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ep32 聞き耳を立てよう!

 おみくじを結び終え、3人は境内を探検していた。すると不意に純が声を上げる。


「あれ?」

「どうしたの、三好君」

「いや、今月詠さんがいた気がして」


 翼の問いに純はある一点を見て不思議そうにしていた。


「月詠がいたぁ?」


 やや機嫌が悪そうに当夜が言う。しかし2人はそんな当夜を無視して話を進める。


「やっぱり月詠の巫女ってのは月詠神社の巫女って事なのかな?」

「そうかもしれないね。由緒正しい神社だから、月詠さん色々知ってるかもしれないね。月曜日に聞いてみようか」


 そんな話をしていると当夜が不意に会話に入ってくる。


「あいつ、この神社に詳しい可能性あるのか!? それなら探して案内させようぜ」


 そしていい笑顔で言う。


「……いやいやいや、休みの日にお前の相手をさせられるかよ」

「あっ、いい考えかもしれないね。予定ないならお願いする?」


 当夜の言葉に2人は顔を見合わせる。お互い思っていた事と違う事を言ってると不思議そうにしていた。


「だよな! そうと決まれば探すぞ」


 走り出そうとする当夜の腕を掴み、走り出そうとしたのを止める。


「九条さん、当夜と月詠さんの仲知ってるよね?」

「知ってるよ。だからこそ結城君が月詠さんと会話しようとしてるって珍しいから仲とりもてないかなーって」


 純の疑問に翼は悪びれもなく笑う。普段ニコニコと笑っている事が多いが、翼も愉快犯の気があった事を純は思い出す。2対1の構図になっていることに気づき、内心で詩織に謝りながら純は2人を止めるのを諦めたのだった。


 しばらく境内を探していると、少し離れた場所に建物があることに3人は気づいた。ひっそりとある建物に興味を示し、すぐに当夜はそちらに向かう。慌てて2人は当夜を追いかける。

 その時、建物の窓から詩織や瑞稀達の姿が見える。4人で何かを話している様子が伺えた。それに気づき、当夜が扉を開けようとした。


「おいっ、なんか取り込み中みたいだろっ。終わるまで待てって」

「別に良くないか?」

「うーん、ちょっと入るの待ってくれる、結城君」


 止める純に、気にしない当夜。その2人を横目に翼は建物に耳を当て聞き耳を始めた。


「ちょっと何やってるの、九条さん」


 小声で純が翼を詰める。しかし、翼は気にした様子もなく笑う。


「建物の中に知り合いの刑事さんがいて、ちょっと気になって」

「いや、気になってじゃないから」


 呆れた様な純を翼は適当に流し、中の声を拾おうと集中する。そして当夜も翼に習う様に耳を扉に当てる。


「あー、もうどうなっても知らないぞ」


 そんな2人を純は諦めた様に見た。


「別にいいだろ、減るもんじゃないし」

「俺の中の何かは確実に減ってんだよ……」


 悪びれる様子のない当夜に頭を抱えたくなる。その時、中から「昨日の白い車」と聞こえてきて、純もあれ? と扉に近づく。そして中で話されている車が昨日自分達が遭遇した車だと気づく。


「当夜ーー」


 確認しようとした純の目に徐に扉に手を伸ばし開け放って当夜の姿が目に入った。


「ゲーセン横を通った白い車なら昨日見たぜ!」


 清々しい笑顔付きのドヤ顔に純は頭が痛くなった。




 ♢♢♢♢




「結城君!?」


 突然の乱入者に瑞稀は驚く。隣に座っている詩織も目を見開いている。


「話は半端に聞かせてもらったぜ!」

「結城君、一応私達聞き耳立ててたんだからそんなにドヤっちゃダメだよ」


 瑞稀に親指を立てて威張る当夜にいつもの様に笑いながら翼は返す。そして風見を見ると、まるで今気付いたかのように白々しく笑いかける。


「風見さんもいたんだ。って事は昨日言ってた連続誘拐事件の話してたの? 月詠さん達高校生なのに聞かせてるって事は私達も詳しい話聞いてもいいって事だよね?」

「……翼、なるわけないだろ!!」

「えー、自分で言うのもなんだけど、かなり役に立つと思うよ私」


 少し苛立った様子の風見にニコニコと笑顔で自分を売り出す翼。普段とは違う翼の様子に当夜達は不思議そうにする。


「九条さん、風見さんと知り合いなの?」


 詩織がみんなを代表して疑問を口にする。すると翼は笑いながらなんでもないことのように言う。


「本島からの付き合いだよ。風見さんの弟さんと私の弟が仲良くてさ」

「おい、翼この流れで弟自慢しようとすんな」


 付き合いの長さか、翼が弟語りを始めようとする前に風見が止める。翼のそばによりパシッと頭を叩こうとするも、スッと重心をずらして避ける。


「自慢の弟なんだから仕方ないと思うんだけどな」


 そう言いながらも今はそんな事を言ってる場合じゃないと気付き、口をつぐむ。次に口を開いたのは当夜ではなく純だった。


「あの白い車って、白のワゴン車でナンバーが"あ86-45"のやつですか?」

「は?」

「え?」


 早くこの場を去りたいと思いながらもなんとなく気になったから質問したはずが、目を見開いた様子で奏と風見が純を見る。それに驚いた純が「あれ?」と疑問に思っていると風見が純の両肩を掴む。


「君、ナンバーと車を覚えているのか!?」

「え? 普通に危ない運転だったんで、覚えてただけですけど、何か問題が?」

「逆だ、大手柄だ! 少年」


 何が何だかわからない様子で純は「へ?」と間抜けな声を出した。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は、明日20時に更新予定です。

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