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ep37 白いワゴンを追いかけろ

 風見の車はシルバーのワンボックスカーだった。

 助手席に翼、後部座席前列に詩織と瑞稀、後列に当夜と純がそれぞれ座っている。


「とりあえず、白いワゴン車に関しての情報はまだ洗ってる最中だ。誰かに邪魔されてるのかデータがなかなか見えない」


 運転しながら風見は情報を伝える。サングラスは外し、オッドアイの瞳で前を見据えている。


「とりあえず、俺が今日運転してるの知ってるから、何かワゴン車に関して分かったら天宮ちゃんからつくよちゃんに連絡が来ることになってる。聞いてる?」

「はい、なのでいつでも取れるように携帯は持ってます」


 風見の報告を聞き、詩織は携帯片手に頷きながら返答する。その隣では瑞稀が窓の外を眺めて、すれ違う車を確認している。


「ならいい。とりあえず、もし例の車を見つけたらすぐに教えろよ」


 昨日は現場の確認をしたが、これといって手掛かりが残っていなかった為、今日は車内から車を見て探すことになっていた。本来なら人海戦術を使うべきだが、子ども達を個別に分けることを嫌がった風見により車窓から探すことになったのだ。

 翼や当夜、純もそれぞれ車外を見て白い車をまず探す。


「でも、一度見られたんだから同じ車使いますかね?」


 窓の外を探しながらも翼は疑問を口にする。


「それは一理ある。でもそう簡単に犯行に使う車を用意できるとは思えない。可能性があるなら他に手掛かりがない以上探すしかない」

「確かにそうですね」


 風見は運転しながらも鋭い眼光で答える。納得しながら翼は外を眺めて探す。

 すると車内に着信音が響く。詩織の携帯だ。全員が固唾を飲む。


「……奏さんからだ」


 着信相手を伝え、詩織は電話に出ると、スピーカーモードにして全員に音声が聞こえるようにする。


「詩織です。何かわかったんですか?」

『今、交番から連絡があって例のワゴン車の位置がわかったわ。風見君に伝えてくれる?』

「聞こえてるっす。場所はどこっすか?」

『それが金曜日の未遂事件の近くを今走ってるらしいの』

「了解! 今すぐ向かうっすね」


 奏の報告を聞き、風見はハンドルを切る。


「奏さんありがとう。また何かわかったら連絡ください」


 詩織はそう伝えると電話を切った。




 ♢♢♢♢




 金曜日の未遂事件現場に到着した一同は一度車から降りて周りの捜索を始めた。


「あんまり遠くには行くなよ」


 風見の指示に全員従う。


「あれ? 風見さんどうしたんですか?」


 そこに自転車を押した近くの交番勤務の中年の男が近づいてくる。軽く男に風見は事情を説明する。


「白いワゴンですか? さっき向こうから走ってきたのを見ましたよ」

「!? 本当っすか!?」


 まさかの目撃情報に風見は男の肩に手を置きら体を揺らした。


「はい、もう時期この横通るんじゃないですかねぇ」


 白いワゴン車を探している事しか伝えてない為、男は呑気に笑う。するとその時、隣を白いワゴンが通過する。ナンバーを確認すると"あ86-45"となっている。

 その瞬間、当夜が中年男性の押していた自転車に飛び乗り、車を追い始めた。ヒュンッと自転車が風を切る音が響く。


「おい、ガキ!!」


 風見が叫ぶがすでに当夜は遠くまで行ってしまっていた。純はその様子を見てため息をつく。


「あの……」


 そして頭を抱える風見に純が恐る恐ると声をかける。風見は今度はなんだと純の方を向く。その眼光の鋭さに純は一瞬怯むもすぐに拳を握りしめ決意したように言う。


「当夜なんですけど、よく迷子になるので本人了承のもとGPSを携帯に仕込んでいるんですよ。それに流石に1人では無理しないと思うんで、例の車の向かった先で隠れて待ってると思うんです」

「……居場所がわかるのか!?」


 純の言葉の意味を理解するのに風見は少し時間がかかった。しかし、突破口が見つかった事でその瞳には光が宿る。


「はい。当夜もGPSの存在は知ってるんで」

「すぐに車に戻って追いかけるぞ! 翼は助手席から後ろに回れ」


 すぐに風見は指示を出し、5人は車を止めたパーキングへと向かう。その後ろを風が吹き抜けていった。




 ♢♢♢♢



  吹雪はセーフハウスの窓辺に陣取り情報を収集する。


「へぇー、車を見つけたんだ。データがすぐに照合できないようにハッキングしたんだけどな、運がいい」


 まるでその場で見ているかのように吹雪は状況の整理をする。


「学生達が誘拐事件の真相に一歩前進か、あちらはどうでるんだろうな?」


 どこか楽しそうに独り言を呟く。そして窓枠に外の景色を背にして腰をかけ体を後ろにのけぞらせる。窓から上半身を出しながら楽しそうに笑う。


「これは今日でこの事件は終わるかな?」


 笑いながら体を部屋の中に戻す。


「さて、最後に笑うのは学生諸君か、能力者か、それとも島の上層部か。ここから見物させてもらうよ」


 傍観者は決して騒ぎには近付かず、裏で様々な糸を引く。


 

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。


続きが気になりましたら、ブックマークで応援していただけると非常に励みになります! ぜひ、よろしくお願いします!

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