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四十六億年の物語——星生まれの細胞は、宇宙を奏でる  作者: 位面の行者
太古の海

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第82章 尖柱林の謎

暗黒が、ゆっくりとこの密林を覆いつくしつつあった。あちこちに潜む生物たちが、蠢きはじめている。黑夜こそがやつらの活動の場なのだ。


なぜこれほどまでに暗黒に依存するよう進化したのかは、まだ知る由もなかったが、リンはここの生物たちと対峙する準備をすでに整えていた。


待つあいだ、リンは何体かの突撃者を放って尖柱林を観察させ、この区域の広さを推し量った。南の崖に近い岩地から、北の砂漠まではかなり短い距離しかない。続いてリンは東と西へも歩かせてみた。そして尖柱林とは、おそらく周囲がわずか数十キロメートルほどの小さな場所にすぎず、そこから外へ出れば砂漠か乾いた岩地ばかりで、生物もきわめて少ないことを知った。そのあいだ、リンはごく小さな爬行類を何匹か見ただけだった。


しかし最も奇抜なのは、尖柱林全体の周囲が、ひときわ高大な尖柱の列にぐるりと囲まれていることだった。


リンは一億年前の、巨石の環を築いた扁魚を思い起こした。


リンは今や、この尖柱林もまた、何らかの生物によって築かれたものかもしれないと確信していた。苔蘚のはずはない。おそらく何かしら巨大な集群性の動物なのだろう。


やつらは荒蕪たる陸地の上に、みずからの小さな世界を築き上げたのだ。ならば、やつらとはいったい何の生物なのか? おそらく黑夜にしか姿を現さないのだろう。


この種の生物の知能はかなり高いのかもしれない。そうでなければ、これほどの方案を考え出せるはずがない。


強力かどうかに至っては、それは定かではなかった。知能は通例、強力さとは結びつかない。水のなかで、リンが今のところ目にしてきたなかで最も知能の高い生物は、魚類でも節足類でもなく、菊石アンモナイト矢石ベレムナイトといったあの柔らかな殻を持つ生物だった。


やつらはかなり賢く、多くの奇妙な能力を使い、脳の大きさの比率も第一だった。だが、やつらは何も強力な生物ではなく、やつらを食べられる生物は数多い。ここから見て、陸上の賢い生物も必ずしも強力とは限らない。なにしろやつらの脳は細胞の思考能力とは分離しており、どれほど賢かろうと、リンのように細胞を組み合わせることはできず、細胞が提供してくれる既存の能力を使うことしかできないのだ。


そう考えてはいたものの、リンにはどうにも拭えぬ良からぬ予感があった。


いずれにせよ、ここで生き続けたいならば戦わねばならない。リンはすでに一支の部隊を準備し終えており、それらはリヴァイアサンを中心に取り囲み、いつでも黑夜の未知の生物に立ち向かえるようになっていた。


暗夜が完全に訪れたとき、星空の光芒が再びこの世界を包み込んだ。尖柱の林のあいだからは、さまざまな奇怪な音もそれにつれて湧き起こった。


黑夜の生物たちも、このとき活動を開始した。リヴァイアサンの現在地は、前回、小型節足類の群れに包囲された地点だった。これらの生物こそが尖柱林の建造者である可能性もあり、やつらは紛れもなく集群する生物だった。


リンの提灯の光はやつらを照らし出せない。やつらはいつもわざと光を避けるから、リンはいっそ提灯をしまい込み、やつらが攻めてくるのを待つことにした。


「ギャッ……」


あの小さな節足類の声だ。以前とは違い、これらの声はずっと遠くの場所からしていて、こちらまで取り囲んでリヴァイアサンを攻めることはなかった。


おかしい……


リンがまさに怪しんでいたとき、思念のなかに突然、痛みの信号が届いた!


リヴァイアサンや周辺の部隊が攻撃されたのではない。数十メートルも離れた緑の絨毯からだった!


これはリンが輸送者を使って作った緑の絨毯で、すでに一本の尖柱の九割以上を覆い尽くし、上の苔蘚ももうすぐ緑の絨毯に食い尽くされるところだった。


しかし今、緑の絨毯が攻撃を受けている。リンは何かが鋭い刃物状のもので緑の絨毯を切り取っているのを感じ取ることができた。


リンも緑の絨毯を無造作に作ったわけではない。以前にこれらの針柱の上の苔蘚に注意し、傷ひとつないことを確かめてから、尖柱を覆う無甲の緑の絨毯を製造しようと決めたのだった。


ところが今、これらの緑の絨毯が一片また一片と切り取られている。しかし、死んではいなかった。切り分けられて薄片になった緑の絨毯が、地面へと捨てられていった。


つまり……攻撃者の目的はこの緑の絨毯を食べることではないのか?


リンは突然、一つの考えを生じさせた……


あるいは、あの苔蘚は、何かしらの生物が特別にその上に置いたものなのかもしれない……そうだ、この尖柱林を築き上げた生物だ!


海のなかでは多くの生物と植物がある種の関係を結ぶ。やつらは植物を背負ったり、あるいは皮層の上に植物を生やさせたりして、養分を直接得るのだ。リンもかつてはいくつかの緑細胞を養っていたが、自分で光合成ができるようになってからは、もう二度と養ってはいない。


思いもよらなかった。この種の関係が陸の上でも現れるとは。あの苔蘚は、ある種の生物が「栽培」して上に置いたものかもしれない!


緑の絨毯自体には兵種の保護もない。繁殖槽がなかったから、部隊を製造することもできず、緑の絨毯自体の尖った糸も、速度が遅すぎ細すぎるために、苔蘚のような動かない生物にだけ向いているにすぎなかった。


リヴァイアサンは必ずあそこへたどり着かねばならない。それらの生物はすべての緑の絨毯を切り刻んでしまうかもしれない。切り刻まれた緑の絨毯は死んではいなかったが、再び敷き直すか回収するのは容易だったとはいえ、リンはそれらの生物を逃したくなかった。


「ギャッ……」


この小さな節足類の鳴き声……


リヴァイアサンがまさに歩き出そうとしたとき、周囲に突然、無数のこうした声が湧き起こった。


今ごろになって湧いて出たか? ならば、まずはやつらを片づけよう。


小さな節足類は、以前の夜と同じように、光のない環境の下で、何も畏れず躍りかかってきて、リンの部隊を幾重にも取り囲んだ。


やつらの習性に対して、リンはとっくに専門にやつらを相手取る生物を準備し終えていた。


この兵種は「隠形者」を改造したもので、直径三十センチの円盤型の体躯は甲羅で覆われ、しかもかなり多くの小孔がついていた。小さな節足類がその上に這いつくばって食いちぎろうとすると、小孔のなかに潜んでいた尖った棘が勢いよく突出し、身の上のすべての小さな節足類を残らず刺し貫くのだ!


この兵種は名を「突刺者」といい、体内のすべての棘が一斉に伸び出たときには、全身がさながら針鼠ハリネズミのようになり、しかも普段は棘を引っ込めて無害なものを装い、相手を騙して噛みつかせることができる。


そういえば、「針鼠」とは何の物だろう?


かまわん。だいたい棘だらけの何かだ。


今、あの小さな節足類どもは、前回と同じように、周りでギャーギャーとしばらく鳴いたかと思うと飛びかかってきて攻め立てた。だが、やつらが今回まっさきに飛びかかったのは、リヴァイアサンの周囲にいるあの突刺者たちだった。


突刺者の甲羅は小さな節足類には噛み砕けない。突刺者たちがほぼすべて小さな節足類に全身を這い回られたとき、それは突然、全身の尖った棘を猛然と突き出し、鋭い尖端が無防備なそれらの節足類をずたずたに貫き通した。


暗夜のなかではっきりと見ることはできなかったが、おそらくこの一瞬だけで百匹以上は殺せたと見積もることができた。リンは、空気中に飛沫する血の匂いをはっきりと嗅ぎ取ることができた。


突刺者の棘には逆鉤がなく、きわめて容易く引っ込められる。やつらは棘を引っ込め、体をひと震わせると、大量の節足類の死体が背からぼとぼとと落ちていった。


「ギャッ……」付近にはまだいくらか鳴き声がある。明らかに、今の一度では殺し尽くせなかったのだ。しかし、小さな節足類たちはすでに怯え、もう取り囲んで攻めかかろうとはしなかった。


これだけでもう十分だろうか?


リンもただ一部を殺し、やつらに自らの実力を思い知らせたかっただけだ。根切りにして皆殺しにしようというのではない。


「ドン」


何か重々しい物音が響きわたった。それはまるで、巨体が地面を移動しているかのようだった。


リンは知っていた。この暗夜には、あの小さな節足類だけではない。いくつかの巨大な生物もいるのだ。


リヴァイアサンは提灯を灯し、音の方角へと照らし出した。


光の下に、高さ二メートルに達し、胴長はおそらく四メートル以上はあろうかという巨大な節足類が、こちらへ向かって歩いてきていた。


体が大きいことはリンが驚いた点ではなかった。肝心なのは、そいつがそれら小さな節足類とほとんど寸分違わぬ姿かたちをしており、しかもたしかに、小さいやつらと一伙のものだったことだ。リンは提灯で、多くの小さな節足類がこの大塊の体の上に這い上がっているのを照らし出すことができた。


まさか、あの小さなやつらはみな幼体にすぎなかったのか?


大型の節足類が重い足取りで突っ込んできた。そいつは口の下に生えた、鋸歯のぎっしり並んだ大顎で、一噛みで一個の突刺者を噛み砕いた。


強力な噛みつき力だ。だが、リンはとっくに大型の生物用のものを準備し終えていた……


リヴァイアサンは頭部を標的に向ける。改造を経て、リヴァイアサンの噴射系統はもはや水を射出せず、吸い込んだ空気を圧縮して射撃に用いるようになっていた。「空気圧砲」と呼ぶに足るものだった。


空気が圧縮されるにつれ、リンが発射口を開けば、なかの空気はたちまち勢い激しく炸裂して飛び出す。


威力も速度も以前のよりずっと強力で、何より水の浪費がない。


「ボンッ」という音とともに、炸裂弾がきわめて速い速度で標的の頭部めがけて飛んでいった。


「パシンッ」


炸裂弾は炸裂したが、標的には命中しなかった。小さな節足類が一匹、大きいやつが打ち当てられるより前に、突然その頭の上から飛び降りて、炸裂弾を遮ったのだ。


小さな節足類は炸裂で四散したが、そのおかげで、大きいやつはほとんどまったく傷ひとつ負わなかった。

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