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ep67 翌日の学生達

 翌日。当夜はいつもより早く目が覚めた。普段なら学校に行くのが、勉強をするのが嫌で仕方がないが今日はそんな事はない。身支度を整えて部屋から出ると隣の部屋の純もほとんど同時に廊下へ出てきた。


「おはよう、純!」


 当夜は笑顔で純に挨拶する。すると純は驚いた様に目を見開き当夜を見た。


「起こしに行かなくても、当夜が起きてるだと……!?」

「そこまで驚かなくてもいいじゃねぇーか」

「いやいやいや、学校勉強嫌いでいっつもギリギリまで粘るじゃないか。今日は嵐か?」


 相当驚いている様子の純に当夜はそこまで驚かなくてもいいだろと思う。そして純と一緒に話しながら1階の食堂へ向かう。

 食堂に着くとすでに翼と和希がいた。


「あれ? 結城君、今日早いね、おはよう」

「いつもギリギリにくるのに珍しいな」


 翼と和希も当夜が食堂に来ている事に驚いた様子だ。純といい、早く起きたのがそんなに驚くことかよと当夜は少し不貞腐れる。


「九条さんも今日は早いね」

「如月先輩に用があってさ、今日先輩生徒会で早いって聞いてたから食堂で張ってたの」

「本当に文字通り仁王立ちで入り口塞いでやがった」

「あの時間は先輩以外来ることまずないじゃないですか」


 翼は笑いながら和希に話しかける。


「そういう問題じゃない。それよりも零の件は助かった。私はもう行くぞ」

「いえいえ、行ってらっしゃいです」


 和希は呆れた様に翼を見ながらもお礼を言い、鞄を持ち食堂を後にしようとする。その背中にいつもの笑顔で翼は言葉をかけた。和希は片手をあげて挨拶をし、食堂を出て、学校に向かう様だ。


「こんな朝早くから大変だな」

「まぁ、先輩は好きでやってるみたいだけどね」

「如月先輩への話って風見さんの弟の?」

「そうだよ。如月先輩と零先輩は親友同士でさ、すっごい心配してたから、もうすぐ会えると思うことを伝えておきたくてさ」

「その、風見さんの弟もこの寮なのか?」


 和希と親友と聞き、当夜は気になって尋ねる。すると翼は首を振った。


「違うよ。寮どころか学校が違うんだ。この島小中高が2つずつあって、零先輩は流星学園じゃないもつ1つの学校、御影高校の生徒なんだ。如月先輩とは通ってる道場が一緒だったみたいで中学からの仲みたいだよ?」


 翼は楽しそうに笑う。


「御影高校は私の弟も通っていてさ、零先輩、弟と中学も一緒だったからよく弟の写真を送ってもらってたんだ」


 そのまま弟語りを始めようとした翼を当夜は純と一緒に止める。そして朝食はまだという翼と一緒に食事をとる。

 食後のコーヒーを飲みながら、一緒に登校しようと待ち合わせの約束をして一度翼とは別れる。そして純と話しながら部屋に戻る。


「なんか、昨日の出来事が夢みたいだな」

「……そうだね」


 当夜の発言に純も頷く。長い1日が終わり、いつも通りの朝が来た。しかし、経験したことで昨日の朝の自分とはかなり違うと思う。勉強は嫌いだ。それは変わらない。それでも出来ることから始めるならまずは勉強だ。それだけははっきりした。嫌だからと逃げるのはやめだと当夜は部屋の扉を開けて、学校へ行く準備をした。




 ♢♢♢♢





「おはよう、瑞稀」

「おっ、詩織。おはよう」


 詩織がリビングに行くと、すでに瑞稀が朝食の準備をしていた。相変わらず朝が早いなと、思いながらいつもの席に着く。そこで瑞稀の椅子に見慣れないジャージが掛かっていることに気づいた。


「? どうしたの、これ」


 不思議に思い、詩織が聞くと瑞稀が照れ臭そうに笑う。


「少し前に買ったジャージ掘り出したんだ。少し体力つけようと思って、今朝から走ることにしてさ」

「そうなんだ。無理はしないでね」


 昨日の一件で瑞稀も何か思うことがあったのかもしれないなと詩織は思った。しかし、必要になれば瑞稀は話してくれるとそれ以上問いただす事はしなかった。


「翼ちゃん達の記憶どうなるんだろうね」


  詩織は今1番気になっていることを口にした。助けてもらって嬉しかった。友達になってくれたのも。でも、危険に巻き込むかもしれない。能力者の件も含め昨日までの2日間の記憶を消してほしい、でも決して欲しくないという正反対の気持ちで揺れ動いていた。


「そうだな。奏さんが今日話し合うって言ってたし、連絡待ちだ。でも、覚えていてほしいよな」


 優しい瑞稀の声に詩織は小さく頷く。危険に巻き込まないためには記憶はないほうがいい。でも自分の世界を広げてくれた人たちからその記憶がなくなるのは寂しい。自分ではどうしようもない感情に支配される。


「まぁ、中原さんの様子から例外として認められそうな気もするよ。詩織がお役目中に聞いたんだけど、詩織の理解者が必要みたいな意見を言っていたらしい。1週間様子見して記憶を消すか考えるって言い出してたらしいしさ」


 瑞稀のその言葉を聞いて、詩織は無意識に止めていた息を吐く。


「そうだよね、特対の一部しか翼ちゃん達が能力者について知ったことを知らない。ならその人達が黙っていたら上層部にもバレない」


 少し希望が湧いてきた気がした。話しながら瑞稀は朝食を作り終え、自分と詩織の席に皿を移動させる。

 ワンプレートに目玉焼きとサラダ、トーストがのっている。瑞稀が座ったのを確認し、2人で手を合わせて朝食をとる。

 食後は詩織が皿を洗い、時間になったので2人で家を出て学校に向かう。

 昨日までとは違う、友達がいる学校に向かうその事実に詩織は胸がいっぱいになった。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。


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