表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/55

ep47 情報の整理

 翌日。特対部に割り振られた部屋では中原、奏、風見の3人が昨日の事件について話していた。風見は息を一度吐くと、まず能力者達の今後について再確認をする。


「とりあえず、行方不明者は家族に連絡して、その暴走の犯人が見つかるまではあの屋敷に待機って事っすか?」

「ああ、また狙われる可能性は捨てきれない」

「でも、一度暴走したんなら、隔離して警察機関で捕まえておくべきでは?」

「天宮、それは暴論だ。それは一度でも犯罪を犯した奴らは全員捕まえておけと言ってる様なものだ」

「能力者と一般人は違います」


 能力者を、特に暴走した能力者を心の底から憎んでいる奏はここぞとばかりに取り締まり強化を訴える。話は平行線を辿っていた。


「その理論だと一般人で銃を携帯している奴らはどうなるんすか? 能力者よりも殺傷能力は高いっすよ?」

「風見君は身内に能力者がいるんですよね? 能力者贔屓はやめてください」

「俺は仕事に私情は持ち込んでないっすよ!! それを言うなら天宮ちゃんこそ、一方的に能力者全員憎んでる時点で、平等な判断はできないっすよね?」

「お前ら、一旦落ち着け」


 言い合いを始めた2人に中原は止めに入る。さらに顔が疲れた様に歪んでいた。風見はそんな彼の様子を見て反省した。

 そして頭に血が上って、本筋をずらそうとした事を反省する。奏はまだ納得がいかない様な表情で口をつぐんでいる。その肩は震えており、風見には内なる怒りを抑えている様に思えた。


「はぁー、とりあえず天宮。今回の能力者は全員被害者だ。なんなら暴走をしない為に自ら行方をくらませている。それがなければ、被害は確実に出ていた。そんな奴らを捕まえるのは俺は警察として許せねぇ」

「……わかりました。今回はこの決断で納得します」


 奏が折れたのを確認して、中原は次に風見を見る。その瞳はお前もそれでいいな? と雄弁に語っている。


「大丈夫っすよ」


 風見は了承の意を伝える。少し安堵したのか中原は息を吐いた。そして、次の案件だと2人を見つめる。


「能力者の存在を知っちまった3人についてだが……」

「昨日、車内で詩織ちゃん達と話しましたけど、やはり記憶操作するべきでは?」

「1日の猶予を渡しちまったんすよ? 翼なら確実に記憶を消される事を見越して、何か残すはずっす。下手動かれるよりは残してこちらでコントロールした方がいいと思うっす」


 記憶操作を推す奏に今までの経験から反対する風見。この島に翼がきてから何度も止めたが、逆にこの島の裏にどっぷり浸かりに行こうとしたのは記憶に焼きついている。寝覚が悪くなると、適度に情報を渡した事により、片足を少し突っ込む程度で済んだのだ。その経験があるからこそ、風見は記憶は消すべきではないと考えた。


「そもそも風見君が盗聴器を仕掛けられたのを気づかなかったのが問題なのでは?」

「普通に警察に盗聴器仕掛けようとしてるとは思わないっすよ。同じ状況で天宮ちゃんは気付けるんすか!?」

「お前ら、言い争いすんな」


 また言い争いを始めようとした2人を中原はこめかみを揉みながら止めに入る。その表情は早く結論を出し、犯人探しに重きを置きたいと訴えている。それに気付き風見は言葉に詰まる。奏も気づいたのか、やや気まずそうに顔を逸らしている。


「中原さんの意見はどうなんすか?」

「……本当に口外しないのならこなままでいいんじゃないかと思っている。月詠の巫女とも知り合いなら、何か助けになるんじゃないかとも思ってな」

「詩織ちゃんの助けなら、私がいるから大丈夫です!!」

「実務的な事ならそうだろうな。だが、学生同士だからこそ悩みの共有ができる。それが今の月詠の巫女には必要なんじゃないのか? 頑張って大人になろうとしている様にしか見えない」


 中原はそこで一度言葉を切る。そして、呆れた様な表情を作り続けた。


「俺の知り合いの高1のガキなんて、金儲けのことしか考えてねぇし、他人のことなんぞ知るかって自己中心的だぞ」

「それはそれで特殊なんじゃないんすか?」


 思わず風見は口を挟む。でも高校生はそれぐらい自己中心的でも許される最後だとも思った。そして翼を思い出し、自分の知り合いもそう変わらないなと自重気味に笑う。


「まぁ、そうかもしれないが、今代の月詠の巫女は真面目すぎる。先代はもっと適当だっただろ」

「それは、そうでしたが……」

「1週間。1週間だけ様子見だ。それで他言しそうな様子があった場合は記憶操作を行う。それでどうだ?」


 疑問系で聞かれるが、瞳は否は許さないと雄弁に語っている。風見はため息をつき、了承した。


「……わかりました」


 奏もどこか納得がいかない様子はあったが同意する。そしてこの話は終わりだとばかりに、議題は次の能力者を暴走させた犯人についてに移る。


「そもそも来宮博士達はどうしてターゲットになった被害者がわかっていたのか、吹雪からの情報って言ってましたよね? この吹雪の自作自演の可能性は? 2日のシージャック犯にも情報を売っていたって聞いてますよ?」

「自作自演なら何故被害を出さないように動いたかって謎が残るっすよ」

「……俺も情報通の知り合いが1人いる。少し探ってみる」


 吹雪の名が出てから中原の様子が少しおかしい。そう感じながらも今は関係ないかと風見は気にしない事にした。それから犯人についての考察を始めた。

 少しすると携帯の着信音が室内に響く。風見は慌てて、携帯を取り出し発信者を確認する。


「……翼?」


 表示された名前に一抹の不安を感じながら2人に断ってから電話に出る。すると珍しく焦った翼の声が耳に飛び込んできた。


『風見さん、月詠さんが攫われた』

「は?」


 室内に風見の間抜けな声が響いた。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。


続きが気になりましたら、ブックマークで応援していただけると非常に励みになります! ぜひ、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ