第112章 燃える密林
幹の表面には、絶えず跳ね回る輝きの層がまとわりついている。この輝きはひっきりなしに高い熱を放っており、それははっきりと感じ取れた。
あれは……「炎」……「燃焼」だ。
かつての災害の時に見た、空から降ってきた巨大な岩を思い出した。あれも同じように高温の炎に包まれていた。
また災害が起きたのだろうか?
「水、移動、ファル、死」
頭脳虫はリヴァイアサンのそばでこれらの言葉を繰り返した。その気分がとても不安な状態にあることが感じ取れた。
リヴァイアサンは洞窟の口へと歩いていき、リンは塑門者に密封された洞口を溶かさせた。リヴァイアサンに直接調査に行かせるつもりだった。
基地の外は、まるで別世界のようだった。空には激しい雷鳴が絶え間なく轟き、果てしない雨粒が視界に入るすべてを叩きつけ、永遠に止むことのない騒音を生み出していた。
ねじれた樹木の幹が閃光林地の空き地に倒れていた。川からほど近い場所だ。全身が高温の炎に包まれて燃え上がり、リヴァイアサンが少し近づくだけで、その熱波を感じることができた。
一体何が原因で……こんな巨木が折れて倒れたのか?
リヴァイアサンは一歩ずつ燃える幹に近づいた。リンは一匹の小型飛行虫を放った。強力な感覚器官を備え、燃え続ける幹に近づいて炎の温度を探る。
この温度の感覚は……溶岩とよく似ている。だが溶岩の比較的安定した温度とは違うようだ。炎の温度は揺れ動き、場所によって非常に高温だったり、やや低かったりする。
だが今は、燃える原因のほうが気にかかる。
ここから上を見上げると、密集して入り組んだねじれた樹木群の中に、一本の幹が折れているのが見えた。断面にも炎が燃えている。
リンは覚えていた。あの炎をまとった巨石も、水に落ちると炎が消えた。だが今は、これほどの暴雨の下でも、炎は微塵も衰える気配がない。
「ゴォッ!」
空に突然一条の閃光が走り、リンは同時に爆発のような轟音をはっきりと聞いた。上の樹木群が突然激しい炎に包まれ、巨大な幹が炸裂音とともに折れ、下へと落下してくる……
大量の折れた燃える巨木が森林の上層から落ち、閃光林地の各所に降り注いだ。この森林は再び目映い輝きに包まれた。だがかつての生命を象徴する輝きとは違い、炎の高熱はただ死を象徴しているだけだ。炎に囲まれた無数の小生物は、地底や樹木の間から這い出すことを強いられ、炎のない場所へと逃げようとした。あるいは逃げ道のないまま、炎に呑み込まれていった。
リヴァイアサンはそれら燃える木々の中に立っていた。リンは落下位置をあらかじめ計算していたため、避ける必要はなかった。だが……今のは何だったのか?
稲妻だろうか?稲妻が木を燃やしたのか?しかしねじれた密林では、すでに数十回に及ぶ暴雨があった。しかもそのどれもが激しい雷電と雷鳴を伴っていた。今回の雷電は実はそれほど強いものではなく、以前もっと強いものを見てきた。
だがそれらの稲妻は、一度もねじれた密林を燃やすことはなかった。ねじれた密林自体が稲妻に耐える仕組みを持っているらしい。なのに、なぜ今回は燃えたのか?
「水、移動、干からびた木材、ファル、死」
頭脳虫の言葉が思い出された……なにか知っているような気配だ……
リンは長く生きてきたが、陸地については理解が浅かった。陸上で起きることは海とはまったく違う。この炎のように。
炎は幹の上で絶えず燃え広がり、その高温の輝きを密林全体に広げようとしているかのようだ。水中でこれに近いものといえば溶岩だけだが、溶岩は水中で広がることはできない。すぐに冷えて凝固してしまうからだ。
今、問題を解く鍵は頭脳虫の言葉にある。
そうだ。水、移動、干からびた木材とは、水が奪われた後、木が乾いてしまったと言いたいのか?
考えながら、リヴァイアサンに最も近い、まだ炎に巻かれていないねじれた樹木へ近づかせた。吸盤のついた触手で樹皮を掴み、そっと引っ張っただけで、大きな樹皮が剥がれた。
ねじれた樹木はやはり異変を起こしていた。これらの樹皮は本来かなり硬く、簡単に剥がせるはずがない。だが今は……
剥がした樹皮の下に、大量の白い糸を発見した。
これは……真菌か?まさか、すべて真菌の仕業なのか?
そうだ。真菌が木材の内部構造を破壊したのだ。この生物は……木材を分解できる……
本来、このねじれた密林にはまったく真菌はいなかった。しかしあの時から、チブチャ虫が絶滅させられてから、苔は消え始め、さらにこの巨大なねじれた樹木にまで影響が及んだのだ。
なぜこいつらはこんなにも強力な破壊力を持っているのか?ねじれた樹木の免疫細胞では太刀打ちできないのか?これほど多くの樹木に真菌が影響できるとは、まったく信じがたい。理屈から言えば、一、二本に影響が出ても、こんなにたくさんの樹木に広がるはずがない……ねじれた樹木なら、それに見合った抵抗力を進化させられるはずだ。あれほどの巨体と豊富な養分があるのだから。もし小さな生物に感染したなら、真菌は素早く蔓延して殺せるだろう。だが巨大なねじれた樹木なら、十分な時間をかけて反応し、免疫細胞を作り出せるはずだ。なのになぜ真菌に敵わないのか?
真菌がねじれた樹木の内部構造を破壊したことで、樹木は稲妻に耐えられなくなったのだ。もともとどうやって稲妻に耐えていたのかは知らないが、とにかく事は起きてしまった。
突然、何かを悟った気がした。
「同情心」――種を絶滅させる時に生じる、あの感情だ。
最初はただ邪魔なだけだと思っていた。正常な判断や戦闘を妨げ、ただ敵の状況を知らせてくれるだけのものだと。
だが、同情心はそれほど単純ではなかったようだ。種を絶滅させることが、どんな結果をもたらすかを同時に示していたのだ。
そういうことだったのか?だが、今知ったところで遅すぎる。
周囲からは絶えず巨木が折れ、倒れる音が響き、木材の上で跳ねる炎は次々と熱波を放ってリヴァイアサンを包み込んだ。今やリヴァイアサンの視界に入るのは、一面の燃え盛る光景だけだった。
リンの思いには「後悔」という言葉が浮かんだ。この災いは、自分自身が招いたもののようだ。
いや、後悔はしない。自分が招いたのなら、自分で止めればいい。
暗黒の原は影響を受けていなかった。真菌はあちらまでは広がっていないようだった。チブチャ虫の洞窟が主に閃光林地の地底にあったからだ。そして、炎もあちらまでは燃え広がっていなかった。
ならば、まだチャンスはある……
リヴァイアサンはそばの燃える木材をじっくりと見つめた。比較的大きな雨粒が木材の炎の上に落ちると、滴った部分の炎が瞬間的に消えた。しかしすぐに再び燃え上がる。
やはり、水は炎を消せる。
だが雨の水滴は分散していて、一滴一粒が小さすぎる。これが炎を消しきれない理由なのか?ならば大量の水があればどうなる?
リヴァイアサンは背中の甲殻を割り開き、大量の雨水を集めて体内に吸い込んだ。その水は最終的に、前方の砲口の部分に集められた。
「パンッ!」大きな水球が砲口から発射され、前方の燃えている木材に直撃した。水球に撃たれた炎は瞬時に消え去り、一筋の青い煙だけが残った。
なるほど、水はやはり効くんだな。
リヴァイアサンは水砲による攻撃で炎の中に道を開き、その方法で基地へと戻っていった。
リンは閃光林地すべての炎を消そうとは思わなかった。それはあまりにも多すぎるし、今の兵種ではリヴァイアサンのように水を吸って消火することはできない。改造しようとすれば、どれだけの時間がかかるか。
川を渡り、基地に戻ると、頭脳虫が基地入口にいた。リヴァイアサンを見つけるとすぐに、不安と喜びの混じった鳴き声をあげた。
「ファル、干からびた木材、死、首領、生きる、洞窟」
今ならわかる。「ファル」とは炎のことらしい。頭脳虫の意味はこうだったのだろう。「炎が干からびた木材の上で燃え、死を招く、しかし首領であるリヴァイアサンは生き延びて洞窟へ戻った」
どうやら、リヴァイアサンが生きて戻ったことを喜んでいるようだ。
面白いな。これもまた一種の奇妙な思考だろうか?しかし今はまず、別のことを研究しなければ。
その真菌を。
リヴァイアサンは洞窟の中の、研究と分解専用の洞窟へと戻り、真菌の研究を始めた。
ねじれた樹木の幹からたくさんの真菌を採取した。分解と研究の過程でわかったのだが、この生物は毒素を生み、強力な殺傷力を持つものの、殺すこと自体は簡単だった。
しかし殺しても意味がない。ねじれた樹木や苔にも、真菌を殺す能力を身につけさせる必要がある。リンがすべての樹木や苔のために真菌を殺してやることは不可能だからだ。
だから、「鍛える」のだ。外部から採集してきた苔がまだいくつかある。中の真菌はすでに殺してあるが、この苔は真菌を撃退する免疫細胞を持っていない。
なんとかして免疫細胞を作り出させなければ。少量の真菌を苔の体内に入れれば、害はないが、苔の免疫系に反応を起こさせて排除させることはできる。
こうすれば、苔を進化させられるかもしれない。そしてこの苔を他の苔と繁殖させれば、真菌を恐れない新種の苔が生まれる。そうなれば、閃光林地に再び苔が生い茂るかもしれない。成功したら、ねじれた樹木でも同じ実験ができる。
大きな進化は、無数の小さな進化が積み重なってできているのだ。
それから、もう一つ特別なものを研究しなければならない。炎だ。
炎はかなり特殊だ。稲妻によって生まれながら、稲妻が消えた後も燃え続け、絶えず広がっていく。
つまり、稲妻が最初のエネルギーを与えた後、今度は木材をエネルギーとして成長を続けるのだ。他の物質とは大きく異なる。
直感的に感じる。「炎」を研究すれば、とても特殊な力を手に入れられそうだ。




