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ぱんどら ー治外法権の島ー  作者: 星川宙
第三章ー再会ー
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目指せ!険悪脱却トリオ結成

「詩織、もう来てたんだ」


 当夜が詩織との間に一方的に不穏な空気を纏わせていると不意に当夜の後ろから声が聞こえた。登校してきた唯華は自分の席の上を流れる嫌な雰囲気に舌打ちしたい気持ちを堪えて荷物を置く。

 それを感じ取った翼はあーと思いながら時計を見てそろそろ始業のベルが鳴ることに気づく。


「そろそろ先生が来そうだから、私たちは自分の席に戻ろうか」

「もうそんな時間か、当夜迷惑かけるなよ」


 翼に教えてもらい、純も時計を確認すると当夜には釘を刺す。そして2人は自分たちの席に戻っていった。

 何とも言えない空気が3人の間に流れる。唯華はため息をつきながら席に着くと前後の視線を無視して廊下に繋がる窓を見続けた。




 ♢♢♢♢




 放課後、当夜は机に盛大に突っ伏した。


「あー、やっと終わった。これがこれから週5とか地獄かよ……」


 疲れ切った様子の当夜に近づいてきた純が呆れる。


「結城君、この調子で高校3年間大丈夫?」


 翼がいつもの笑顔を引っ込めて、心配そうに当夜を見る。それに対し純は慣れたように後頭部を軽くはたくと、安心させるように翼に言う。


「九条さん、徐々に諦めて、来週ぐらいにはいつものこいつに戻ってるから心配しなくて大丈夫だよ」

「そうなんだ。思っていた以上に面白いよね、結城君」


 今まで春の風物詩だったんだろうなと、翼は純の苦労を感じながらも側から見ると面白いなと正直な感想が翼の口から自然と溢れる。そんな翼をはじまったと言うように見て唯華は席を立つ。


「あっ、唯華帰るの? また明日ねー」

「うん、翼は程々にしなよ」


 そして唯華は詩織を見る。


「詩織、今日用事あるから帰らないから若葉にも伝えといて」


 そう伝えると唯華は教室を後にした。

 詩織も荷物をまとめて立ちあがろうとした際に、廊下から騒がしい音がして動きを止める。すると瑞稀が教室に入ってきた。


「あっ、詩織いた」


 目的の人物を見つけると瑞稀は詩織に近づく。そして瑞稀の近くに他の生徒がいる事に気付き、「おっ」と嬉しそうな声をだす。


「クラスメイトかな? 俺、若葉瑞稀。ここの2年で詩織の幼馴染みたいなものなんだ。詩織はちょっと面倒な性格だけど、根はいい奴だから仲良くしてやってくれると嬉しいな」


 そう言って純達に話しかける。2人も自己紹介をして、純は当夜の紹介もする。そして翼は瑞稀に笑いながら言う。


「大丈夫ですよ、性格のやばさは私の親友以上の人はそうそういないと思いますし」

「えっ、九条さん、山吹さんとは親友って……」

「今はね? 中1の時はお互いに同族嫌悪感じてて、貶めようとしてたからねー」


 懐かしーと翼は笑うが純は驚きを隠せない。流石の当夜も驚いたのか顔を上げる。しかしそれ以上に驚いたのは瑞稀だ。


「唯華の親友!? えっ、あいつ親友とか作るの!?」

「若葉先輩も唯華の知り合いですか? まぁ色々ありまして。私も唯華も軽く若気の至り的なところがあったからあまり詳しくは聞かないでほしいんですど……」


 どこか遠い目をしながらそれ以上聞いてくれるなよと全身が語っている。瑞稀は気になったが、それ以上は聞けない。


「そんなことより、先輩は月詠さんを迎えにきたんですか? 時間があればよかったらお話ししませんか。月詠さんとも仲良くなりたいですし、結城君との関係を改善させないと間に挟まれてるのが可哀想で……面白いけど」

「あー、確かにあの視線に挟まれるのは居た堪れない感じだよな、山吹さん」


 授業中に盗みみた様子を思い出して、自分がその立場だったとしたらと改めて申し訳ない気持ちになる。翼も同じ思いである事を感じ、2人でアイコンタクトをとる。とりあえず。仲良くしなくてもいい、ただこの険悪な雰囲気だけでもどうにかしよう。2人の思いは同じだった。

 そんな様子を見て、何かを感じたらしい瑞稀は純に近づく。


「詩織と彼、何かあったの?」


 彼と当夜を指さしながら不思議そうにしている。純は、本当にくだらない事なんですけど、と前置きして簡単に島に来た日と今朝の出来事を伝える。話を聞き、瑞稀は「あー……」と呟きながら頭を抑える。

 どっちもどっちだと思った。瑞稀は詩織も悪かったと純に謝る。そして険悪脱却を目指して3人は厚く握手を交わす。


「今日は用事は夕方までないから1時間ぐらいなら問題ないよ」

「ちょっと、瑞稀! 何勝手に決めてるの!?」


 3人の会話を無視して、なんなら瑞稀をおいて家に帰ろうとしていた詩織は聞き捨てならない言葉が聞こえ、慌てる。このままじゃ強制的に参加させられるのが目に見えてわかった。

 しかし、盛り上がってる3人は気にしない。嫌な予感を感じた当夜も逃げようとしたが、純に捕まる。


「おい! 俺は仲良くする気はないぞ!」

「どうせ、1年は同じクラスだ。班行事とかで一緒になる可能性もある。時間が開くとお互い意固地になるだろうし、早めに修復するのが1番だ」


 当夜の文句を純は正論で封じ込める。幼馴染であり周りから保護者扱いされ続けていたおかげで当夜の扱いは心得ている。

 こうして当事者2人が納得してない親睦会の開催が決まったのだった。

今日も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

次回は明日、20時に更新予定です。


この度、作品の更新情報やちょっとした小ネタを共有するために、X(旧Twitter)のアカウントを開設しました。

更新に合わせてお知らせを投稿していく予定ですので、よろしければ遊びに来てください!


アカウント:@hoshikawa__sora

URL:https://x.com/hoshikawa__sora


これからも物語を最後まで走り抜けるべく頑張りますので、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです!

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