるんですよ。」さらに星が明瞭に見える。ブランケットを膝にかけてはいるが、少し肌寒い。

「寒ければどうぞ。」「え、これは?」遠山くんがどこから出してきたのか分からないタンブラーを私に手渡す。ほかほか暖かい、飲み物かな?

「特製スープです。料理が好きなので。厨房の人に野菜をいただいて作らせてもらいました。飲んでください。」いつのまにこんなものを…一口飲むと、野菜の甘みと暖かさが体に染み渡った。

「美味しい…上手なんですね。」「料理を昔からしていました。俺も一口いただこうかな。」私の手からタンブラーを取り、スープを飲む遠山くん。…年下の、自分が育成すアイドルと間接キスとか考えちゃいけない。全く気にしてなさそうだけど…。

「それで、話をしましょうか。」「ああ、そうですね。スープで忘れるとこしました。…ええっと、遠山くんは、自分たちを待ってくれるファンがいないように思えるんですか?」「いや、あれだと少し語弊がありますかね。…御影とか、ダンスが得意な織とか、そういう特技が突出してるメンバーにはきっともうたくさんファンがいます。特技じゃなくても、例えば雪室さんは優しくて皆を大切に思っている、花咲は笑顔で皆を元気にさせてくれる。それぞれ皆、ユニット内での立ち位置があると思うんです。俺以外。」そう言って少し曇った顔になった。

「まだ、始まったばかりです。遅れを恐れることはありません。遅れてると思うなら、全力で走ってください。きっと御影くんも織くんも、走ることはやめないし、隙間は開いていくかもしれません。でもその度に、無力かもしれませんが、私が全員に声をかけてつなぎとめます。決してはぐれないように、バラバラにならないように。…もう何回かバラバラになりかけてますけど、一応途切れてはいない。皆が皆を思って、私も皆を思って。結局元に戻っちゃうんです。思ってる以上に私たちってつながりが強いんですよ。」私の思いのままをぶつける。遠山くんはスープを一口飲みタンブラーの蓋を閉めた。

「俺にも、立場ができるんですかね。」「例えば、料理をたくさん作って食べさせるとか。きっとそれは遠山くんにしかできない特技じゃないかなと思います。アイドル活動にも活かしてみるとか…私も働きかけます。遠山くんがここに居づらくならないように、むしろここじゃなきゃ嫌だって思えるくらいに。もっとDreaming Makerを愛してほしいから、自分を必要な一人として認めてほしい。」そう。誰が欠けてもいけないんだ。8人と私で、もっと先に進むために、光に包まれるために。だから自分を認めてほしいって思う。

「皆、俺の料理を美味しく食べてくれるなら、少し前向きになれそうです。明日の朝、俺が作りたいです。」笑顔を取り戻した遠山くんがこちらに微笑みかける。そのまま肩に少し寄りかかってみたら、遠山くんの暖かい体温を感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ