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ep33 捜査協力させていただきます

「えっと……」


 当夜達は事情聴取のように椅子に座らされ、白い車を見た状況を洗いざらい聞かされた。当夜は轢かれかけたことしか覚えていなかった為、質問には全て純が答えていく。


「なるほどね、情報提供ありがとう。このお手柄に免じて、聞き耳立てたら勝手に入ってきた事には目を瞑ってあげるわ」


 必要な情報を聞き終えた奏はそう言って、3人を宮から出そうとした。それを察した翼が風見に近づく。


「ねぇ、ここで私達を帰していいと思う? 勝手に調べるよ? 結城君も多分、納得するまで居座ると思うし、根気負けするの目に見えてるんだから、情報全部教えてよ」

「お前は、変わらないな。捜査の情報漏洩するわけないだろ」

「でも、連続誘拐事件は教えてくれたじゃん」

「それは注意喚起だから問題ない」


 小声で言い争う翼と風見。当夜は不思議そうなそんな2人を見て首を傾げる。


「2人ともどうしたんだ?」

「なんでもないっすよ、少年」

「んー、」

  

 当夜の質問に何かを答えようとした翼の口を塞ぎ、風見は引き攣った笑いを浮かべる。


「俺達に協力できるのはこれぐらいですよね。当夜、九条さん邪魔しちゃいけないから帰ろう」


 そんな様子を見ながら面倒事に巻き込まれたくないと純が先手を打つ。


「そうだね、わざわざ危険に自分から首を突っ込む必要はないと思う」

「だな。俺らが言うなって話かもしれないが、大人しく帰ったほうがいいぞ」


 純の言葉を受けて、詩織と瑞稀も頷く。解散になりそうな気配に奏と風見は安堵の息を吐こうとした。


「でも、月詠関わってんだろ? 同級生が関わっていて俺が関わっちゃいけない理由はなくないか?」

「おいっ、こら当夜!!」

「流石、結城君。そうだよね!」


 しかしそうは問屋が卸さないと当夜が言い募る。それに純は止めようとするが翼が援護する。


「風見さんにも言ったけど、勝手に白いワゴン車探されるよりも私達の動き近くで制御できたほうが良くないですか?」


 ニコリと翼は奏に笑いかける。しかし瞳は拒否したら勝手に関わるぞと、ありありと書かれている。

 奏達は頭を抱えた。翼は迷わずに警察を脅してるのだ。ここまで肝が据わっている子がこちらの手を離れて勝手に動いて何かやらかしたらと考えるだけで恐ろしい。

 奏はため息をつくと、一つの案を提案した。


「こちらの指示を聞き、危ないことをしないって約束するなら上司に掛け合ってみるわ」

「天宮ちゃん!?」

「風見君、この押し問答で時間を無駄にしている場合じゃないわ」


 その言葉を聞き、当夜と翼が「やったー」と手を合わせる。その姿を純は絶望的に見ていた。この2人は組ませちゃダメだ。そう心に深く刻んだ。




 ♢♢♢♢



『わかった。そう言う事情なら仕方ない。下手に勝手に動かれた方がいやだからな。ーーでだ、こっちも問題が起きた』


 天宮が中原に電話をすると驚くほど早く許可が降りた。そして、中原はさっき判明した事実を口にする。


『昨日、俺が防いだはずの誘拐事件だが、その男ーー桜木直樹に行方不明届けが出ている。昨日、あの後に攫われた可能性が高い』

「!? 本当ですか」

『ああ、なんで俺は家まで送り届けずに見送っちまったのか。……いや、ここで後悔を言っても仕方ないな。犯人は失敗しても諦めないみたいだ。気をつけろ。こっちも何かわかったら連絡する』


 そう言い、中原との通話が切れた。

 今入った新たな情報を頭の中で反芻してから、全員に共有した。当夜達がいる為、能力者の事を伏せて話す。


「昨日、時間は遅かったはずっすよ!? その後に攫われたってんすか、中原さんが誘拐事件の忠告してるはずっすよね!?」


 奏の報告に風見は目を見開く。当夜達よりも情報を持っていた詩織達も驚きを隠せずにいる。


「今、桜木直樹の行動を監視カメラを通して探ってるらしいわ。そっちは中原さん達に任せましょう」


 そして、当夜達を交えてもう一度誘拐事件に関しての情報を整理した。




 ♢♢♢♢




「今回話したけど、勝手に捜査の真似事はしないでね。行動は詩織ちゃん達と一緒にだからね」

「そうだ、特に翼。暴走するなよ」


 今日は解散となり、奏と風見はさらに詳しい情報を得る為に警察署に向かう事になった。その際に2人は当夜と翼に釘を刺す。


「月詠と一緒にかぁ……」

「なら、参加しないで今すぐ忘れて関わらないで」

「ーーんだとぉ」

「当夜、やめろ」

「詩織、気持ちはわかるけど挑発するな」


 喧嘩を始めそうになる詩織と当夜を瑞稀と純がそれぞれ止める。翼はその様子をニコニコと見ながら風見に近づく。


「ねぇ、風見さん。意図して情報隠してるでしょ。それによってこっちに問題が起きる可能性ないの?」

「気づいてたか。問題ない。その情報を知った方が危険だ」


 風見は翼が能力者に関して意図して隠して話していた事に気づいていた。その事を指摘され驚く。

 しかし、それを気づかせないように単調に風見は答える。


「そうなんだ。とりあえず結城君達には黙ってるから必要になったらちゃんと情報共有してよね。この件、なんとなく零君関わってる気がするから」

「……」

「そうじゃなきゃ、風見さんそこまで本気で必死にならないでしょ?」


 翼は全てを見透かしているかのように風見を見て笑う。風見は何も言わずに、翼の頭に手を乗せるとそのまま奏に声をかけて、警察署に戻って行った。


「さてとっ」


 2人の背を見送ると明るい声で翼が詩織に声をかける。


「不服かもしれないけど、携帯の番号教えて。今後連絡しないといけないかもしれないからさ」


 そう笑うとその場の全員で番号とメッセージIDの交換を行ったのだった。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。

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