表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/52

ep44 危険と好奇心

 前のソファに優雅に腰をかけていた来宮は足を組み直す。そのマイペースな様子に翼は気持ちがはやる。ゆっくりと来宮が口を開き、翼は無意識に溜め込んでいた唾を飲み込んだ。


「能力者についてだったな」


 そして話そうとする来宮を風見や詩織達が遮る。


「来宮博士!!」

「やめてください!! 一般人に話すのは!!」

「聞いた奴らが危険な目に遭うかもしれない。やめてください」


 必死で止める3人を興味がなさそうに来宮は無視した。

 詩織達は部屋の入り口でこれ以上当夜達が聞かない様に部屋から遠ざけようとしている。純もこれ以上やばいことに巻き込まれたくないのか真っ青な顔で当夜を止めようとしているのが目に入る。

 翼は自分の横で必死に来宮と自分を止めようとしている風見を無視して、来宮に先を視線で促す。


「ここまで知って、後は忘れろはないよな! 俺も聞きたい! この島の秘密ってワクワクするな」


 当夜は嬉しそうに嫌がる純の手を引っ張って室内に入って来た。その後ろから詩織と瑞稀が必死に止めようとしている。


「これはあなた達が知る必要はないから、戻りなさい」

「でもお前らは知ってるんだろ?」


 止める詩織を振り返り当夜は何を言っているんだ? と言 いう様に返していた。それに止めに入っていた3人は息を呑む。

 正論だと翼は思った。たとえ秘匿されるべき事柄であろうと、知ってる人間が知る権利を否定しても説得力を感じない。

 当夜のおかげで、さらに聞きやすい流れになるなと翼はほくそ笑む。

 正面に座る来宮が興味深そうに視線を初めて翼からズラし

 当夜を見た。


「ほぉ」


  その視線には微かな興味が宿っている。


「その屁理屈はいいな。気に入った。お前も座れ、知りたい事を詳しく話してやる」

「マジか!?」


 来宮の言葉を聞き、当夜は嬉しそうに翼の隣のソファに座る。手を離された純は青い顔のまま、その場で固まっている。当夜は身を乗り出し、来宮の言葉の続きを待つ。


「何故、能力者というものが生まれてくるのか、そのメカニズムはわかっていない。ただ、何故か突発的に、遺伝は関係なく唐突に能力者は生まれる。勿論、家族が能力者って場合もあるがな」


 そこで来宮は一度言葉を切る。


「そこのチャラ男がいい例だ。兄であるチャラ男は能力者じゃない。しかし弟の零は能力者だ」

「博士! 勝手に人の事情もベラベラと」

「別に減るものじゃないだろ」

「そういう問題じゃねぇだろ!? とにかく博士、あんたは話して終了だと思っているが、知らなくてもいい事を知ったことで危険に晒されるかもしれないんだ」


 風見は当夜達の身の安全を心配しているのだ。翼もそれは理解している。当夜達を巻き込むのも良心は少し痛みは感じてはいた。


「風見さん、私はその危険ヘッジをした上で聞く事を選んでいるんですよ」

「お前はそうだろうさ、だがこいつは!!」


 そう言いながら風見は当夜を見る。鋭い眼光に見つめられているが当夜は気にした様子がない。


「俺も、危険より好奇心をとるぜ!」

「当夜!!」


 好奇心旺盛に言う当夜に、純は思わずというように駆け寄り必死に止める。


「警察がそう言うって事は本当にまずいんだよ。この島の日常を過ごすためにはやめといたほうが絶対いい」

「三好君の言うとおりだ、結城君に九条さん。俺らは君らを裁く立場になりたくない」

「九条さん、本当にやめて」


 純の言葉に瑞稀と詩織も続く。しかし当夜も翼も聞く耳を持つ気はない。


「あの、外野の声は無視していいので、そのまま続けてください」

「その肝の座り方気に入った。なんでも聞いてくれ」


 来宮は翼を見て楽しそうに微笑む。


「理由は私も知らないが、能力者はこの島に集められめいる。表向きは隔離だが、私はこの島の成り立ちに関係してると考えている」

「成り立ち……。昔噺に出てくるあの話ですか?」

「ああ、あの旅人の見つけた洞窟。あれと能力者が関係している……私の仮説だがな」

「……待て、その話俺もしらねぇぞ!?」


 来宮と翼の話を聞いて風見が目を見開く。詩織と瑞稀も驚いた表情をしている。この話は3人とも初めて聞いたようだ。


「研究以外で話す事はなかったからな」


 詫びれた様子もなく来宮は続ける。


「この島に能力者を集める。それが当初の目的だった。しかし、科学が進化して来た事で能力者は異物と考えられる様になる。それが日本での能力者迫害の始まりだ。まぁ能力者の存在は昔から一部の上級階級以外には昔から秘匿されているがな」

「それで、この島から能力者が出れないと言うのは?」


 翼は1番聞きたかった事を口にする。来宮はほんの一瞬何かを考え込んでから口を開いた。


「まず第一が迫害だ。この言い方は私は好きじゃないのだが、異物は1箇所にまとめて置きたい。それが現在の1番の理由だろう」

「二つ目は?」

「上層部にも能力者の一族がいる。理屈はまだわからないが、その一族には何故か記憶操作と能力者探知の能力者が生まれる。やつらはこの島ではかなり力を持っている」

「能力者を閉じ込める役割を担ってるから、本当からも融通が効くってことですか?」

「そうだ。利害関係の一致した奴らが本島と御影島で手を組んでいる。それが二つ目の要因だ」


 翼は来宮の話を聞きながら、疑問をどんどん聞いていき、知りたい情報を仕入れていく。翼の隣に座っている当夜は話について来れないのかはてなマークを頭上に浮かべながら、首を傾げていた。しかし、ハッとした様に顔を上げると来宮を見た。


「って事は能力者は本当に、この世にいるって事だな!」


 当夜の言葉を聞き、その場の空気が凍った。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。


続きが気になりましたら、ブックマークで応援していただけると非常に励みになります! ぜひ、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ