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ep68 学校へ行こう!

 当夜は、純達と話しながら学校へと向かっていた。いつもなら重い足も今日は軽い。気持ちが変わるだけでこんなにも変わるんだと当夜は思った。


「どうした、当夜。機嫌がいいな」


 その様子が気になったのか純が当夜を見ながら尋ねる。その様子を見て翼はいつも通り笑う。


「確かにいつよりよ機嫌がいい気がするね」

「まぁな、目標ができたからな。あとはそれに向かっていくだけだ」

「目標?」


 不思議そうに純と翼が当夜を見る。当夜は笑いながら2人に目標を伝える。


「昨日、中原さんに言われただろ。警察目指してみようと思ってさ」

「? でも警察なら本島の警察学校行かないといけないよね? この島に警察学校ないよ?」

「え?」


 翼の言葉に当夜は固まる。純は呆れた様にため息をついた。


「まぁ、なりたいと思わなきゃ、調べないから知らないよな。この島には大学が1つあるけど専門学校系はないからな」

「そうだね、でも大学が1校あるだけでもすごいと思うよ。大学で学びたいなら島の外に出る人も多いみたいだしね」


 翼が笑顔で補足する。当夜の顔がみるみる悪くなる。それに対して可哀想に思ったのか翼は続ける。


「風見さんに聞いた話だけど、島出身で本島の警察学校出てこの島の警察になった人もいるし、大丈夫だよ。あと、この島に警察学校作る話も出るみたいだしね。案外私達が高校通ってる間に出来るかもしれないよ」

「そうなのか!?」

「噂だから断言できないけどね」


 そう言いながら翼はウィンクをする。本当に翼の情報はすごい。当夜はまた希望に満ち溢れた。

 そんな当夜達に後ろから声がかけられる。


「結城君達、おはよう。朝から元気だね」

「おはようございます」


 後ろを振り返ると瑞稀と詩織が歩いてきていた。


「しーちゃん、おはよう! 若葉先輩も」


 翼が詩織に抱きつく。詩織は照れた様に視線を下に向けた。その様子を隣で見ていた瑞稀が笑う。

 当夜と純も2人に挨拶をする。

 3人から5人に変わり、話しながら学校へと登校する。


「昨日はよく眠れたか?」

「もう、ぐっすり寝れたぜ」

「そうですね、疲れもあったので……」


 瑞稀の質問に当夜と純は答える。翼と詩織は3人の前でガールズトークを繰り広げている。


「それはよかった。本当に昨日はありがとな」


 瑞稀が頭を下げる。しかし当夜も純も当然のことをしたまでだ。


「無事で本当に良かったです」

「だなっ」


 笑顔の2人に瑞稀はもう一度頭を下げた。そして、その後はいろんな話をしながら歩く。

 楽しい時間はあっという間という様に気づくと校門を通過して、昇降口まできていた。

 瑞稀に別れを告げて、4人は教室まで歩く。

 昨日までは考えられなかった光景に当夜は口角を緩めた。




 ♢♢♢♢




「珍しい組み合わせですね」


 教室に入ると先に来ていた唯華が当夜達を見ていう。


「おう、昨日仲良くなったんだ」


 唯華の言葉に当夜が嬉しそうに答える。しかし、唯華は興味なさそうに「ふーん」とだけ、返す。


「しーちゃん、今日の放課後予定ないなら遊びに行こっ」

「……しーちゃん?」


 翼の呼び方が気になったのか、唯華は不思議そうに首を傾げる。その様子に笑いながら翼は詩織に抱きつく。


「詩織ちゃんだから、しーちゃん。なに? 唯華もあだ名つけてあげようか」

「そういうの嫌いなこと知ってるでしょ?」


 普段の笑顔はなりを顰め、唯華は顔を歪めていた。しかし、すぐに笑顔に戻る。


「そうだったね」


 翼がクスクス笑う。その様子に唯華は小さくため息をついていた。


「唯華、翼ちゃんと仲良いんだね」

「中学からの腐れ縁なだけだよ」

「ひどーい、こんなにいい親友に向かって」

「翼、自分の胸に手を当ててその言葉もう一度言える?」


 当夜は誰とでも同じテンション感で話せる翼のコミュニティ能力がすごいと今更ながら思った。風見にも和希にも唯華にも同じ軽快さで話している。それだけ人の懐に入るのが上手いのだと感じた。

 翼と一緒に行動することで、学べることがある当夜はそう確信した。


「放課後、俺達も一緒にいいか?」

「おい、当夜。俺達って当たり前の様に俺の予定を決めるな」

「え? 純何か予定あったのか?」

「それは、ないけどさ」


 不服そうな純に当夜は疑問に思う。


「あれ? 結城君達も一緒に行きたいの? 仕方ないな。しーちゃん、いい? 2人きりのデートは休日にしようね」

「えっ? デート?」


 翼の発言に詩織がたじろぐ。しかし、翼は気にした様子もない。


「結城君達もいくなら、どこにしようかな? あっ、唯華もくる?」

「予定あるから、いい」

「どうしてもダメ?」

「無理なものは無理だよ」


 翼の発言に目を輝かせた詩織が、援護射撃をするも唯華は断固拒否をしていた。

 そうこう話していると、予鈴がなり純と翼は席に戻っていった。

 当夜は前の席の唯華に話しかける。


「本当に今日は無理なのか?」


 当夜を応援する様に翼が見つめている事に気づく。しかし、唯華は頑なだ。


「用事があるので無理です。私以外で是非楽しんできてください」


 とりつく島もないことがわかり、当夜と詩織は敗北した。そして本鈴がなり、担任が教室に来たため、この話は終了する。


 そして放課後、唯華は再度誘われる前に早々に教室を後にした。

 そのため、詩織を迎えに来た瑞稀も巻き込んで5人で詩織のお役目の時間まで遊んだのだったが、その話はまた別の機会に。

 

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。


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