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Dreaming Maker Memories  作者: 菖蒲P(あやめぴー)
一章
11/33

十話 諦めないでいてくれるかな

合宿も三日目に突入した。しかしDreaming Makerのメンバーは昨日の出来事からか少し滅入ったような様子だ。そんな中、自分たちに応援してくれる人なんているのか、とどうしようもない不安に襲われた永遠と千鶴が不安を口にした。

翌日、大地も合流して、この二日間の情報を伝達しつつレッスンを見守った。

「へぇ、昨日はお疲れ様でした。今日からはRock'in Heartの二人は僕が面倒見ますので世奈さんはDreaming Makerさん8人に集中して、時間をかけてあげてください。」「ええ。やっと本腰入れて指導できると思うとさらに熱くなるね。」まだまだマネージメント業の深経験が少ない私は昨日以前は一人一人の様子を眺めることはできていなかったかもしれない。対象が狭まったから、少し集中できる気がする。どうだろう、皆。


今日から体力作り系のレッスンから、新曲の歌唱振り付けなどに多く時間を割くようにシフトしていく。8人揃ってのレッスンの時間がぐーんと伸びた。皆どうだろう。


…昨日のことをふと思い出す。お偉いさんたちに全く気にかけられることなくスルーされた8人。伶奈ちゃんには話も聞いたしだいぶ立ち直っただろう。だが目の前の8人はどうだろう。なんだか皆、どこか魂が抜けたような、腑抜けた感じがするのだ。声をかけるべきか。

「皆さんの気持ちはおそらく分かります。昨日の人たちなんて気にしないで、あなたたちを心待ちにしているファンの皆さんの期待に応えましょ…」「果たして誰か待ってくれているでしょうか。」私の声を遮り、遠山くんが前に出てくる。他のメンバーも決して明るい表情ではなかった。

「俺たちはデビューして間もない。そもそも期待して待ってくれているファンがいるのかすら分かりません。保証できないでしょう、そんな安定した未来。」「それは…」「そうだよ、僕たちなんて、こんなところで立ち止まる僕たちなんて…誰が応援したくなるもんか。」蔦屋くんも声を振り絞った。

「ツタ兄?ツタ兄はすごいよ?俺なんかより大きくてかっこよくて強いんだ!」「うるさいな…」花咲くんの声も無視して部屋を出て行ってしまった。

「ほら、遠山くんもそんなこと言わないで…」「御影、残念ながらお前に釣り合うほどの力は俺にはないんだ。これからもお前から教わりたいが、今は口出しなんてしなくていい。」至極冷たい顔で遠山くんも言葉を跳ね除けた。…集まったばかりの少年8人の未来は、前途多難である。


「…また何かあったんですか?」伶奈ちゃんの問いにため息をついてしまった。明らかに様子がおかしい8人がいればそりゃおかしいと疑うだろう。「流石にそろそろ空気読んだ方がいいかな?」「お願いします」灯ちゃんもそろそろ黙ってくれるようだ。夜、食事を目前として皆黙り込んで座っていた。そんな中花咲くんがこちらに走って私の体に抱きついてきた。

「ねぇどうしようマネージャーさーん!ツタ兄が口聞いてくれないよー!!」「…今はそっとしといてあげましょうかね。花咲くんに色々聞きたいことがあります。」「ツタ兄のこと?いいよ!」花咲くんは実に素直で誘導しやすかった。…遠山くんはどうだろうか。

「遠山くん、あとでお話…」「いいですよ。」いいんかい。遠山くんはたまにどこか掴めないところがあると思う。花咲くんが眠くなる前にお話終わらせよう。


「星キレーだねー!!金平糖みたいだ!!」屋上、星を金平糖のように摘んで口に放り込む真似をする花咲くんに問いかけた。

「そもそも、ツタ兄って呼んでるのはなんでなんですか?」その問いにこれまた金平糖みたいに目を輝かせる花咲くん。話が長そうだ。

「俺、『ふりょーぐるーぷ』にいたんだよ、盗みとかいたずらとかすごいしてたの!」その答えに驚く。こんなに素直で純真な子が、不良グループにいるはずないと思った。

「それで中学校に殴り込みに行ったんだ。そこでツタ兄と出会った。ツタ兄はグループの強い人の攻撃を全部かわして受け止めて、逃げ切った。その姿に一目惚れしてツタ兄を尊敬することにした!強いヤンキーの舎弟になりたくて!」そういう経緯なのか。にしたって蔦屋くんはヤンキーではないと思うが…夢を壊してはいけないから言わないでおくか。あと花咲くんはおそらくヤンキーの真意を分かってはいないな。一生知らないでいてほしいが。

「でもそんな強いツタ兄も、俺と一緒のところはあるんだって思った。昨日褒めてもらえなくて悔しかったけど、ツタ兄もそうだったんだって。ねぇ、どうすればツタ兄は俺たちとトップアイドルになることを諦めないでいてくれるかな?」なかなかに難しい質問だ。これもまたいっぺんに解決できる気はしないが、今できる最善のことってなんなんだろう。思考を巡らす。…すぅ、すぅ?寝息?…横を見るとさっきまで喋っていたはずの花咲くんがぐっすり眠ってしまっていた。午後9時。もう寝る時間だったのかな。とりあえず話はここで終わらせて花咲くんを部屋に戻してあげよう。次は遠山くんと話そう。

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